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第一話 大国の使者と魔道大会

「・・・。どちら様ですか?」

私は聞いた。


今、目の前に立っている、

どこかの国の、どういう目的で来ているか不明の、使者に私は問いかけたのだ。


「ナイトリシーア王国の使者です。

あなた様はマジナシア王国の姫君、ルミー様ですね?」


使者は私に問いかけた。


確かに・・私はルミーという名だけれど・・・。

そして偶然マジナシア王国の姫になってしまったけれど・・・。

いや、そんなことはどうでもいい。


ナイトリシーア王国という 大国 がなぜ、マジナシア王国(こんな)・・小国に

使者を送ってきたんだろうか?


私にとってはそこが問題だった。


私の国は魔道には優れているが・・他には何の特徴もない小国である。


魔道のせいか、多少無作法なところもあるが・・・。


それにここは弱肉強食で成り立つ国、作法(そんなもの)なんて気にもしない国である。


魔道しかないような小国に一体なんで・・・?


「確かに・・私はルミーですが・・一体どんな目的で?」


私は眉をひそめて尋ねた。


「目的とは物騒なことをおっしゃる。

では、単刀直入に聞きましょう。

あなたはナイトリシーア王国のプリンス・・もとい、王子のことをどう思います?」


使者は本当に単刀直入に聞いてきた。


どう思うって・・・・。


そんなこと聞かれてもなぁ。


私は困り果てた。


だって、王子(そんなもの)気にしてられるほど暇じゃなかったし。


それに興味関心一切なかったし。


更に国同士の交流なんてしたこともないし。


そんな理由があってか


「一切興味ありません。というか、知りもしません。

今日も今朝帰還してきたところですし。」


と、きっぱり言った。


「!?」


使者は私を凝視した。


この世に(この)ような人がいたとは って言う目で見られてる・・気がした。


「え!?知らないんですかッ!?」


使者は声を張り上げた。


私はコクンと頷く。


「ほんとに?ほんとに知りませんか??」


使者は私になおも聞いてくる。


「はい。何も知りません。」


私は正直に言う。


もともと、興味がないからそんなものは覚えず魔道に励んでいた。


「あの、うわさ名高いプリンスですよ!?

それを知らないとは・・。・・ほんとにここにきてよかったです」


使者はなぜかほっとしたように胸をなでおろした。


「??」


何故そこでほっとするの??


私には使者の言動が理解できなかった。


「ルミー様、突然の訪問申し訳ありませんでした。

さっそく、私は国へ帰国しますので。

縁があったらお会いしましょう。」


「・・はい。・・・・?」


使者は私にペコっと頭を下げてうれしそうに去っていった。


縁があったらって・・・できればこないでほしいなぁ。


私は心の中で呟いた。


「あの・・ルミー様、あの者は何故ここへ?」


私の臣下が突然聞いてきた。


「私もよく分からない。」


私は一言ではっきり答えた。


よく分からないのは・・本当だけど・・どうも嫌な予感がする。


言葉では表すことができない妙な予感。


それはもしかしたら本能がそう察知しているのかもしれない。


私は考えた。


「そうですか。

ところで、昨日の依頼はどうでしたか?」


臣下は話題を変えて問う。


「依頼は多少苦戦したけど成功したよ。

じゃあ、私は自室に戻るね、また書類はたまっているでしょう?」


「はい、たんまりと。」


臣下は頷いた。


「やっぱりね。

あぁ、誰か、代わりを立てようかな・・。」


私は半ば呟くように言った。


執務も嫌いじゃないけど大変出し、一人じゃ多いし

それに、さっきの嫌な予感も・・何かあったら代役ほしいからなぁ・・・


と、心の中で考える。


「それなら魔道大会を開けばよろしいかと。

ルミー様もその大会でこの王の座を手に入れられたのですから」


臣下は進言した。


やっぱりそれが手っ取り早いよねぇ。


私は呟くように心の中で考える。


この国は魔道で栄えた国として、王は魔道の技量で決まる。


そう・・強い者が人の上にたつ王の座を手に入れられるのだ。


(それ)をきめるには魔道大会が一番効率がよい手段ともいえた。


「じゃあ、それで決まり。

明日にでも大会を開こう。

いいでしょ?」


私はねだるように臣下に尋ねる。


「もちろんです。

では早速取り掛かります。」


臣下はそう言ってすたすた城の中へ入っていった。


「さて私も・・・・・つぅ!」


私も城の中へ戻ろうとしたが腹に苦痛が襲ってきた。


あのときの・・・傷がまだ・・・。


「っーーー」


私はしばらく腹を手で押さえうずくまっていた。


しばらくするとやがて痛みはおさまった。


私はなんにでもなかったように城の中へ戻った。








そして、翌日、魔道大会が行われた。


わぁあああああ


と起こる歓声。


ドカーン、ヒュヒュッ・・・ザシュッ


爆発音、騒音・・いろいろな音が会場にこだまする。


私はそれを会場の一番上の特等席で見ていた。


そして、ついに決勝戦が行われた。


相手は黒髪の男と銀髪の男。


私はその両者を見てすぐにその勝敗の行方が分かった。


銀髪のほうだ。


私は本能がそう語っているかのように自然に察することができた。


そして決勝戦は始まった。


ズドーン!!


この爆発音で勝敗の行方はすぐに決まった。


「勝者、ゼン!!」


審判が勝者の手を掲げた。


勝者は銀髪の男、ゼンである。


わぁああああああ


と、歓声が沸き起こった。


私も拍手をした。


その拍手の音で歓声が静まった。


銀髪の男は私を見ていた。


私は自分の席から立ち上がり、ふわっと浮き上がる。


そのとき、突如、腹に痛みが走った。


が、そんなものは気にせず、バトル場の真上まで魔法をコントロールし、移動させた。


そして、銀髪の男がいるもとへ降り立った。


「私と勝負してみない?」


私は男に向かって聞いてみる。


「・・・。

名高いあなたとやれるなら光栄です。

喜んでお受けします。」


男はお辞儀をした。


そして、


わぁああああああ


と歓声が上がった。


そしてそれを合図に互いに距離を置いた。


そして試合は始まった。


私はすばやく防御の呪文を唱え、発動させる。


このとき、私の髪は青から銀に染まった。


そして攻撃呪文の詠唱に入る。


相手はすでに魔力を込め、攻撃しに襲い掛かった。


ガッ!!


防御の結界に相手のこぶしが当たる。


結界はもろく崩れ去った。


「舞え!悪魔の花!!」


私の呼びかけの言葉に闇色の花が意思を持ったかのように相手に切りかかった。


シュッシュシュッ


相手はこぶしを使わず体をひねらせて紙一重でかわす。


相手はそれを避けるのに苦戦しているようだった。


私は広範囲の呪文を詠唱し始めた。


相手は先ほどの花に苦戦を強いられ呪文詠唱ができていない。


やがて呪文詠唱はし終えた。


この勝負は相手を先にバトル場から出したほうの勝利。


だから私は害を与えない風系統の魔法を唱えていた。


「風よ、嵐を巻き起こせ!!」


私は声を張り上げた。


ぶぅわぁぁっぁあ!!!!


風が荒れ狂い、いとも簡単に相手はバトル場から追い出せた。


「ルミー様の勝利!!」


審判が声を張り上げ叫んだ。


私は男に手を差し出した。


「あなた、強いね。」


私は言った。


「そういってもらえるとは光栄です。」


男は私の差し出した手をつかみ立ち上がった。


「あなたは・・ゼンだよね。

まさかとはおもったけど・・・私の従兄妹でしょ?」


私は聞いた。


「気づいてたのか?

いや、気づいて当たり前か。

その銀髪が何よりも証拠だからな」


ゼンは苦笑した。


敬語じゃないせいか、先ほどの雰囲気とはまた違った雰囲気をかもし出した。


私の髪は徐々に銀から青に変わっていった。


「私は混血だから。

でも、私としてはそっちのほうがいいけど。

それより、優勝おめでとう。

ゼンには私の補佐、をやってもらうよ?」


私は言った。


「補佐、か。

それはやるしかないな。

じゃあ、これからよろしくな、・・・・えーと・・・・」


ゼンは最後と惑った。


名前・・・かな?


「ルミーでいいよ。

呼び捨てでかまわないから。

どうせ、年はそう変わらないわけだし。」


「じゃあ、よろしくな、ルミー。」


「こちらこそ。」


そう言って私はゼンと握手をした。


そしてまたもや歓声が起こった。


こうして大会は幕を閉じたのだった。




そしてその翌日、またもやナイトリシーア王国の使者が訪れた。



このとき、ルミーの嫌な予感が本当に当たってしまったことを記しておく。




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