23 「MM」本部
目が覚めると、全ての傷が治っていた。
霧の循環が極まったのか、常に全身に霧がある様な状態になっている。
回復力が更に増しているし、全身が凄く力強い。
身体の動きも「ニョロ」の動きも昨日とは比べ物にならないくらい洗練されている。
激しい戦いを経て、俺は大きく成長したようだ。
実際にレイジと戦ったヤマトさんはもっと成長しているかもしれない。
俺の知っているヤマトさんとは別人と考えた方が良いな。
俺は、少しでも戦いを有利にするために朝からブラックとの鍛錬をした。
ヤマトさんも我召喚を使えるようになった可能性もある。
それに全く知らない新能力が出てくる可能性だってある。
昨日は余裕な気がしていたが、全然そんなことは無かった。
そもそも、受験も就職も失敗続きで、少し前の俺は無気力生活を送っていたのだ。
ここで惨敗して元通りなんて展開はイヤだ。
俺は一つ一つの技を丁寧に確認する。
暫くすると医者が現れ、予想通り退院する流れとなった。
タムラ「午後一に本部に行く流れで大丈夫でしょうか?」
ジョージ「大丈夫です。それに合わせて準備します。」
ゲートで一瞬か。
入隊試験は今日なのか。
流石に急だな。
タムラが退院の手伝いをしてくれた。
ゲートで病室と自室が繋がっているので、非常に楽だ。
不法侵入し放題か。
レイジの所にもいたようだし、レア能力でもないんだよな。
俺でもその気になれば、小さな隙間があれば鍵を開けたり出来るし。
これからの防犯は能力のことも考えないといけないのか。
タムラのお陰でかなり早めに準備が終わり、ゆっくり昼食を取り、ゆっくり精神統一して時間を待つ。
そして、12時40分くらいにタムラに声を掛け、本部へ向かう。
「ようこそ!新入り。」
本部に着くと、いきなり大男に声を掛けられた。
ジョージ「お疲れ様です。よろしくお願いします。」
オカダ「俺はヤマトと同じ大佐階級・第一隊・隊長のオカダだ。」
「本部の案内は俺と、少し遅れてくるウチの隊員のミワでする予定だ。」
全部で幾つの部隊があるのだろう。
ヤマトが第三隊だから最低でも三つ。
俺が何処の部隊に入るのかも、試験次第か。
オカダ「おお!お前はもう"飽和"に至っているのか!素晴らしいな。」
ジョージ「"飽和"って何ですか?」
オカダ「平常時の霧の状態だよ。」
「初心者は"定点"、中級者は"循環"、上級者は"飽和"だ。」
ジョージ「なるほど、でも俺が"飽和"になったのは今朝ですよ。」
オカダ「ヤマトも今朝だし、俺だって"飽和"になるまで三日かかった。」
「因みに俺の能力は身体強化特化でな。最初に覚えたのが循環だ。」
「部隊全体で、"飽和"は三人しかいない。」
「"飽和"であることは誇って良いぞ。」
どうなんだろうな。
オカダさんは三日で"飽和"になって今も"飽和"なんだろ?
多分、一カ月後には今の能力者の大半が"飽和"になるんじゃないのか?
"飽和"がゴールで伸びしろが無いなら、大したことない気がするが。
と思ったら、"飽和"になると能力成長速度が増すから早いことは重要なんだそうだ。
また、"飽和"になると、レイジの操作の様な呪い系に耐性が付くようだ。
霧全快状態では耐性100%で、霧が減ると耐性は落ちていく。
実力者同士では、消耗させてから呪うのが基本らしい。
因みに"循環"でも耐性はあり、レイジの操作の様な低レベルの呪いは防げていた可能性が高いようだ。
コトネは10分も足らずで循環が出来るようになっていた。
もし、突入前に少しだけでも循環を練習していれば・・・。
そのうち気付く可能性は高いが、言わないようにしよう。
さて、決闘場に着いたようだ。
ここでは、召喚士のミワがそれぞれを召喚して戦うので、怪我をしても死んでも何ともないから思いっきり戦っても良いらしい。
何を言っているか全然解らないぞ。
召喚術とは、同意のある人間の魂を霧でつくった肉体に入れる術。
召喚士が自分を召喚すると我召喚になり、他の人だと分身になる。
分身が出ている間は本人の身体は眠りにつく。
死んでも良い肉体を得た被召喚者は、その状態で本気の模擬試合や危険地帯の探索が出来る。
俺は用意されたベッドに入り、目を瞑り召喚されるのを待つ。
・・・待てよ。
霧の身体のときに我召喚は使えないんじゃないのか?
ブラックと連携して戦う予定だったのに。
テスト直前に覚えた範囲が違ってた気分。
冷や汗が出る。




