65 レグンザミド救出作戦
ショークにはゲート阻害装置がある。
だから、クーインのゲートで入れなかったのだ。
ゲート阻害装置がある限り、レグンザミドを開放しても国外に行くことは出来ない。
ショークとザイクの間の壁は、ルブルムテイルでも斬れないミスト・アイテム。
レグンザミドを開放するのと同時に別部隊がゲート阻害装置を破壊して、ゲートで逃げるしかない。
ゲート阻害装置はショークの東と西の端にあり、両方を壊さないとゲートが使えない。
そして、ゲート阻害装置を破壊すれば、国内の実力者の多くが国外逃亡すると思われる。
彼らを集めれば、戦力は何倍にもなるし、城の内部事情も得られる可能性が高い。
そうなってから仕切り直せば、勝算もあるだろうという考えだ。
西の阻害装置・オーロト組
東の阻害装置・ジョージ組
研究施設本部・アルマ組
恐らく全員が幹部クラスと戦うことになる。
どの組が負けても任務失敗。
血塗れで微笑むキラーヌが頭を過って緊張する。
作戦の決行は明日。入念に下見をして、心の準備をする。
昨日とは比べ物にならない良い食事と良い部屋を用意され、俺たちはホウレンの家で夜を過ごした。
オーロト組
セインダット【いよいよ、幹部との戦いか。】
オーロト【キラーヌと戦うのは誰かなぁ。】
【アイツに、勝てるかな。】
リアマ【珍しく弱気だね。】
ロビンス【仕方ないよ。今日だけは。】
オーロトとセインダットが静かに入り口の兵士を気絶させ、阻害装置がある建物に入る。
中にいる兵士を倒しながら前進していくと、鋭い雰囲気の長髪で細身の男性が立っている。
アルマから聞いていた幹部・ジャリュウの特徴と一致する。
冷酷な剣士ジャリュウ。
レグンザミドを誘拐した男。
ジャリュウ【ふーん。ボクのコトを知ってるみたいだね。】
【ボクのコトを知ってる賊は多くないハズだけどね。】
【良いけどね。どうでも良いけどね。】
【でも、いいね。いいね。強そうだね。】
ジャリュウは両手に剣を持って、ユラユラ揺れるとフッと消えた。
次の瞬間、リアマに斬りかかった。
オーロトがその剣を受けるが、もう片方の剣で肩を斬られる。
セインダットが反撃するも、またフッと消えて元の位置に戻った。
オーロト【コイツの軌跡が読めない。】
セインダット【単なる緩急つけての高速移動じゃないな。】
リアマ【ユキちゃん、雪降らせて。】
ロビンス【ジョージさんが言ってた。洗練された能力行使の軌跡は読みにくいって。】
【軌跡を読めないなら、五感で感じるしかない。】
【脳強化して観察するから、暫く3人で戦ってくれ。】
普通に考えたら、ワープか幻術だ。
ゲート阻害装置があるが、ミスト・アイテムを使ったワープなら可能性はある。
ワープ系のミスト・アイテムなら、何かしらの発動ルールがあるはずだ。
また、幻術だとしても五感のどれを騙すものなのかを確認しないといけない。
ジャリュウの攻撃を何度か観察すると、非常に厄介な幻術だと解った。
姿を消す幻術、五感を時々一瞬遅くする幻術の二つを併用している。
こんな状態でマトモに戦えるハズがない。
でも何故か、オーロトにはジャリュウの動きが正確に解るようだ。
ロビンス【ジャリュウが使っているのは幻術だ。】
【視覚だけじゃなく、五感をランダムに乱す厄介な幻術だ。】
オーロト【違うよ。ジャリュウは常に五感の一つだけを乱してる。】
【だから、五感全てで感じれば、何てことないさ。】
【4つの感覚は正常なんだから、問題なく戦える。】
セインダット【は?何言ってんだ?】
リアマ【よく解んないけど、ここはオーロトに任せましょ。】
ロビンス【開花したか。昔から凄いヤツだと思ってたけど、流石だな。】
ジャリュウの動きに対応できないセインダットは下がり、オーロトとジャリュウが斬り結び、二人がサポートする体制になった。
セインダットはすることが無くなり、後方で立ち尽くした。
オーロトは神経が研ぎ澄まされ、徐々に動きが洗練されていく。
しかし、それでもジャリュウとの地力の差は大きい。
ジャリュウ【お前、何なんだよ。気持ち悪りーなぁぁ!!!】
ジャリュウの動きも速くなっていき、徐々に劣勢になっていく。
ロビンス【仕方ない。長くは持たないけど、僕がセインダットの目になる。】
【霧で空気を作った。】
【あの空間の霧は僕のものだ。】
【だから、幻術に惑わされずジャリュウの動きが解る。】
セインダット【そして、テレパシーの要領で俺に伝えるのか。】
【解った。行ってくるよ。】
ロビンスの霧が尽きれば、セインダットの出番は終わる。
短い時間に全力で攻めて結果を残さないといけない。
セインダットも長く持たない大技、六刀流で行く。
これならジャリュウが相手でも優勢。
ジャリュウに大きなダメージを与え、剣を一本折ったところでロビンスの霧が切れた。
オーロト【お疲れ。ナイスファイト。】
だが、セインダットは下がらない。
セインダットは他の剣を納め、1本を両手持ちする。
セインダット【もう慣れた。俺もやれる。】
多刀に割いていた注意力を敵に向ければ、自分も戦えるハズと考えた。
いや、そうだと思いたかった。
セインダットの読みは不完全だが、邪魔にはならない程度にはなった。
引き続きやや優勢。
これなら何とかなるか、と思ったら。
ジャリュウ【ここまでかー。お疲れ。】
ジャリュウは突然構えを解き、二人の斬撃の直撃を受けた。




