29 宇宙人マギドワ
【ゼロ・ホールの猿にしては、悪くない攻撃ですね。】
【でも、猿の攻撃でこのマギドワにダメージを与えられることは出来ませんよ。】
マギドワと名乗ったその宇宙人は、俺たちにテレパシーを送る。
マギドワは全くの無傷だ。
確実に骨が砕ける感触があったはずなのに。
ムラサキは押し入り犯が出たと言って、学生を避難させる。
考えられるパターンは二つ。
①普通に攻撃してもノーダメージ。
②ダメージがあるが隠している。
アイツがテレパシーをした意図は何だ?
もし、①なら攻撃が無駄だと言う意味はない。
カラクリに気付く確率を上げるだけだ。
そう考えると②が答えか。
そう読むことを考えて①の可能性もあるが、今回は無いだろう。
マギドワが地球人を舐めていることは嘘ではないと思う。
舐めている相手の「気付き」を期待するとは考えにくい。
ジョージ【アイツの発言はハッタリだ。攻撃は有効だ。】
【迷ったフリしてさっきと同じ攻撃をしよう。】
ムラサキ【了解!】
全く同じ攻撃を仕掛けると、マギドワは攻撃を避けた。
俺のブラックジャックだけがヒットし、ムラサキとブラックの攻撃は外れた。
そして、剣を出しての反撃。
回避するが、剣が動いて俺は肩を斬られる。
ダメージが無いなら避ける意味はない。
だが、ダメージが残っている風でもない。
回復している。
回復力が高い宇宙人なのだろう。
マギドワの戦闘スタイルが解ってきた。
高い回復力による泥仕合がコイツの戦闘スタイル。
泥仕合でお互いに消耗して、飽和を維持できなくなった相手を操作するのが狙いか。
・霧の消費を抑えながらダメージを与える。
・大技で一気に致命傷を与える。
コイツを攻略する方法は、この二つ。
後者は俺達には無い。
前者を選ぶしかないだろう。
最もエコな戦いはクレイゴーレムと俺の挟み撃ちブラックジャックか。
だが、これだとヤマト戦同様に俺が先にやられる可能性が高いだろう。
ジョージ【ハスハ、確実な隙を見つけて全力の一撃を喰らわせてくれ!】
【ムラサキさんは強化を控えめに、霧を節約して戦ってくれ!】
増援が来れば恐らく詰む。
その前に決着をつけないといけないので、ハスハにも合流してもらうしかない。
俺はブラックを戻し、クレイゴーレムでマギドワに対峙する。
ムラサキは俺本体よりかなり強い。
ムラサキとクレイゴーレムなら、戦線を維持できる可能性が高い。
と思ったが、不規則に動く剣が何度もムラサキにヒットしている。
これじゃダメだ。
俺は全ての霧を使って三体のクレイゴーレムを出した。
ジョージ【ムラサキさん引いてくれ。霧がゼロの俺を守ってくれ。】
俺は目を瞑り、三体のクレイゴーレムの操作に全神経を集中する。
それを見たマギドワは俺に何か飛ばすが、ムラサキが防ぐ。
マギドワは回復偏重の能力者。
クレイゴーレムを突破するのは難しいだろう。
マギドワは無意味な攻撃を繰り返し、ブラックジャックの攻撃を喰らう。
こちらの消費はゼロ。
完璧なハメ技が入った。
マギドワの咆哮が木霊する。
しかし、流石にこのままでは終わらない。
マギドワは剣に炎を纏わす。
炎を喰らえば、クレイゴーレムは消耗する。
結局、マギドワと俺の消耗戦になった。
マギドワの霧は俺よりかなり多いだろう。
しかし、この陣形を維持していれば、マギドワが消費する霧は俺の倍以上だろう。
このまま消耗戦が続けば、十中八九俺たちの勝ちだ。
しかし、消耗してクレイゴーレムの密度が落ちれば、突破される可能性がある。
この状況を変える一手が必ず来る。
そんな中、マギドワはポケットに手を入れた。
何か道具を使う気だろうか?
そう思った瞬間、上からハスハが落ちてきた。
ハスハの最高密度の刃がマギドワの肩に直撃する。
マギドワがポケットから出した何かが、地面に転がる。
ジョージ【ハスハ、それを拾ってこっちに来い。】
恐らくこれは回復薬か強化薬だと思った。
爆発物の可能性もあるが、ポケットに入れていたくらいなので簡単に起爆はしないだろう。
ハスハが拾ったものは、二粒の青い宝石の様なものだった。
マギドワは手に残った宝石を飲んだ。
すると、ハスハが負わせた深い傷が一瞬で治り、密度が落ちたクレイゴーレムの一体を巨大な炎で消し炭にした。
俺もハスハが拾った宝石を飲んだ。
すると、空っぽだった体内の霧が一気に半分くらい回復した。
俺はブラックを召喚し、残る二体のクレイゴーレムの密度を上げた。
これで、もうお互いの手札は出尽くしただろう。
あとは状況が変わる前に一気に倒しきるのが得策だ。
しかし、マギドワはクレイゴーレムの撃破で全てを出し尽くした様だった。
その後、俺の集中攻撃をマトモに喰らって、マギドワは絶命した。




