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10 敗色濃厚

ジョージ「別に正義の味方のつもりはない。」

「ただ、身近な人間が殺されるのが嫌なだけですよ。」

「ミコトさん、いやミコトさん達は何がしたいんですか?」

ミコト「ふぅん。あの教室に彼女でもいたのかな?」

「私たちの目的は、月並みだけど"世の中をぶっ壊す"みたいなヤツ?」

ジョージ「世の中がぶっ壊れたら、お子さんが大変ですよ。」

「末っ子はまだ結構幼いですよね。あなたも会社で結構良いポジションだと思います。」

「世の中がぶっ壊れてあなたに何の利益があるんですか?」

ミコト「・・・」


言ってて気付いたが、そうだよな。

これは40代50代のいい年した大人が集団でやることじゃない。

操られてる?

コトネが空気を操るように人間を操る能力者?

何それ無敵じゃない?

今のところ勝てる気がしない。

恐らく、幾つかの「命令」を飛ばしているんだろう。


オガワは「油断させて社内に入ってから暴れろ。」だろう。

ミコトは俺をどうにかする命令だろうな。

「情報を出来るだけ引き出して殺せ。」ってとこか。

最後の沈黙は「余計なことは言うな。」って命令があるからか?

"世の中をぶっ壊す"は公開情報なんだろうな。


ジョージ「俺のことを色々説明したいから、その準備のために電話をしても良いですか?」

ミコト「どうぞ。」

普通に「押し入り犯」なら、ここで「どうぞ。」は無いだろ。

大体予想通りなんだろうな。


俺はコトネに電話をする。

ジョージ「もしもし、会社にリュージの仲間が現れた。」

「顔を隠して助けに来てくれると助かる。」

言い終わるのが先か、ミコトのヤリが飛んできた。

もう情報は引き出せないと解ったのだろう。

そりゃそうだ。


ミコトのヤリは「ニョロ」の盾では防ぎきれない。

知性的なミコトはヒモに気付くだろうが、策はあるのでクレイゴーレムで応戦。

直後、背後からオガワが襲ってきた。

オガワは一階で殺戮を終えて二階に上がってきた。


集中力が高まっている俺は、オガワの攻撃に対処して向き合う。

俺本体はオガワと戦う。

クレイゴーレムは俺と背中合わせでミコトと戦う。

俺とクレイゴーレムとの距離が近ければ、ヒモを切られても即座に「ニョロ」を飛ばして繋げば霧散は防げる。

脳を強化するが、クレイゴーレムと俺がそれぞれ別の能力者と戦うというのは長く出来ることじゃないだろう。


クレイゴーレムはヤリを俺に届かせないことに集中する。

ヤリを避けながらオガワと戦うのは無理だ。

まずは、なるべく早くオガワを倒す。

ミコトはその後だ。


オガワの火炎は「ニョロ」の盾で防ぐ。

やはり、「ニョロ」が燃えると(ミスト)がゴリゴリ削られる。

生身にブラックジャックを一発当てれば決まりだが、オガワは炎に囲まれており、飛び込むのは自殺行為だ。

遠距離攻撃は少し考えてはいた。

パチンコとヨーヨーだ。


上手くいく気がしないが他に策はないのでやってみる。

案の定、どちらもオガワには届かない。

臨戦体勢の能力者に初心者のパチンコやヨーヨーを当てられる訳がないのだ。

其方に意識が行ったせいで、足にヤリを食らってしまう。

炎は「ニョロ」で防ぐが(ミスト)の消耗が激しい。

絶体絶命だ。


一か八か、アカネが昨日やった一瞬の超強化を脳で試してみる。

周囲の細かい状況が正確に把握でき、思考も強化された。

それで何とか一つの策が生まれた。

俺は再びオガワに向けてヨーヨーを放つ。

予想通り避けられるが、すぐ後ろには固定された机がある。

机に当たったヨーヨーを腕とブラックジャックに変化させて、オガワの後頭部に一撃を与える。

よし、オガワ撃破。


しかし、此方に集中している隙にクレイゴーレムのヒモを切られ、再接続が遅れてしまう。

完全に霧散するのは防いだが、半分くらい霧散してしまい、残り(ミスト)は2割程度まで減ってしまった。

負傷もあるし、ミコトと戦うのは分が悪い。


ヤリを直接受けないように角度を考えて受ければ、残りの(ミスト)でもヤリを受けることは出来る。

しかし、同じ策は通用しないだろうし、足を痛めているので接近も難しい。

もう有効な攻撃手段がない。

次々飛んでくるヤリを全て受けきるのも難しく、ジワジワとダメージが蓄積していく。

詰んでいるが、時間は稼げる。


暫く防戦一方で凌いでいると、ミコトの身体が炎上した。

コトネが到着したのだ。

コトネ「酷い修羅場ですね。大丈夫ですか?」

ジョージ「何とかね。この人は黒幕に操られているだけみたいだから、可能なら殺さないで欲しい。」

コトネ「変な電話でしたし、色々事情があるみたいですね。」

そう言って、コトネはミコトを包む火を消した。


社内では至るところで火災が起きていたので、もう既に会社は消防、警察、救急車が集まっていた。

コトネ「逃げます?」

ジョージ「学校のときは不審者扱いが怖かったけど、今回は良いだろ。」

「俺はここの社員だし、コトネは俺が呼んだってことで問題ない。」

俺は潜むことを諦めて、警察に事情を話すことにした。

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