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3話 就職と初めての飯

本日投稿分 4/4 です。

「だいじょぶ、だいじょぶ」


「!」


 ガブの声で我に帰る。

 彼女が俺の頭を撫でていた。ちょっと困った顔で何度も何度もやさしく懸命に。俺は堪らない嬉しさに涙がぽろりと溢れた…どうもガブが絡むと俺は涙もろくなるようだ。


「あ、あっ、タスクさん泣いてる」


 俺は撫でられるまま目を閉じた。

 そっか、こいつ死なずに済むのか……

 よかった、本当によかった……。


 俺は深呼吸して自分を落ち着かせるとガブを見上げた。


「タスクさん…大丈夫?」


「すまん、ちょい心配事を思い出してしまって」


「私変な事言ってタスクさんを困らせたのかもって心配したよー」


「恥ずかしいとこ見せた。頭を撫でられるなんていつ振りだろうな、すごく気持ちよかった。ガブは頭撫でるの上手いんだな」


 ガブは得意げな顔でを鼻をフンフンさせると、びし、ばしと腕を振り回しどっかの変身ヒーローみたいな変なポーズをとった。


「ふっふー、気持ちがよくて当然だよっ!これぞ私の一撃必殺スキル『きみはいーこ』!ご近所のお母さんたちから大好評!泣く子も笑う子も簡単に黙っちゃうんだから!」


「笑ってる子まで黙らせたらダメだろ」


 俺は彼女の冗談に突っ込むと改めて頭を下げてお礼を言った。


「ありがとう。とても落ち着いた」


「もういいの?後30分くらい続けられるけど」


「ちょっと魅力的だが髪が薄くなりそうで怖い」


「五倍速も出来るよ」


「火でも起こす気か?」


「くすっ」

「ぷふっ」


 ガブと俺、どちらともなく笑った。


「ねえねえタスクさん、ここに来たばっかりできっと旅疲れしてるんだよ。よかったら暫くうちに泊まってくといいよ、今団員の空き部屋がたくさん余ってるんだ。なんとうちはシャワーとお風呂も完備してるよ!一宿一飯の恩義〜なーんて。あ、私と二人っきりだけど、やらしーことしたらだめだよ?」


 俺はガブの優しい気遣いをとても心地よく感じた。そういえば異世界転移したてだったのをすっかり忘れていたな…。ガブのやつ、一人取り残されて酷い目に遭ってるのに俺に気を遣うなんて、ほんっとお人好しなやつだ。


「ぶふっ、しないしない、間違ってもしない」


 それに…知らなかったけど責任感がすげー強いんじゃないか?仲間に置き去りにされても逃げずにたった一人でずっと一週間も自警団の留守を守ってたんだろ。ろくな飯も食わずに…あのゾンビみたいな顔色じゃとっくに限界だっただろう。


「あ、もう、何でそこで吹き出すの。それはそれでなんか釈然としなーい」


 俺は落ち着きを取り戻した頭でこれからの事を考え始めていた。ガブの死亡イベントはひとまず回避できたのかも知れないけど、生活を続けるという意味じゃ未だに危機的状況なのは変わりないんだ。そこに俺が立ち会えたのは何か意味があるんじゃないだろうか?


 まだわからないことばかりだけど…俺がやりたいことははっきりしてる。



 俺はこいつを助けたい。



「ガブ、ひとつお願いがあるんだがいいかな?」


「何何?私に出来ることなら何でもどーぞ」


「俺をここで働かせてくれないか?」


 心を決めた俺はガブに願い出た。

 断られるかもしれないがその時はその時だ。

 出来るだけ近くにいて彼女を助けよう。


「活動停止中で人要らないとかだったらあれなん…」


「うん、いいよ!」


 ぺかーっと満点笑顔で速攻快諾するガブ。

 結構重めの決心だったのにあっけないほど簡単に受け入れられて俺は思わず拍子抜けする。まさかこいつ、何も考えていないのでは…。


「ちょ、ちょっと待て、人一人雇うのに安請け合いしすぎだろ。せめて少しは面接とかしてから決めてもいいんじゃないのか?!」


「あれ?タスクさんはここで働きたいんでしょ、嫌なの?」


「嫌じゃないし雇ってほしいけど。もう少しだなあ…人を見るっていうか、俺が悪いやつかとか、適性テストとか、いろいろ確認した方がいいと思うんだが」


「初めて会ったばっかの私に大事な食べ物を譲ってくれたタスクさんが悪い人だとは思えない。だいたい悪い人は自警団には近づかないよ。それにこんなに優しい人なら自警団に向いてると思う」


 理路整然と簡潔に答えるガブ。

 ……意外とよく考えていたようだ。


 ガブは真面目な顔をして判断に誤りはないと胸を張って言う。俺を肯定してもらえるのはすごく嬉しいんだがなあ。ちゃっかりとカロリーメイドを隠してたんだぞ。スネッカーズも後一本残してあるしな。俺、反省。


「むふふ、初めて団長代理らしい仕事ができたよ。団員見習い見習いげーっと!これはガブリエラ小隊結成の時が来たかな」


「なんだよその団員見習い見習いって。それにガブリエラ小隊?」


「私が団員見習いだから。タスクさんはその見習いで団員見習い見習い。そんで私とタスクさんで独立小隊組むの」


「わ、わかった…採用感謝するよ。じゃあさ、どんな仕事があるか教えてくれ、給料の話もあるだろ?」


「そだね、お仕事は炊事洗濯お掃除、所内警備くらい?後はあればだけどご近所のお困りごと相談の対応かな。活動停止中で他の事は出来なくって」


「家事が中心か。このでかい建屋の管理は大変そうだな」


「うん、特にお掃除がたいへんなんだ。それに私洗濯も炊事もダメダメで…」


 ガブは家事が苦手みたいだな。確かに掃除は…こんだけ建屋がだだっ広いんだ、部屋やフロア毎に日を分けてやるとか工夫しないときつかろう。洗濯は洗濯機があるようだし二人でやれば普通にいけるんじゃないか。炊事は出来れば俺が担当したいし丁度いいかも知れない。


「なるほどだいたいわかった」


「お給料を出したいんだけどしばらくは無理かな…ごめんねえ。私じゃ団の金庫を開けれなくって、団長の帰りを待つしかないんだよね…。当面はご飯と宿泊の現物支給でお願いできるかなあ」


「宿と飯があれば文句はないよ。しかし団長代理が団の財布を使えないのか」


「ありがとね。団長がかなり慌てて出て行って貴重品の引き継ぎをしてくれなかったんだ。すぐ戻るつもりだったんだと思うよ」


「スポンサーの支援が無くなってるから生活費の為の金策は視野に入れといた方がいいかもな。ともかく団長たちが帰ってきてくれればいいんだが」


 ガブの手前、団長が帰ればとは言ったが、自警団の連中はこのまま他国へと旅立ってしまうストーリーだったはずだ。それにガブの死亡イベント回避を確実にする為には戻ってこられると困るというのもある。あと考えられるのはゲームじゃ常にプレイヤー=団長が財布を握ってる設定だから、金庫の金は全て持ちだしているかもしれないな。


「じゃあ早速ひとつ仕事をお願いしてもいーい?」


「お、なんだ?」


「ご飯作ってくださぁい……!」


 ぐごおおおおおおおぉぉぉぉ……


 ガブの腹の中の星竜が大地を揺らさんばかりの咆哮を上げた。どうやらスネッカーズ三本程度ではたいして腹がもたなかったようだな…。



「よく噛んで食ってな、はい、お代わり」


 ガッガッガッガッガッガッ…

 広い食堂内に豪快で勢いのある音が響いている。ガブが凄まじい勢いで丼飯をかっこんでいる音だ。どうやら米の飯に抵抗はないらしい。箸は使わずフォークでがんがんやっている。


 空の丼を俺に突き出すと、もう片方の手で椀の汁をずぞずぞ啜り込み、次々に肉を口へ運んでいく。終始無言だ。飯をよそってやると素早く受け取りまた猛烈喰いを再開する。食べっぷりが見ていて気持ちいい。マジでこいつに飯を食わせてやる事ができて感慨ひとしおだ。


 ガブに命じられた俺は厨房を借りて飯を作った。食糧の備蓄は万全だったようで20人以上の団員の腹を満たせるだけの食材がほぼ残されていた。多分一週間分くらいの量だろう。ほぼと言ったのはガブが生で食えるものは大凡食べ尽くしていたからだ。彼女曰く、生で食べられないものを試しに焼いてみたけど全て暗黒物質になって食べられなかった、これは何かの呪いだよ!と力説していた。


 幸い調味料が充実しており不自由なく調理ができた。意外にも味噌や醤油などの和の調味料が揃っていたのはゲーム原作が日本製だからか?魔道コンロはガスコンロそのまんまで使いやすかった。この辺はさすがご都合主義のファンタジー世界だ。


 俺は豚肉と玉ねぎを使い豚生姜焼きを作ることにした。冷凍の豚塊肉をがしがし切り出し焼きまくった。もちろん生姜ダレは甘辛だ。飯は十合炊きにしてみたがガブ相手に足りるかな?彼女が生喰いに挑戦した名残なのか、齧りかけのナスを調理台の上で見つけたのでナスの味噌汁を作った。煮干しからダシを取るのは久しぶりだった。もう一品で刻み青ネギ入りの卵焼きを付けて簡単な豚生姜焼き定食の完成だ。


 食堂の椅子に子リスのように座るガブの前に料理を並べた。殺人的に食欲を刺激する香りが豚生姜焼きの山から漂う。湯気上がるてりってりの豚生姜焼きを前にガブはびんぞこ眼鏡の奥をキラキラさせて「食べていいの?」と涎を垂らし俺に訴える。遠慮なく食えと勧めたが最後、異世界大食い女王選手権ガブリエラ杯無制限一本勝負が開始されたのだった。



「ぷっはー美味しかったあ!腹八分目だよ、ずずーっ」


「おーまだいけるのか、もっと作ればよかったか?お粗末さまでした。ん、美味い」


 先に食べ終えたガブはお茶を啜ってまったりし始めた。戦いはわずか30分で完食した彼女の圧倒的勝利であった。目が線だ、満ち足りた顔をしている…これぞ勝者の笑みか。ガブ用の大皿に盛り付けてあった肉の山は添え物の千キャベまで残さず綺麗に食べ尽くされていた。肉は軽く3キロは有ったかな…すげーな、これが本物の大食いか。感心したのは食べ散らかしが一切なく、とても綺麗に食べてくれたことだ。あの勢いでこのテクニック、やるなガブ。ちょっと感動した。俺は取り分けた分をゆっくり食べ、味と出来を再確認していた。


「大満足だよっ!タスクさんてお料理上手なんだねえ、こんなに美味しい肉料理、初めて食べたよ。食べるの止まんなくなっちゃった!卵焼いたのもナスのスープも凄く美味しかったしい」


「いや、大したことはないぞ、俺の故郷じゃ一般的でフツーの家庭料理だしな」


「それってタスクさんの故郷ではこんなに美味しいものを普段から食べれるってことだよね、いいなあいいなあ」


 そう言う考え方もあるのか。ガブがこの一週間、酷い食生活だったせいもあるんだろうけど。なんてか、ナスの齧り跡が結構痛々しかったぞ。


「故郷のレシピはそれなりに覚えてるから、気に入ったならまた色々作るよ」


「マ!?」


「まじまじ」


「いえっふー!やったぁ!!あったかいご飯最高うう!タスクさんっ、うちに入ってくれてありがとねっ、んっとに嬉しいぃ!」


 両手を掲げて舞い踊るガブ。

 苦笑しながらも俺はガブに感謝を伝えた。


「大袈裟だ、あれだろ、ガブの言う一宿一飯の恩義だ、俺もここに置いてもらえてすごく感謝してる。断られていたら今夜は寒空の下で雑魚寝だったからな。ご馳走様っと」


 俺も食べ終わり手を合わせる。

 ガブからの「その食後のお作法ってなーに?」で始まった食事の挨拶談義に花を咲かせながら俺たちは茶を啜る…やがて一段落すると今後のことについて話し合いを始めた。


「改めてだけど、タスクさんに炊事全般をお願いしてもいいんだね?私全く…どうしようもなくお料理ができないから助かるんだあ」


「了解だ。暗黒物質を量産されても困るしな?洗濯や掃除はガブにどっちかをメインにしてもらって残りをシェアするのはどうだろ。俺は掃除のシェアを推すけど」


「りょ。最初は覚えてもらうのも兼ねて掃除と洗濯はひとまずどっちも一緒にやろ。ほんとはね…私もお料理触ってみたいけど、自分でもヤバヤバのヤバって思い知ったから…しばらく横で勉強させてね」


「ああ、その方向でいこう。そんじゃ俺洗い物してくるわ、ガブはここで休んでてくれ。わかんない事あったら聞くからそん時はよろしくな」


「ほいっ、上げ膳据え膳ありがたやありがたや、こんなに幸せでいいのかなー」


「ぷっ。すぐ終わる、後で部屋と風呂の案内を頼むよ」


 ニカッと笑ってサムズアップするガブを横目に俺は食器を重ねて厨房へと運びこんだ。残った食材を片付けるとお湯が出る魔道具を使って鍋や食器を洗い流していく。お湯マジ感謝!いつもは一人暮らしで一人分の洗い物なのに、今は二人分…しかもあのガブの飯の面倒を見るなんてなあ、なんか不思議すぎる。


「そう言えば後何日もつか微妙な食材があるんだったな…」


 洗い物をしながら、俺は飯を作る前に食糧庫の中を一通り見て気づいたことを思い出す。団長たちの旅立ちから一週間が経過していて、そろそろ期限がやばそうな食材があった。それもかなりの量が保存されていて、見たところ団員20人分以上の量だった。もしかしたら常備菜の為に多めに確保していたのか。とにかく優先的かつ早めに消費する必要があると見ている。


「たーすくさん」


「お、どうした?もうすぐ洗い終わるぞ」


 背後からガブの声がした。振り向かずに答えつつ食器を洗い続ける。もうちょいで終わりそうだ。食器用洗剤は無いが石鹸で代用できたし、そんなに不自由しないもんだな。


「忙しそうに手を動かしてるタスクさんの背中が見えたから覗きにきたよ。むふふ、洗い物してる男の人の後ろ姿ってなんかいいね」


「そうかあ?そんなにいいもんでもないだろ、珍しくもない。俺はずっと一人で暮らしてたから普段からこんなんだぞ」


「タスクさんて一人暮らしだったんだ?だからお料理出来るとか」


「まあそんなところだ」


「へぇ、へぇへぇー、そうなんだぁ…うふふ」


「何でそんなに嬉しそうなんだよ」


「なんでもなーい。それよりこれ、なぁに?」


 ガブが調理台の上にかけたフードカバーに気づいたようだ。


「開けてみな、カバーはまっすぐ上に持ち上げてな」


「うん。え?なにこれ…た、タスクさんっ、これは何!?」


「ほんの少しだけ米が余ったからパパっとおにぎりをな。中に入れる具がなかったから味噌焼きお握りにしてみた」


「ミソヤキオニギリ?」


 どうやらガブはおにぎりに釘付けのようだ、ふんふんと鼻息の荒い音がする。俺が振り向くともうおにぎりに齧り付きそうだった。さっき食べたばっかでしょ、ガブさんや。


「そ、甘めの味噌をおにぎりに塗って軽く炙ったんだ。後でおやつにしようかと置いといたんだがな」


「い、今食べてもいい?」


「食えるのか、あんなに食べておいて」


「腹八分目って言ったよっ!」


 どうぞと勧めるとガブが早速おにぎりにかぶりつく。うまうまいいながらパクパク齧って咀嚼する。まためっちゃ嬉しそうに食って。


「香ばしくって外ぱりぱり中ふわわ、ほんのりあったかくて甘辛で美味しい!お米ってこんな食べ方もあるんだね」


「ああ、米は俺の故郷じゃ主食なんだ。調理の仕方や食べ方はたくさんあるぞ。ガブの食べっぷりを見てるとカレーライスとかカツ丼を食わせてやりたくなるな」


 材料があればの話だが。特にカレーはスパイスがどんなのがあるか調べないとな。カツ丼や豚丼ならすぐ作れるかも、もしかしたらここの備蓄だけで再現できそうだ。


「聞いたことのない料理だね!食べてみたーい!私お米はそんなに好きじゃなかったんだ。でもタスクさんの作ってくれたのはもちもちほふほふしてて甘いんだよね。たまに団の晩御飯に出てきたけどいつも何だかぱさぱさしてたよ」


「それは多分きちんと洗米してなかったか炊く時の水が少なかったんだろうな。ここはパンが主食なのか」


「うん、硬いパンが多いかなぁ。水やミルクに浸して食べてるよ」


 どうやらここでは米はポピュラーではないらしい。ハードパンが多いって事はヨーロッパの飯を想像すればいいんだろうか。大食い大会に出てきたライ麦パン発祥は確かドイツだったような。その割に味噌と醤油もあるんだよなー、家庭料理にどんなのがあるのか是非リサーチしてみたいな。


「やっぱタスクさんのご飯は美味しいねえ」

 

「ありがとな、しっかしそのご飯はどこに入っていくのやら。食べ終わったら皿をくれ、ついでに洗うから」


「りょーかーい、最後の一個はじっくり味わいながら食べようかな、ずず、お茶おいし」


 そうだ、さっきの期限がやばい食材の事を相談しないと。こいつなら全部自分が食べるとか言いそうだが、いくら大食い女王でもあの量は無理だろうな…。


「ガブ、ここの食糧庫さ、ほっとくと腐らせてしまいそうな食材があるんだ、それもかなり大量に。あの量はさすがに勿体無くてな、ちょい知恵を貸してくれ」


「タスクさんが料理してくれれば私全部食べるよ?」


「そう言うと思った。でもあの量はな…とにかく見にきてくれ」


 俺はガブを食糧庫へ連れていった。

 見せたのは見上げる様な白菜の山だ。


 元の世界ならざく切りにして保冷パックで冷蔵保存すればひと月くらいは行けるだろう。しかしご都合主義のファンタジー世界なここであっても残念ながらそんな便利なものは無い。せめてラップがあればと思う。冷暗所とは言え何もせず放置すれば下から段々と腐っていくだろう。


「すげー多いだろ、白菜」


「……確かにこれは私も無理かなあ。実はね、食べようと思った事があるんだけど白菜を生はちょっと腰がひけて」


「もしかして自警団の飯は白菜のおかずがよく出てたか?」


「うん、白菜のコンソメスープがほぼ毎食付いてたよ。たまーにシチューもあったかな」


 白菜を一個手に取ってみた。上の方は割とまだ新鮮だ。しかし下の方はどうだろう。しゃがんで横から覗き込むと薄暗い奥に薄茶色の嫌な水気を観測してしまった。多分重さで歪み腐り始めている玉があるんだろう。見えないところは腐りが広がっているかも知れない。急いだ方が良さそうだ。


「ガブ、昼休憩と行きたいが晩飯までにやりたいことができた。厨房を引き続き借りるぞ」


「それは構わないけどタスクさん疲れてない?大丈夫なの」


「気力体力充分だ。ちょっと試したいレシピを思いついた。夕方までに作ってみるから、出来たやつをガブに試食して欲しい」


「おおお!私、試食頼まれました!!」


 かくして俺のガブお助け活動、その第一歩が始まった。


最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。


次回の更新を10/1の20時に変更しました。

4話から6話まで投稿の予定です。

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