35 スパルタ訓練
シニカの生まれた村は二つの大国に挟まれており、頻繁に戦争に巻き込まれていた。
シニカがいた星には、M・Hが二つあり、その影響で攻撃的な人間が多いそうだ。
M・Hが無い星に生まれた人間は、ゼロ・ホールと呼ばれる。
霧に触れて能力に目覚めると、得意能力の使い方が直感的に解かる。
能力に目覚めて数年は、霧のある世界では圧倒的弱者とされる。
M・Hが1つの星に生まれた人間は、ソロ・ホールと呼ばれる。
宇宙ではソロ・ホールが最もポピュラーな人間。
これから地球で生まれる子はソロ・ホールになる。
ゼロ・ホールより基本的に能力は優秀だが、得意能力が解る直感はない。
M・Hが2つの星に生まれた人間は、ダブル・ホールと呼ばれる。
ソロ・ホールより明確に強力な能力を持つ。
好戦的な人間が多い。
M・Hが3つの星に生まれた人間は、魔人と呼ばれる。
ダブル・ホールと比べても桁違いの戦闘能力を誇り、その全てが極めて好戦的。
1人で星を滅ぼすこともある生きた厄災。
シニカはダブル・ホールだが極めて温厚な平和主義。
戦争多発地帯での生活が嫌で、M・Hに入った。
今は、地球、特に日本食が気に入り、メロ大学に通っている。
パッと見中高生くらいに見えるが、実年齢は不明。
今の生活を守るためにある程度協力しても良いが、戦うのは嫌らしい。
日本での生活を思いっきり楽しんで貰って、良い関係を維持するのが得策だな。
シニカは俺たちが見聞きした程度の能力は一通り何でも出来るそうだ。
マイの預言の精度が下がったのは、優れた能力者が増えてきて、軌跡を読み切れなくなっているのが原因のようだ。
つまりは、マイのレベル不足が原因ということのようだ。
それで、シニカの提案で「マイとメイで1日1回ブラックを倒す」ことになった。
戦闘経験の少ない二人を召喚訓練で虐め倒せとのことだ。
我召喚が使える能力者は人間召喚も使える。
俺はブラックを召喚した後、何度も死ぬマイとメイを都度再召喚する。
これなら、3人で延々と訓練が出来るということだった。
タムラは循環なので、10回も召喚すれば霧切れになる。
俺はその倍は召喚できるので、最適な訓練相手らしい。
最低でも5回は死ぬ前提なのか、スパルタだな。
マイ「理屈は解りました。ですが、気が重いですね。」
メイ「密かに少し練習はしてた。でもいきなりブラックが相手か・・・。」
顔色の悪い二人との訓練が始まる。
因みに俺はシニカと話をしてみたかった。
でも、シニカは既にミワと遊びに行ったそうだ。
でもまぁ、代表の二人にスパルタ訓練。
総理の娘で温室育ちと思われる二人にスパルタ訓練。
滅多に出来ることじゃないよな。
静かに俺の中のSっ気が目を覚ます。
ジョージ「それじゃあ始めますよー。」
マイ・メイ「よろしくお願いします!」
さて、マイは火炎放射。
炎を使う能力者は多い。
コトネは小さな火を空気操作で大きくして操る。
マギドワやオガワは出した物質を燃やして戦う。
マイは、霧をそのまま火炎放射にしている感じか。
メイは身体能力強化。
こっちがメインで若干石のようなものを纏っているのか?
劣化ヤマトって感じか。
ブラックの方は、衝撃波や爪攻撃だと即死させる可能性が高いので、普段やらないグーパンチで攻撃している。
手加減パンチを必死に避ける二人が可愛い。
二人の攻撃は、能力使用に慣れていないのでぎこちない。
全部避けるのも容易いが、何度か受けてみるもダメージはほぼ無い。
強そうな火炎放射が直撃しても、ブラックの表皮を軽く焼くだけ。
試しに軽くパンチを当ててみると、思いっきり吹っ飛び骨にヒビが入る。
何度も死線をくぐったからだろう。
才能があるはずの二人が全く相手にならない。
俺の今回の任務は、二人に死線をくぐらせろってことだろうな。
違うか、何度も死ぬんだから「死線をくぐる」じゃないか。
マイが二回、メイが三回死んだくらいからか。
結構本気のパンチでも大丈夫なってきた。
メイは上手に防御できるようになってきたし、マイは避けるのが上手い。
攻撃も時々避けられないのが来るし、喰らうとそれなりに痛くなってきた。
そろそろ爪攻撃解禁かなーと考えていると、二人の連携で結構良い一撃が入る。
咄嗟に爪攻撃を広範囲に放って、バラバラ殺人をやってしまう。
ごめんなさい。
爪攻撃はちゃんとしたブラックの攻撃なので、手加減しても対処は難しいようだ。
一刀両断しないくらいに加減しているが、やはり出血が多く早くに死んでしまう。
マイが10回、メイが14回死んだ時点で、メイが倒れた。
召喚体は常に全快なので、精神的なものだろう。
そりゃそうだ。
14回も死んだらおかしくなるわ。
まだ全然ブラックを倒せそうにないが、二人とも限界なので訓練はストップした。




