28 ムラサキ覚醒
その後の記憶は曖昧だ。
目を覚ますと、目の前にハスハの尻。
ハスハはパンツ丸出しで寝てる。
ムラサキの姿はない。
時間は6時、丁度良い時間だ。
トイレに行こうとしたら、ムラサキがトイレで寝てる。
俺は何も見なかったことにして、外で用を足す。
起きていきなり刺激が強過ぎる。
昨日の記憶・・・、ハスハの料理が絶品過ぎて、気持ちよく飲み食いしてた。
そんな中、ハスハがトランプ持ってきて負けたら飲むとか言い出して・・・。
楽しかったけど、任務の前の日にすることじゃなかったな。
5分ほどしてアパートに戻ると、二人は着替えて朝食を作っている。
切り替えが早いなぁ。
ハスハが作る朝食はとても美味しかった。
簡単な朝食なのに、自分でつくるのと全然違う。
全員潰れたけど、二日酔いはない。
循環と飽和の効果だろうか。
心身ともに良い感じだ。
ここまで考えての飲み会だったのかもしれない。
さて、では気持ちを切り替えて出発だ。
大学に到着し、予定通りの配置に付く。
レイジとの戦いを思い出して、今更ながら少し緊張する。
「ニョロ」で学校探索。
アカネを尾行していたときのことを思い出す。
あのときは、一本出すのが精一杯だったが今回は全ての指から一本ずつ、十本の「ニョロ」が出せる。
視力も格段に上がっており、ズーム機能付きだ。
何時間も調査するつもりだったが、調査は30分もかからなかった。
最初は各教室に配置する予定だったが、学食や商店に配置することにした。
日本の文化を理解しようみたいなヤツなら、討伐対象にはならないと思う。
大学に潜入する悪い宇宙人の目的は、人攫いの可能性が高い。
人攫いは講義を受けたりはしないだろう。
ソイツは学食で学生の品定めをしていたので、パッと見で怪しいと感じた。
暫く観察していたら、学食を出た学生に何かを飛ばした。
すると、その学生は黙って何処かに行き、ソイツは元の席に戻った。
被害者と思われる学生を尾行すると、近くのアパートに入った。
そこには他に二人の学生がいた。
彼らには生気がなく、人形のようにその場にただ座っている。
レイジと違い、完全に言いなりにさせるタイプの操作のようだ。
作戦会議が必要だな。
俺は全ての「ニョロ」を回収し、二人を呼ぶ。
二人とも高いレベルの循環だが、相手も高いレベルの操作能力者と思われる。
飽和でない二人は、操作される可能性が高いように思う。
因みにレベルの低いレイジの操作をムラサキが喰らってしまったのは、気落ちして循環が遅くなり、その隙間をコトネに突かれたからだ。
ハスハがやられると、ムラサキも共倒れの可能性がある。
コトネが操られたときの様な思いをもう二度としたくない。
そんなことを考えながら、俺は状況を二人に話す。
一度操作された経験がある二人は沈黙する。
再び操作されたらという思いと、同じような犠牲者を出したくないという思いが交錯して震える。
そして涙目になるハスハを見て、ムラサキはあの時のことを思い出す。
ムラサキは「ハスハは私が守るから。」とハスハの頭を撫でる。
次の瞬間、ムラサキの震えは止まり、飽和に至った。
もしかしてハスハの役割は、ムラサキを飽和にすることだったのかもしれない。
だとすると、ハスハはもう離脱した方が安全か?
いや、宇宙人は一人か二人だったな。
ハスハは伏兵にするのが賢明か。
ジョージ「俺とムラサキさんでアイツに攻撃を仕掛ける。」
「敵は一人か二人だ。一人目に集中して二人目からの不意打ちを食らうのはマズい。」
「ハスハは少し離れた場所でそういうのを確認。」
「あと、遠目で見てて、何か気付いたらテレパシーで教えてくれ。」
「ハスハが動くのは、"①ハスハが二人目に気付いたとき"、"②俺が増援の心配が無いと判断したとき"の何れかだ。」
「②のときは俺がテレパシーで合図する。」
ハスハ「それってウチが力不足だからっすよね・・・。」
ジョージ「いや、どちらかと言えばムラサキさんが強くなったから、かな。」
「二対一で戦いになるなら、一人が潜むのは有効な作戦だと思う。」
「三人で戦うのは、敵の総力が解ってからの方が良い。」
ハスハは複雑な顔で頷く。
ハスハ「二対一で戦いになってなかったら、混ざりますよ。」
ジョージ「勿論、そのときはそうしてくれ。」
さて、再び「ニョロ」を学食に送ってあの宇宙人を探す。
宇宙人は丁度立ち上がるので、尾行しつつ俺らも移動を開始する。
都合よく、宇宙人は人が殆どいない旧校舎に向かう。
宇宙人のターゲットの学生は、旧校舎で逢引きでもするつもりだろうか?
旧校舎にも一人学生がいるので、大体そんな感じなのだろう。
俺たちは旧校舎に先回りして潜む。
宇宙人の行動は予想通り。
完璧なタイミングで、ダブル・ブラックジャックと衝撃波を宇宙人に直撃させた。
クリーンヒットの感触。
人間なら即死する威力。
不意打ちで倒しちゃったかもしれない。




