57 殺し屋キラーヌ
悔しいが今回は戦う選択肢は無い。
村人を見殺しにするしかない。
ジョージ【村に多分、本国の幹部ってヤツがいる。】
俺は能力で見た姿をトレースしてみた。
3Dプリンター並みの精度で、俺の霧は幹部の姿になった。
オーロト【・・・キラーヌ。】
【唯一オレが知ってるレヴァンの幹部。】
【オレが前に住んでた町の大人を、一人で皆殺しにしやがった超速の殺し屋。】
【いつか復讐してやろうと思ってるけど、今のオレじゃ100人いても勝ち目はゼロだ。】
リアマ【あ、オーロトは元々近くにあった町の子だったの。】
【結構大きな町だったんだけど、オーロトと他2人の子供以外みんな死んじゃったの。】
ロビンス【アルマに向かおう。】
【もう、村は諦めるしかない。】
【アルマで力を付けて、僕がレヴァンを滅ぼす。絶対に。】
オーロト【僕たちって言えよ。】
リアマ【三人でね。】
シゲル【俺たちは?】
ロビンス【ドラゴンを探すんだろ?】
ジョージ【レヴァンを滅ぼす。】
【レヴァンに囚われたドラゴンを助ける。】
【ゴールは違うけど、道中は一緒だ。】
【それまでは仲間で良いんじゃないか?】
【嫌か?】
アカネ【正式に仲間になるなら、わたしたちの事情、言っちゃわない?】
ジョージ【そうだな。】
二人も頷く。
俺たちはハスハのこと、完全召喚のこと、ペアリングのこと、ゼロ・ホール出身であることを三人に話した。
オーロト【やっぱりな。単に帰りたいだけじゃないとは思ってた。】
リアマ【それにしても、能力に目覚めて1月足らずって凄いよね。】
【天才って言葉じゃ足りないくらい。】
ロビンス【君たちなら、キラーヌに届き得る。】
【ちょっと待ってて。】
そう言って、ロビンスは暫く考え込んだ。
ロビンス【僕たちは、アルマに向かう。】
【そこで1月修行して、1月レヴァンの支部を潰して回る。】
【支部には沢山のミスト・アイテムがある。】
【武器と能力を揃えて、本部に殴り込みだ。】
【半年以内にレヴァンを潰せれば、最後まで協力してくれるよね?】
シゲル【良いんじゃないか?】
【地球に戻って戦うときも、ミスト・アイテムがあるのは心強いし。】
こうして、俺たちは進路を決めて旅を続けた。
アルマはかなり遠く、道中に何度か改造魔物とも戦った。
時間があれば鍛練し、かなり強くなった。
オーロトたちは決まった動きを反復することで、威力と精度を上げる「決め技」を幾つか習得している。
例えば、オーロトの乱れ斬りは「木っ端微塵斬り」という決め技だ。
精神統一してからの乱れ斬り一発一発が、渾身の一撃。
カトマトの「連続衝撃波」も決め技だろう。
俺の強化盾も、一瞬で出すために同じ性質で同じ形の盾を出すことを反復練習している。
これと同じようなことをした攻撃技って感じか。
要は、ルーティンを用いた必殺技だ。
アカネは、最速の突き「閃光」と破壊力特化の「爆斧」を習得した。
他の面子も色々試している。
俺はブラックに「収束衝撃波」を覚えさせた。
1cmの衝撃波。衝撃波というよりビームっぽい。
流石にこれは「溜め」が必要だ。
ホワイトが強化盾「サブ盾」で守って貰いながら使おう。
いよいよアルマの近くに来た頃、子供が一人で歩いていた。
アルマの子供だろうか。
その子は怪しい二人組に連れ去られた。
行き先はレヴァンの支部。
アリサを連れ去った支部よりかなり小さい。
助けに行くべきか?
この支部には普通の建物しかなく、軌跡読みで全体が解る。
カトマトレベルが二人。
他は雑兵。
今の俺たちなら、制圧出来そうだ。
侵入して雑兵を2、3人倒したら、強い2人が出てきた。
戦士風の男が斬りかかってくる。
オーロトがそれを受け止め、脇からアカネの「閃光」が入る。
戦士風の男は距離を取り、魔法使い風の男が無数の針を飛ばす。
ホワイトが盾で二人を庇うが、防ぎきれずホワイトが墜ちる。
再びホワイトを出し、ブラックと共に魔法使いに挑む。
戦士の方はオーロトとアカネが相手をし、シゲルとロビンスが援護。
戦士の方の「決め技」だろうか?
強烈な突き技でオーロトが吹き飛ばされた。
腹には風穴が空いており、リアマが急いで治療を始めた。
その隙にアリサが急接近し、ルブルムテイルで背後から袈裟斬りを決める。
一瞬真っ二つになりかけるが、素早く回復してアリサとアカネの相手をする。
魔法使いの方は、「溜め」を妨害しているからか、一度に数発の針しか飛ばしてこない。
こちらは戦線維持は問題ない。
戦士の突き技がまた来る前に倒すのが良いだろう。
先ほどの突き技と同じ動きを察知し、俺は二人の前に盾を出す準備をする。
戦士は俺の動きに気付いたからか、技をキャンセルした。
次は四人の連携技だ。
シゲルとアリサの攻撃を避けるために戦士をジャンプさせる。
ジャンプした戦士にアカネの大技「爆斧」を入れる。
回避不能の戦士は、アカネに突きを放つ。
俺の盾がアカネを庇って「爆斧」直撃。
俺たちは、よろめいた戦士に一斉攻撃を仕掛けようとした。
しかし、「無数の針」が再び飛んできたので急いで回避した。
その隙にブラックとホワイトの攻撃が入り、魔法使いは絶命した。
無数の針を浴びた戦士は死ぬかと思ったが、逆に全ての傷が癒えて先ほどより強くなっている。
最初の針は攻撃技だったが、今回は強化技の様だ。
魔法使いは殺られる前提で全ての霧を使い、戦士を強化したのだ。




