15 ジョージ組 / コトネ組
ムラモトが小柄な女を攻撃すると、小柄な男が壁を出して防御する。
小柄な男「いきなり女性を狙い撃ちなんて卑怯なんじゃないの?」
攻撃されても、小柄な女は殆どリアクションせず無言を貫く。
予想通りだと確信したムラモトは更に攻撃を続ける。
対フドウの俺サイドも、小柄な女の集中力が乱れたお陰か勢いが落ちた気がする。
気は抜けないが、事故の確率はグッと下がった。
攻撃手段が無いと踏んだムラモトは、小柄な男女にグイグイ近付いて攻撃を続ける。
本当に攻撃手段が無いなら、彼方がやられるのは時間の問題だろう。
そう考えていると、フドウは全身の棘を伸ばし、鎧を球形にして転がってきた。
何だ?この攻撃は?
この攻撃は明らかに悪手だろう。軽く回避して終わりだ。
待てよ、これは真面目に俺を攻略するための攻撃じゃないんじゃないか。
じゃあ何が目的だ?
俺はムラモトの方に意識をやる。
するとずっと此方を見ていた小柄な女が、小柄な男の方を見ていた。
フドウの強化を止めて、小柄な男を強化、それでムラモトを撃破するつもりか。
あの回転攻撃は、二重強化が外れたことに気付かれないようにするのが狙いか。
今、俺は誰からも注目されていない。
舐められたもんだ。
攻撃されると思っていなかったムラモトは、棘のパンチをボディーに受ける。
と同時に俺が飛ばしたニョロが、小柄な女の後ろに到着する。
即座にブラックジャックで小柄な女を攻撃、撃破。
それで動揺した男の方も軽く撃破。
フドウは鎧が球形のまま変形出来ず、身動きが取れなくなっている。
俺が鎧に触れるとコントロールを得られたので、拘束具に変化させる。
アカネは霧の循環でかなり回復しており、ムラモトさんも傷は浅いようだ。
俺は「MM」のことを見縊っていたようだ。
ジョージ「冷静さを欠いてすいませんでした。ムラモトさんのお陰で何とか勝てました。」
ムラモト「愛する女性が傷付いたら、頭に血が上るのは当然です。」
「それを差し引いても、後半の判断力は流石の一言です。」
またそういうことを・・・。
いや、俺が冷静さを欠いていたのはアカネがやられる前からだ。
俺が油断していなければ、アカネがやられたりしなかったはずだ。
しっかりしないと。
油断してレイジにしてやられることだけは、絶対に避けないといけない。
改めて気を引き締めて、俺たちは再び12階に向かう。
コトネ・カンナ・ムラサキ組
ムラサキ「我々がレイジと対峙することになるようですね。」
カンナ「多分、この先にレイジとその仲間がいるはず。」
「あたしはレイジの側近には勝てないからね。」
コトネ「カンナさんの能力はゴムでしたっけ。」
「じっくり鍛錬すれば、色々と便利な能力だと思います。」
「今使っている鞭の他にも、パチンコとかなら即席で出来るかもしれません。」
「ムラサキさんは、ジョージさんと同じことが出来るという解釈で良いですか?」
カンナ「流石トウ大生、なるほどゴムの部分とゴムじゃない部分が必要なのか・・・、何とかやれそ。」
そう言って、カンナは歩きながら練習する。
ムラサキ「ブラックジャックは最初から使っていたので、手に持って使う分にはジョージさん以上の威力だと思いますよ。」
「ヨーヨーも少し得意な方だったので結構威力も命中率も高いです。」
「ですが、ゴーレムとか遠隔ブラックジャックとかは無理です。」
「あの人と似たような能力だと思うのですが、全然出来る気がしません。」
コトネ「常に能力と繋がっていて、常に能力に変化を加えることが出来る。」
「これがジョージさんの特異性なんでしょうね。」
「能力を使った後でも、引っ込めれば消費する霧はゼロらしいですから。」
ムラサキとカンナは目を丸くする。
さて、カンナの案内でレイジが待つ部屋に着いた。
三人は目を合わせて深呼吸し、扉を開ける。
入った瞬間、3匹の虫が3人を襲う。
ムラサキが3匹とも撃ち落とす。
目の前には、レイジが一人で椅子に座ってニヤニヤしている。
いや、レイジが座っているのは椅子じゃない。
生傷だらけのレイナだった。
カンナ「レイジーーー!!!」
カンナは激昂してレイジに向かって突進した。
案の定、レイジはカンナに向かって虫を放つ。
ムラサキは紐上の霧でカンナを思いっきり転ばせて回避させた。
ムラサキ「カンナ!!冷静になれないなら邪魔だから帰りなさい!」
カンナ「すいません。すいません・・・。」
カンナは鼻血を出しながら泣いて謝る。
コトネ「いいえ。丁度良い陽動でしたよ。」
その直後、レイジの左右に火柱が上がる。
コトネ「増援が何処かに潜んでいるに違いないと思ってました。」
「一人で相対して、挑発でカンナを再操作。その後左右のワープゲートから仲間が出てくる予定だったのでしょう。」
「ゲートの使い手は焼きました。」
「どこに潜んでいたかは解りませんが、すぐに此方には来れないでしょう。」
レイジ「はぁぁぁ!何でいきなり全部バレてんだよ!!!」
レイジはレイナを踏みつけて激昂する。
カンナは怒り狂うが今度はジッと耐えている。
後ろのカーテンから一人の大男が現れる。
いよいよ最終決戦が始まる。