19 我召喚
俺はデスサイズから我召喚なる能力について、詳しく聞いた。
我召喚とは、人間の普段使われていない魂の一部に霧で肉体を与える技。
魂は生まれてから死ぬまで、基本的に増減しない生命エネルギーの様なもの。
故に消費してしまうと殆ど回復せず減ったまま。
カネトは、霧の能力を使うときに魂が微量に混ざるという特性があるようだ。
通常は精神にのみ魂が使われ、破壊されたりしてもその分の魂は本体に戻る。
その為、用が済んだら「戻す」のがセオリー。
但し、デスサイズはその身体にも多くの魂が含まれるため、「戻す」と魂を消費してしまう。
その代わりデスサイズは、極めて強力な我召喚らしい。
俺らの能力と違って出したら出っ放し。
あの状況を一方的に終わらせたチート級の能力だが、その代償は結構大きい。
もう普通の学園生活は送れないんじゃないか?
更にデスサイズを倒される度に大量の魂を失うため、3回も倒されたら命に係わる。
術者の魂の一部なため、二重人格の別人格の様なイメージだ。
ジョージ【これって俺も出来るの?】
デスサイズ【あなたはカネトと違って未熟ではないし、適性もあるので可能だと思います。】
【霧を目の前に自分の分身を出すイメージで放出すると我召喚になります。】
マジか。
ジョージ「出でよ。もう一人の俺!」
半信半疑でやってみる。
すると、真っ黒な1m弱の鳥人間?が出てきた。
見た感じ黒いガーゴイルって感じ?
シャドウガーゴイル?
ガーゴイル、ブラックガーゴイル。
うーん。「ブラック」にしよう。
思ったよりアッサリ出来ちゃったな。
ヒモ要らないみたいだし、テレパシーで何でも言うことを聞く。
ヒモを当てて「戻す」ことも可能だし、かなり使い勝手が良い。
また、ブラックは俺とは違う独自の能力「衝撃波」が使える。
「衝撃波」を使うと霧が減って、使い過ぎると霧散。
戻したとき「衝撃波」の分だけ、霧が減っている。
但し、ブラックも呼吸をしていて徐々に霧は回復する。
クレイゴーレムの上位互換的な能力だな。
だから、クレイゴーレムが練習になってていきなり使えたのかもしれない。
「戦闘」に関して言えば、いきなり1.5倍くらい強くなちゃったんじゃないのか。
何でレイジ戦の直後なんだ・・・。
ブラックに乗って移動できれば、コトネ達が負ける前に合流できたかもしれない。
遠隔でブラックが出せれば、戦略の幅が一気に広がる。
・・・と思ったが、遠隔で出すのは無理っぽい。
レベルが足りないのか、そういう仕様なのか解らないが、「目の前に出す」ことしか出来ない。
流石に欲張り過ぎか。
そんなことを考えてブラックを操っていると、アカネが入ってきた。
アカネ「何それ、宇宙人?」
ジョージ「アカネ。・・・。」
アカネ「何でちょっと気まずい感じなの?何か怒ってる?」
ジョージ「いや、最後の戦いに参加出来なくて、ただアカネに運ばれただけになったのが恥ずかしくて・・・。」
アカネ「確かにそうだけど。」
そう言ってアカネは笑う。が、やはり前ほどの活気はない。
ジョージ「デスサイズが言うには、カネトは大丈夫らしいよ。」
そう言って、俺はデスサイズの方を示す。
アカネ「デスサイズって何?あの黒いのはデスサイズの仲間?」
ジョージ「デスサイズはカネトの能力。カネトの分身。」
「黒いのは今デスサイズから教わって出した俺の能力。俺の分身。」
アカネはキョトンとしている。
ゆっくりとアカネに我召喚のことを教え、アカネも我召喚を試してみる。
が、上手くいかない。
デスサイズ曰く適性はあるらしいので、そのうち使えるようになるだろう。
因みに我召喚は5人に1人くらい適正があるようだ。
その後、比較的軽傷だったムラサキが来た。
俺が助けた人の中にカンナの妹のレイナがいたらしい。
レイナは瀕死でまだ目覚めておらず、目覚めるかどうかも解らないが、あそこで俺が救助をしなければ100%死んでいただろう。
レイナに限らず、俺のお陰で一命を取り留めた人は沢山いたようだ。
だから、俺にお礼を言いに来たらしい。
カンナも昨日会ったばかりの様だし、感情移入し過ぎだろ。
滅茶苦茶良い人なだけ、なのだろうか?
ついでにデスサイズにムラサキの適性を聞いてみたが、答えは「解らない」だそうだ。
俺はクレイゴーレムを操っている時点で適性があるのは明らかで、アカネは姉なので何となく解っただけだった。
因みにコトネには適性がないようだ。残念。
コトネの名前が出て、全員の顔が曇る。
コトネは目が覚めれば大丈夫だが、目が覚める保証はない。
そういう状況らしい。
俺たちは、コトネの様子を見に行くことにした。




