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トントンとピコのお話シリーズ

トントンとピコと洗濯大作戦

作者: zero
掲載日:2025/10/19

トントンの家の庭では、ピコがそわそわと歩き回っていました。

「この前ケンカしちゃったし……オイラ、なにかしてあげたいなぁ」


ふと目に入ったのは、庭の隅に置かれた――泥で汚れた青いオーバーオール。

昨日、トントンが畑で転んでそのままにしていたものでした。


ピコはくちばしでにやり。

「よしっ! トントンの服をピカピカにしてびっくりさせよう!」


川辺につくと、ピコは得意げに胸を張りました。

「ふふん! キレイにするぞ!」


けれど、桶もタライも知らないピコは、

石の上にオーバーオールを置いて、水をパシャパシャとかけ始めました。


ピコは「こすれこすれ〜♪」と歌いながら、夢中で洗っていました。

けれど、石の上に置いたオーバーオールの端が、少しずつ川のほうへズルズル……。


「ふぅ、けっこう疲れるなぁ」


ピコが羽で汗をぬぐおうとした拍子に、

ドンッと石につまずいて前のめり。


ばしゃーん!!


その勢いで、オーバーオールもピコの体も川の中へ飛び込みました。


「ぎゃあぁっ!? と、トントンの服ぅーー!!!」


ピコの叫びに、川辺で日向ぼっこしていたカエルたちが顔を上げました。


「なんだなんだ?」「洗濯ごっこか?」

「おれたちもまぜてー!」


ピョンッ! ピョンピョンッ!


カエルたちはいっせいに川へ飛び込み、

オーバーオールをコロコロ転がしながら泡だらけにしていきます。


ピコは必死に羽をばたつかせて追いかけますが、

カエルたちは楽しそうに跳ね回るばかり。


「ちょっとぉ! 遊んでるんじゃないんだよぉぉ!」



挿絵(By みてみん)



そのころ、トントンは大きなあくびをしながら庭に出ました。

「いい天気だなぁ……川の水もきっと気持ちいいぞ」


洗濯でもしようかと外へ出たそのとき、

川の方から、ピコの声が聞こえてきました。


「……ピコったら川で遊んでいるのかな?」


トントンはピコの元へ向かいました。

川に近づくにつれて、ピョンピョンとはねるカエルたちの声と、泡のはじける音が混ざります。


「え?」


川へ向かうと、そこには――

泡まみれのピコとカエルたち、

そして川の真ん中を流れていくオーバーオール。


トントンは思わず吹き出しました。

「ピコ……カエルさんたちと水あそび?」

「洗濯してたの!!」



夕方、ふたりはびしょぬれのまま川辺に並んで座り、

風に揺れるオーバーオールを見つめていました。


ピコは小さな声で言いました。

「トントン、ごめんね……でも、今度はちゃんと洗うよ」


トントンは笑って、ピコの頭をなでました。

「ありがとう。でも次はふたりでね」



挿絵(By みてみん)



ふたりは顔を見合わせて、ぷはっと笑いました。

オーバーオールが風に揺れて、まるで笑っているみたいでした。

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