44 VSハスハ
やりたくないが、状況を変える一手はある。
訓練ですることじゃないし、100%出来る保証もないが。
俺はハスハの攻撃を足で受けた。
霧で強化していない足は、綺麗にスパッと切断された。
流石にかなり痛いな。
でも脳強化のお陰か、痛みで集中力が落ちたりはしないようだ。
一瞬フリーになった両手から、ブラックとゴーレムを出す。
そして、召喚回復で足を治す。
さぁ、これで態勢は整った。
いくぞ。
と思ったら、ハスハがフリーズしてる。
ジョージ「おーい。」
ハスハ「あっ、すいません。」
仲間の足を斬っちゃったと思ったら、まぁ焦るよな。
悪いことしちゃったな。
ブラックがハスハの移動の要の骨を攻撃する。
関節部分はコラーゲン的なものだろうか。
少なくとも、ハスハの得意なカルシウムじゃないハズだ。
だから、関節を破壊すれば再生にはそれなりの労力が必要だろう。
ブラックに適当に関節を破壊させるだけで、かなりハスハの行動を阻害できる。
更に俺の隣にはゴーレムもいる。
これでやっと五分の戦いになった。
だが、身体強化を使っているハスハの方が霧の消費量は多い。
飽和の俺の方が霧の量も多いし、この状態が続けばハスハの霧が先に尽きる。
あれ?ハスハも飽和になってる。
今日の昼にミドリの霧と見比べたときは、間違いなく循環だったはずだ。
あれから数時間、いつの間に。
ハスハが飽和であることを考えると微妙だ。
俺は召喚回復で結構な量の霧を消費してしまった。
このまま消耗戦を続けて、僅かに霧が残った方の勝ち、じゃ面白くないよな。
接近戦を受け入れた時点で、ブラックはそこまで忙しくない。
隙を見て衝撃波を一発入れれば、形勢が決まるだろう。
タイミングはブラックに任せて、俺とゴーレムは攻撃を加速させる。
良いタイミングで衝撃波を入れるが、ガードされた。
流石ハスハ、俺の戦い方を理解している。
その後もお互いに色々とやってみるが、決定打にならない。
消費する霧は俺の方がやや少ないが、残っている霧は俺の方が少ない。
状況はやや不利。
状況を変える一手が無いと、負けが濃厚。
勝つためには、新しい何かが必要だ。
ムラモト「そこまでー!!」
「今日はもう閉めるぞ。」
気付くともう10時だ。
別にココは10時閉館という訳じゃないが、預言のない今週はそこまで無茶するのは良くない。
このまま霧切れまで戦ったら、明日は動けないかもしれない。
妥当な判断だろう。
ハスハ「えー。今日勝てなかったらもう一生勝てないよー。」
ジョージ「このまま戦ってたら、結構危なかったもんな。」
「でも、召喚戦なら10回やって10回負けるぞ?」
ハスハ「我召喚ナシでしたっけ?それで勝っても何か違うなー。」
ムラモト「お前たちはもう、支部で訓練しない方が良いんじゃないか?」
「こんなこと続けてたら、そのうち死ぬぞ。」
ジョージ「うーん、否定できないですね。」
「今日も足切ってますし。」
ハスハ「いつの間に召喚回復覚えたんすか。」
「さっきは本気で焦りましたよ!」
ジョージ「メイの講義のとき、言ったぞ。」
ハスハ「あれ?あーそういえば、そんな気も。」
ジョージ「実際、自分の身体を治したのは初めてだけどな。」
「それより、飽和と骨移動の方が騙し討ちだろ。」
ハスハ「ジョージさんと手合わせだーってテンション上げたら、飽和になりました。」
「それを戦う直前にご報告するのは違うかなーって。」
「骨移動は、今まで上手くできなかったんすけどね。」
「飽和になったから出来んだろってやってみたら、出来たって感じっす。」
ムラモト「いよいよ、殆どのメンバーが飽和になったな。」
「カミオ、明日はお前が飽和になるまで訓練しようか?」
カミオ「そうですね。ハスハに置いていかれるとちょっと焦るんで、頑張りたいです。」
そうは言っても、ハスハはもうかなり強いぞ。
タイマン性能なら、最早最強候補の一人と言っても良い。
成長速度を考えると、次はもう勝てない可能性が高い。
考えてみると、身体強化が苦手な時点で俺は前衛タイプじゃないんだよな。
ハスハ、アカネ、ヤマト。
今は五分に戦えてるがコイツら前衛タイプと、そのうちマトモに戦えなくなる。
サポートタイプなんだから当たり前なのだが、何だか寂しいな。
ハスハ「ジョージさん、また色々考えてるっすね?ウチも今日は考えること一杯なんで、そろそろ帰りましょう。」
ジョージ「そうだな。」
ムラモト「ジョージ、自分の足忘れるなよ。」
ジョージ「そういえば、アレどうしましょう?」
「燃えるゴミじゃダメですよね。」
ムラモト「上の病院に頼めば良い。」
「夜勤の人にとっては迷惑だろうが、持って帰って騒ぎになっても困るしな。」
ジョージ「了解です。」
ムラモト「じゃあ、もういい加減帰るぞ。」
一同「お疲れ様でした。」




