60 アルマたちの目的
ジョージ【お待たせしました。良いですよ。】
イシノシ【構えないのか?】
ジョージ【よーいドンで構えますよ。】
【最初から構えてたら雰囲気でないでしょう。】
イシノシ【私は見た目より素早いぞ。まあ良いか。】
【では、参る。】
イシノシは棒術使いか?
棒を振り回して勢いをつけて飛びかかってきた。
今回は霧切れを心配する必要はない。
燃費度外視で最高強度の盾で受け止める。
しかし、イシノシの攻撃は単発ではなく乱打だった。
じゃあ燃費のことも考えないとな。
軌跡読みで大体相手の技の強さは解る。
それに合わせて調整した盾で受ける。
そのうち、乱打とは違う霧の流れを感じた。
大技の準備だろう。
最高強度をすぐ出せるようにスタンバイしなくては。
今だ。
イシノシ【エクスプロージョン・アクス!!!】
要はアカネの「爆斧」ね。
アカネスタイルの棒術なのだろう。
棒を振り上げると同時に、斧の刃が現れた。
やはりかなりの威力だ。
新しい盾のお陰で割と余裕があるが、前に使ってた盾だったら受けきれなかっただろう。
しばしの沈黙。
ジョージ【終わりですか?】
イシノシ【ああ、終わりだ。予想以上の使い手だな、恐れ入った。】
直後、大歓声が上がった。
いつの間にかみんな会話を止め、俺たちに注目していた。
オーロト【滅茶苦茶精密な霧操作っすね。】
【あの乱打を1%単位の精度で調整しながら受けて、「決め技」を察知して全力の準備。】
【こんな物質操作、初めて見ましたよ。】
何か聞いたことあるような感想だな。
軌跡読みで専門が違う能力者を見れば、こういう風に感じるものなのか。
ジョージ【オーロトのさっきの戦いも、相当精密だったぞ。】
【レヴァンとの戦いで、お互い気付かぬうちにレベルアップしたのかもな。】
リアマ【て言うか、見ただけで霧操作が精密とか解るもんなの?】
アリサ【それは、軌跡読みって技術で解るようになるんだよ。】
【あたしも少し軌跡読み出来るけど、戦いの中の軌跡を読むのは全然無理。】
オーロト【今まで何となく感じてたのが、最近はっきり感じるようになってきたんだよな。】
【これがアニキが使ってる軌跡読みなのか。】
ジョージ【オーロトは無自覚のまま、かなりのレベルに達していたんだと思う。】
【で、自覚して使ってる俺やアリサを近くで見て、目覚めたんだろう。】
イシノシ【ジョージ殿。次はあなたが攻撃するターンですよ。】
なぬ。これってそういうモノなのか。
ジョージ【お待たせしてすいません。】
【流儀を知らなかったもので。】
【じゃあ、準備は良いですか?】
イシノシ【ああ、いつでも来い!】
ジョージ【行きます!】
右手からブラックとゴーレム。
左手からホワイトとゴーレム。
久々の袋叩きスタイルで行ってみようか。
攻撃に専念するのって何時以来だろう。
流石に硬いな。
ゴーレムの攻撃は丸っきり意味がない。
俺はゴーレムを引っ込めた。
あとは様子を見て「決め技」でフィニッシュか。
「収束衝撃波」を人に当てるのは初めてだ。
ちょっと心配だが、相手は一流の盾役だ。
怪我させるかもしれないが、死にはしないだろう。
いくぜ、収束衝撃波!!
イシノシは手の甲で受ける。
ノーダメージ?そんなはずはない。
ミスト・アイテムか?
収束衝撃波が終わる直前にちょっとズラしたら、イシノシの肩が裂けた。
ジョージ【終わりです。】
今度は歓声はなく、沈黙が続く。
そうか、この世界には我召喚が無いのか。
俺の攻撃はほぼ我召喚任せだからな。
変なヤツだと思われたかもしれない。
イシノシ【ああすまない。考え込んでしまった。】
【その何だ、色々出して戦うのがあなたのスタイルなんですか?】
ジョージ【そうですね。白いのと黒いのは我召喚という能力。ゴーレムは物質操作です。】
イシノシ【我召喚、そういえば昔ドラゴンが使っていたな。】
ジョージ【そのドラゴンは今は?】
イシノシ【レヴァンの本国に捕らえられている。まだ生きていればな・・・。】
【昔俺たちが世話になって、1年ほど仲良くしていたドラゴン。飛龍レグンザミド。】
やっぱりレヴァン本国にドラゴンがいるのか。
我召喚を使うドラゴン、完全召喚を知っている可能性も高そうだ。
アルマ【俺たちは、元々レグンザミドを助けるために力を蓄えていたんだ。】
【それなのに、いつの間にか諦めて専守防衛なんて言うようになってた。】
【君たちの勇姿を見て、目が覚めたよ。】
【今一度、レヴァン本国に挑みたいと思う。】
マイヤ【横槍失礼、アルマのパーティーのマイヤです。】
【あなた達は異世界人でしょ?目的はドラゴン?】
【詳しくは聞かないけど、レグンザミドを傷付けたりはしないよね?】
かなり優秀な軌跡読み使いなのだろう。
下手な偽証は心証を悪くするだけだな。
ジョージ【俺たち4人が異世界人です。】
【目的はドラゴンに召喚術の奥義を聞くこと。】
【あと、時間が許す範囲でレヴァン殲滅に協力すること。】
【ここに来た目的は、自分達だけでは目標達成が困難だから協力を得るためです。】
マイヤ【軌跡読みを知っているのね。】
【何か隠してるけど、悪意はない。】
【全面的に信頼して、協力関係を築いて良いと思う。】




