13 突入!!
場所は去年潰れたホテル。
オーナーを操って電気水道を通して仲間と共に暮らしているようだ。
ホテル関係の人間を何人も操って王様気分で暮らしているようだ。
ただ勝手に贅沢な生活を楽しんでいれば良かったのに。
調子に乗り過ぎた報いは受けてもらう。
カンナ「あたしも行って良いですか?」
ヤマト「ジョージさん。どうしますか?」
あくまで俺に決定権があるのか。
ジョージ「解呪を受けた状態と、呪われる前に違いはありますか?」
「要は、操る者のレイジがカンナさんと対面したとき、手順を省いて簡単に再操作出来てしまう可能性はありますか?」
キムラ「難しい質問だな。"よく解らない"ってのが正直な回答だ。」
「ただ、呪い物質は綺麗に除去してあるから、念じただけで再操作みたいなのはないはずだ、と思う。」
ジョージ「だそうだ。どう思う?」
カンナは震え上がる。
そして暫く考えて、
カンナ「それでも、内情を知るあたしは役に立てると思う。」
ジョージ「OK。捨て鉢じゃなくて覚悟があるみたいだから、同行しても良いよ。」
「じゃあ、行くメンバーを決めようか。」
アカネ「全員じゃないの?」
ジョージ「キムラさん、タムラさん、あとカネトは待機が良いんじゃないかな。」
カネト「ボクはもう無能力者じゃないよ。」
「循環を鍛えてたら、かなり身体能力が上がったよ。」
「アカ姉ちゃんには全然及ばないけど、消費しないから霧切れもないし。」
「あと、何となくだけどこの状態だと、呪いが効かないと思う。」
カネトの能力の片鱗か?
こういう何となくは当たるんだっけか、霧の能力に関しては。
ジョージ「あと俺は、アカネも心配なんだけどな。」
アカネ「彼女だから?」
ジョージ「いや、そうじゃなくて霧で頭をガードするの慣れてないんじゃないかと思って。」
アカネ「金属纏い顔。」
そう言うとアカネの頭はすっぽり金属に覆われた。
これなら確かに安心だろう。
カンナ「そういう関係だったんですか。レイナの同級生ってことは、犯罪・・・。」
アカネ「プラトニックなので犯罪じゃないです。」
ジョージ「正確には今はまだ付き合ってないです。」
カンナは泣きながら大爆笑している。
むぅ・・・、リラックス出来て良かったと考えようか。
そんな話をしながら、俺たちは「MM」の用意した車で移動することにした。
結局、全員ホテル付近まで行き、そこでキムラさん、タムラさんだけ待機だ。
移動中にちょっと悪いことを考えた。
「透明なニョロ+ブラックジャックのコンボ」で雑魚は殲滅できるのではないか、と。
上手くいけば、これだけで全滅できてしまうかもしれない。
俺は少し離れた場所に車を停めるように指示する。
そして、そこからニョロを走らせる。
1人、2人、3人撃破。
・・・8人、9人、10人撃破。
よし、レイジ(一番良い部屋)は多分この先だ。
11人、12人と倒したところで「ニョロ」が切られた。
もう一度侵入するが、今度は1人倒した時点で対処されてしまった。
ジョージ「不意打ちで13人倒しました。」
「もう気付かれたので、相手は臨戦態勢だと思います。」
「それでは、突撃しましょう。」
周りの視線が心地良い。
押し入り犯は、敵の中でも腕利きだったのだろう。
コトネやアカネ、「MM」の皆様も敵の多くをワンパンで倒していく。
何だか俺の13人が霞んでいく。
そして、難なくレイジがいると思われる12階に到着する。
ここからが本番だ。
12階に着いて何歩か歩くと、落とし穴があった。
ワープゲートだ。
これによって俺たちは3組に分断された。
ジョージ・アカネ・ムラモト組。
コトネ・カンナ・ムラサキ組。
ヤマト・カネト組。
バランスが悪過ぎる。
俺のいる組はかなり安心感があるが、他二組には不安が残る。
穴に落ちなかったコトネ・カンナ・ムラサキ組がレイジの相手をすることになるだろう。
ヤマト・カネト組
ヒョウドウ「君たちの相手をするヒョウドウと申します。」
「儂の相手は二人だけかい。」
「ハズレくじだねぇ。」
場所は宴会場だろうか。
その舞台にヒョウドウと名乗る怪しい雰囲気の爺さんが一人で立っている。
ヤマト「カネトくん。敵は一人だと思うか?」
カネト「いや、何人もいる気がする。」
ヤマト「勘がいいな。多分その通りだ。」
「幻術系の能力だろう。敵の人数は不明。ヒョウドウという男はあそこにいないし、ヒョウドウが本当に幻術士なのかすら解らない。」
「気配を頼りに防御中心で戦うんだ。」
二人は、見えない攻撃を察知し防ぐ。
複数人が能力で遠距離攻撃を仕掛けているようだ。
防御は出来るが攻撃は出来ない。
多勢に無勢、このままでは勝ち目がない。
ヒョウドウ「クソ、いきなり能力を看破か。しかし、纏う能力と強化能力では攻めに転じることは出来ないだろう。」
「油断せず、じわじわと葬ってやるよ。」