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08 アカネとの特訓

アカネの体術は中々のものだ。

格闘家ではなかったはずなので、独学で勉強中なのだろうか。

速くて重い攻撃が、絶え間なくクレイゴーレムを襲う。

思ったよりかなり強くて感心する。


そして約10分後、ミストが切れた瞬間、アカネはその場に倒れこんだ。

俺もこの10分でかなりクレイゴーレムを素早く動かせるようになったので、何とかアカネを受け止める。

アカネはさっきまで水中にいたのかってくらいの凄い汗だ。

クレイゴーレムとの鍛錬が楽しかったのだろうが、無茶し過ぎだ。


俺はクレイゴーレムからアカネを受け取り、ベンチに運ぶ。

汗にはフェロモンが含まれるんだっけか。

濡れた薄着のアカネは非常に色っぽく、理性が飛びそうになる。


さて、雑念を払うためにブラックジャックの鍛錬を再開しようか。

今俺のミストは、俺の服、アカネの日よけ傘、クレイゴーレム、ブラックジャックになっている。

箱一つで精一杯だった最初と比べると、桁違いに成長していることを実感する。

今ではブラックジャックもアカネの打撃と同じくらいの威力だ。

今なら正攻法でもリュージに勝てるだろう。

俺のミストはこのまま鍛錬を続けても1時間は持つだろう。

他にどんな能力者がいるのか解らないが、きっと俺はかなり上位に位置するのだろう。

1年後にはアカネと付き合えそうだし、ヤバいくらい順調だな。

謙虚なはずの俺が妙に調子に乗っている。

大体、こういうときに手痛い失敗をするものだ、気を引き締めねば。


そんなことを考えながら、20分ほど鍛錬しているとアカネが目を覚まして座っていることに気付く。

ジョージ「お疲れ。大丈夫?」

アカネ「わたしが倒れた後もずっと鍛錬してたんだ。」

「初対面からジョージには感心しっぱなしだよ。」

「わたしはすぐバテちゃうし、全身グチョグチョだし、恥ずかしい。」

アカネは泣きそうな顔をしている。


いや、俺はゲーマーなんだ。

これは単に新作ゲームを寝る間も惜しんでプレイするような感覚。

誰にも裏技を発見されてない状態みたいな感じで楽しくて仕方がないだけだ。

こんなんで女の子に感心される日が来るとはな。


ジョージ「俺もミスト切れの経験はあるけど、倒れたりはしなかった。」

「それだけ出しきれるってのは、凄いと思うよ。」

「全力投球っていうか、集中力っていうか、よく解らないけど俺には無いものだと思う。」

「それに何か信頼されてる感があって嬉しかったし。」

そして、お互いに照れて赤くなる。

良いな、このイチャイチャ感。

俺の青春には無かったな、こういうの。


ジョージ「そういえば、アカネってミストで物質出せるの?」

アカネ「一応、あんまり大したものは出せないけど。」

そう言って、アカネは手のひらに球体を出す。

俺はそれを触って持ち上げてみた。

すると、それは金属的な性質だと解った。

俺のは粘土的な性質だから、武器には不向きだけどアカネは金属か。

金属だと、殴る拳に纏うだけでも凶器になるな。


アカネ「ジョージが持つと消えないんだ。」

「わたしとお姉ちゃんで色々試したけど、自分が出した物は自分が持ってないと消える。」

「わたしが出した物をお姉ちゃんが持ってもすぐ消えた。」

「これもジョージの特異性なのかな?」

ジョージ「これは多分、物質を出す能力のレベル2って感じだと思う。」

「アカネの出す物質は金属の様な性質みたい。」

「硬度を高めて拳に纏えば更に攻撃力が上がると思う。」


アカネ「わたしも複合能力に向かうのかー。ワクワクするー。」

「あと30分もすれば、殆ど(ミスト)が回復するからもう一回付き合ってくれる?」

ジョージ「勿論。じゃあブラックジャックは(ミスト)を使うから、ゴーレム操作に専念しとく。」

そう言ってゴーレムに乗って浮いたり、足を生やして歩いたり色々遊んだ。


そして30分後。

付け焼刃の金属纏いが強過ぎる。

10分間の鍛錬の成果もあり、攻撃力は倍以上、素早さも2割増しって感じ。

一撃食らう度にクレイゴーレムが大きく変形する。

このままだと今日中にクレイゴーレムが突破されてしまう。

この楽しい時間を今日限りにしたくない。

考えろ、俺。


俺のミストは残り約6割。

今のクレイゴーレムにはその半分くらいが使われている。

つまり、クレイゴーレムを今の3倍の強度に出来るはずだ。

それを今出来るか?

即席でクレイゴーレムを作れたんだから、出来そうな気がする。


そう考えた矢先、クレイゴーレムの片腕が吹き飛んだ。

ジョージ「今のクレイゴーレムだと物足りなくなってきたみたいだから、1段階強化してみた。」

余裕のあるフリをして、残り全部のミストをクレイゴーレムに注ぐ。

片腕が飛んでミストが減ったので、完全な状態の約半分の強度のクレイゴーレムだ。

今日は何とかコイツで凌ぎ切りたい。

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