31 第三席の背中
俺はブラックをクレイゴーレムの亜種くらいに考えていた。
その視点だと、ブラックは扱いにくかった。
しかし、俺の一部とは言えブラックは別の生き物だ。
俺はブラックの操作を止め、命令だけ与えて自由に戦わせてみた。
俺は結構判断力には自信がある。
しかし、それは戦局全体の話だ。
一瞬の判断力はブラックの方が俺より上だった。
更に自由にさせたブラックは爪を伸ばしたり、爪を飛ばして再生したりしている。
ブラックは獣の形をしているので、野性的なカンもあるのだろう。
俺には解らないタイミングで回避行動をしたりする。
アカネは最初は剣だった金属をヤリやオノ、ハンマー等の形に変えて戦うようになってきた。
ブラックの野生に頼らなければ対処が難しくなっていく。
ブラックを三度倒した時点で、アカネのスタミナが尽きて休憩に入る。
今回の手合わせは約二時間。
驚異的な成長だ。
ジョージ「凄いね。前のときとは別人みたいだよ。」
アカネ「でもブラックちゃんだけで互角だからね、ジョージさんの方が強くなってるよ。」
ムラモト「すまないが、休憩に入るなら交代して貰えないか?」
支部には訓練場が二ヶ所あり、片方はヤマトとカミオが使っているようだ。
ムラモトとハスハで訓練がしたいらしい。
ジョージ「了解です。」
「じゃあアカネ、シャワー浴びたらご飯行こうか?」
アカネ「はぁい。」
ムラモト「さっきは悪かった。むしろ私の方が副隊長として不甲斐ない。」
「君たちの訓練を見て、新人二人が触発されてな。」
「君の方が副隊長に相応しいと言われないように私も頑張るよ。」
ジョージ「俺は能力に目覚めるまで戦闘経験ゼロでしたから。」
「今はまだ副隊長とか無理ですよ。」
ムラモトは複雑な顔をする。
「今はまだ」気を抜くと追い抜くぞって意味でもある。
今後の展開が解らないので、皆には強くなって貰わないといけない。
強過ぎる宇宙人が来て、誰かが死ぬのは避けたい。
ある意味、アカネもヤマトもムラモトも良いライバル関係だと思う。
こういうのは成長するのに欠かせない。
シャワーを浴びながら、もう傷がないことに気付く。
驚異的な回復力。
俺ももう半分宇宙人みたいなものか。
さて、待ちに待ったアカネとのデートが始まる。
能力の話、マギドワの話、会話内容に色気はないが、やはりムラサキやハスハと話をするより楽しい。
色々あって、前に二人で話したのはほんの数日前だが、凄く久しぶりな感じがする。
ハスハ邸でのお泊りについては少し嫌な顔をされたが、別に変な意味はないし、終始良い感じで食事は終わった。
夜も更けたので、最後にブラックに乗って家に帰ることにした。
ブラックは身長165cm。
普通の人間サイズだ。
ブラックの力だけだと俺一人乗せるので精一杯だが、俺が強化すれば楽勝。
俺は他者強化の才能はないが、我召喚は身体の一部の様なものだから出来るようだ。
二人で密着して空の旅。
良い感じの夜景で良い雰囲気。
多分、今キスをしても良いんだろうな。
あの約束は姉と弟の前だったから言っちゃっただけだ。
正直キスしたいし、それ以上もしたい。
でも、下手なことをして失望もされたくない。
控えめなハグ。
今日はこれだけで我慢しよう。
家に帰って、ブラックとタイマンしたくなったが、今の俺らが戦ったら騒ぎになるだろう。
ブラックが得た情報は俺に戻るときに共有される。
俺は夜中にブラックに空の旅をさせることにした。
ブラックも楽しめるし、空から世の中の異変に気付ける可能性もある。
それにブラックの飛行は能力使用なのだ。
ブラックの体重は約30kg。
身長の割に軽いが、羽根で飛べる重さじゃない。
ブラックは羽根と能力の併用で飛んでいるのだ。
だから、毎晩ブラックに空の旅をさせていれば、飛行能力が鍛えられるはずだ。
能力使用に慣れることによって、衝撃波も鍛えられる可能性もある。
ブラックは俺の中にいる時間は基本的に寝ているのと同じなので、日中に出番が少なければ眠くないのだ。
さて、俺は眠いからもう寝よう。
と眠りにつく前にヤマトから電話が来た。
ヤマト「夜中に申し訳ない。」
「緊急事態だ。第二隊で任務失敗。」
「任務にあたっていた4人が全員死亡。」
「明日、第二第三隊合同緊急会議を開くことになった。」
「8時半に支部に集合、9時に本部で会議を行う。」
マジか。
預言があるから任務は基本的に勝ち確定だと思っていた。
いや、マギドワ戦も回復薬を奪えなかったら負けていただろう。
「そういうこと」なら、人数を増やせば何とかなる。
しかし、そうではなく預言の上を行く能力者だったら・・・。
今考えても仕方がない。
今日はしっかり休んで、明日に備えよう。
ジョージ「解りました。よろしくお願いします。」
そう言って、不安を残しつつも眠りについた。




