第十八話 再び起きた暴走
今回はルミーはでま~す。
シンはおやすみでーす。
「あ、でるんだ、って私、元気?」
「アシュラ登場以来出ていない俺は・・いつまで、やすみだ?」
作者にきかれても・・ネタバレしたら面白くないんで・・・。
では、どうぞ。
ルミーは起きた。
さっきからあまり寝ていない気がする・・。
そういえば・・アシュラはどこにいったんだろう。
私は辺りを見回した。
薄暗い私の部屋には誰もいない。
・・・なんで私、アシュラを・・探しているの?
自問自答したい気分になった。
とりあえず城には気配がない。
どこかへ行ったようだ。
あ・・・だれかこっちにくる・・・
ガチャッ
ドアの開く音がした。
「なんだ、起きていたのか、ルミー。
具合はどうだ?
とりあえず薬持ってきたが・・・」
入ってきた人はゼンだった。
「大丈夫・・。視界も良くなった」
私は答えて微笑んだ。
ゼンは私に近づいて私の額に手を伸ばす・・。
ピタっ
ゼンの表情は真剣な表情から安堵した表情に変わっていった。
ゼン・・・・
「とりあえず熱は下がったな。
回復が早いな、意外と。
とりあえず、薬を飲め」
ゼンはそう言って私に差し出した。
私はこくんと頷いて薬を飲んだ。
すると、そのあと、廊下のほうからばたばたと足音が聞こえてきた。
そして気配もそれにそって部屋に近づいてくる。
「・・・?」
私は首をかしげる。
・・なんで・・こんなに慌てているんだろう・・・?
「ん?どうかしたか?ルミー・・・・!?」
ゼンは私の表情を不思議に思っていいかけた・・が、すぐに気づいた。
ドタドターーーーガチャッ!!
「!?」
「大臣ッ!?何事だ!?
ルミーは体調不良なのに・・無礼にもほどがあるぞ!!」
ゼンは入ってきた大臣にそう怒鳴った。
ゼンには悪いが・・ゼンの怒鳴り声のほうが迷惑である・・。
ルミルは内心そう思いながらも、
「私はかまわない。
大臣はそれを気にしていられないほどの問題が起きたんでしょ。
で、どんなことがあったの?」
と、大臣に聞いた。
何か・・胸騒ぎが・・する・・なんだろう?この嫌な予感は・・。
「は、はい。
先ほどの無礼はお許しください、ゼン様。
とてつもなく大きな大事件がおきたのです。
ルミル様もお体にお障りないよう聞いていただけたらと存じます。
その事件とは・・
国の中央であるこの城の真南の方角にある農村の村人がすべて消えました。
そして今、その真北にある農村の村人までもが消え去ろうとしています!!
村の建物は崩壊し、人も食い荒らされ、それはもう悲惨な状態であると聞いています!!」
大臣は言った。
真南と真北の村が滅ぼされた、と。
そして、その悲惨な状態を聞き、犯人は人ではないことが判定した。
「なんだって!?
ということは・・・」
ゼンは驚いた、怒りを忘れるぐらいに・・。
「私を・・気配探知機である純白のクリスタルのある場所へつれてって!!
もしかしたら・・二年前のあの事件と同じかもしれない!」
私はそう言って、ベットから起き上がり、立ち上がった。
「なっーーーー!!
まだ起き上がるなっ、もしそうだとしても、今のルミーじゃ無理だ!」
ゼンはすかさず私を制する。
傍にいる大臣はその光景にあたふたする。
「二年前って・・あの事件ですかッ!?」
大臣は目を見開いて驚く。
無理もない、私がアシュラを封印した事件のことと同じだといっているのだから。
「もう、平気だって。
無理だって思うんならゼンも来ればいいでしょ。
それにアシュラは私にしか止められない。
まだ契約はしている。
近くにいれば封縛は可能よ。
だからはやく私をーーつれ・・てっ・・て・・・?」
ぎゅゅうっ!!
最後、私は戸惑った。
ゼンがいきなり抱きしめてきたからだ。
「ゼ・・ン・・?」
私は聞いた。
「ルミーっ、俺はお前を失いたくないっ!
失いたくないんだっ!!
だから無茶はしないでくれッ!!
・・お前が・・王になるまで・・俺はお前が死んだんだと思ってた。
あの一族から追い払われ、差別されてきたお前は無力だった。
だからーーーー」
「・・死ぬわけないじゃない。
混血を差別してたのは秘めている力を恐れただけのこと。
あのときも、無力じゃなかった。
それに、混血者だからこそ簡単に死ねないものよ・・。
だから大丈夫!
それに、今回はアシュラだけじゃないかも知れない。
それには純血であるゼンも必要だから、ね?」
私はゼンの言葉をさえぎり、ゼンの胸元を手で押した。
大臣にこんな姿見せたくない。
それが本心でもあったが・。
「・・・」
「頭、冷えた?」
「あぁ・・」
「なら、さっそく私も準備するから、お二人は先にいっててね?」
私はそう言って、
ちょっちょっと・・・って抵抗する二人を追い出し支度をした。
着替えていつもの格好をし、バンダナもつけていろいろ魔法道具も身につける。
そして破邪の剣も、腰につけた。
すべて準備が整ったら部屋を出る。
ガチャ
あけたらすぐにゼンがいた。
「さっきは・・悪かった。
つい感情的になって・・。」
ゼンは私から目をそらし何故か謝ってくれる。
「謝らないでよ。
それにうれしかったし。
自分の感情もある程度は大切にしないとね、
じゃあ、いこう?」
私はそう言って、マントを翻し歩き出す。
「体には・・異常ないか?」
「うん、あの薬が効いている。
平気だよ」
私は振り向きもせず答える。
「そうか、ならいい」
ゼンは安堵したかのように言う。
そして気配探知機であるクリスタルのある探索室に向かった。
そしてしばらくしないうちに着いた。
「大臣、どう?
しばらく使っていなかったけど、調子のほうは」
「はい、大丈夫です。
これなら発動するでしょう。」
私の問いに大臣は答える。
「じゃあ、はじめるね」
私は言った。
探索室は、大きな部屋の中の中央にクリスタルがあり、
それを中点とした魔法陣が床に組み込まれている。
そして一つの壁に方角ごとにその情景などを映し出すことができる。
私は意識を集中するために目をつぶり、手のひらに魔力を込めてクリスタルに触れた。
そして同時にクリスタルを通して気配を探る。
「!!」
私は目を開けた。
私の手の上にゼンの手が触れたからだ。
「ルミーはあまり魔力を使わないほうがいい。
消費しすぎると後が大変だからな」
ゼンはそう言って続きを促した。
ゼン・・そんなに心配なんかしてくれて・・・
私は頷き、再び目を閉じて続きをし始めた。
そして北を探した。
「?」
私は眉をひそめる。
北にある農村から気配が感じず、
西の方角から人のなくなる気配と人を殺める気配が見つかった。
「大臣、西を映し出して」
私はそう言ってクリスタルに魔力を込める。
「はい。・・・・これはっ!!?」
大臣は映し出し驚愕した。
私も目を開け映し出されたものを見る。
「!!?」
「?!!」
私は目を見開いた。
なんと神魔は五人いたのだ!!
アシュラ・・・・また同じ過ちを・・
私はアシュラを見て思った。