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ヴォルフ

主に命じられた依頼を受けて、こなした。

今頃、主は何をしてるだろう。

討伐を終えて、素材をつめた袋を担いで戻る。

ギルドに入ると変な空気。

敵意ではないけど、視線が刺さる。

列に並び、討伐依頼の完了と買取を頼む。

買取金額は宿での主との食事代にもならなかった。

新人にしたら良い稼ぎなのは認識出来るんだが、俺が比べるのが主だからな。

「な、何か不備でも?」

「あ、いや、違う。主様はスゴイ、から」

「アハハ!【滅國】様は比べる相手じゃないですよー!」

「ああ、分かってる、けど」

「でも、あなたは選ばれたんでしょう?」

「え?」

「滅國様は人形遣いだから、人間の仲間は要らないんでしょ?なのに貴方は側に置いてもらえるなら、貴方は必要とされてるんですよー!羨ましいなぁ」

「…」

「あ!ごめんなさい!しゃべり過ぎました!?」

「いや…。ありがとう」

「え?あ、どういたしまして!これからも頑張ってくださいね!」

「ああ、がんばる」


そうだよな、奴隷でしゃべれもしなかった汚い俺でも側に置いてくれたんだ。

面倒みてくれて金もかけてくれて。

無駄な事を考えずに、青色になる事だけを考えよう!


家に帰ると良い香りがした。

匂いを辿ると、主が料理をしていた。

「おかえりー、手洗ってこーい」

「っ!は、はい」

手を洗って料理を運ぶ手伝いをする。

良い香りがする肉と野菜を焼いた物とパンに玉ねぎが柔らかくなるまで煮たスープ。

主の料理は本当に美味しい。


「で、どうだった?」

「問題ない。でも、主との食事代にもならなかった…」

「は?」

「明日はもっと頑張る」

お金貯めて、主に何か返したいから。

「…そっか」

主が柔らかく微笑んで頭を撫でてくれた。

「頑張るのはいいけど、冷静にな?」

「ン。絶対帰ってくる」

急に主に抱きしめられた。

額を中心に柔らかい感触がする。

主の胸元だと認識して少し恥ずかしくなる。

「そうだよ、ヴォルフ。絶対、オレの元に帰ってくるんだよ?」

「…主?何かあった?」

「ン?あー、ちょっと昔を思い出してな。寂しくなってた。急に抱きついて悪い」

「主のぬくもりは好きだから、大丈夫。もういいの?」

「ふふっ、ならもうちょっと抱きしめてい?」

「主が寂しくなくなるなら、いくらでも」

主の細い体に腕を回す。

頭を撫でる主の指が気持ちい。

「あるじ」

「ん?」

「あったかくて、眠い」

「今日も頑張ったもんな。なら早いけど休もうか?」

「…まだ、あるじといたい」

「クスクスッ、ヴォルフは甘えん坊さんだなぁ。いいよ、一緒に寝よ」

主のベッドで主を抱き抱えて寝た。

暖かくて安心できてすぐに寝てしまった。




オレを抱き込んだまま、スヤスヤ眠るヴォルフに愛しさを感じる。

オレを愛してくれるけれど、欲にはならない事が本当に嬉しい。

このままの関係がずっと続けばいいのに。

あと何年、一緒にいれるだろう。

どうか、最期まで傍にいれますように。


〜滅國の人形姫は、ただ一人を選んだ〜

お読み頂きありがとうございました。

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