前編
登場人物
花咲海斗
……この物語の主人公。
裕太に振り回されてしょっちゅうとばっちりを食らう。
わりかし常識人なのだが頭の思考回路は裕太に似ている。
でもなんやかんやで面倒見は良い。
小鳥遊裕太
……海斗の幼馴染、そして生粋のトラブルメーカー
顔は良いのに日ごろの行動によって全て台無しにしている残念系イケメン。
学校開校以来の問題児そして天才。
松浦楓
……裕太と同じく海斗の幼馴染。
頭好し、見た目良し、性格良しの三拍子揃った美少女。
特定の部活には所属せず海斗、裕太の幼馴染たちと一緒に色々とやっている。
常陸葉月
……上記の2人と同じく海斗の幼馴染であり、彼らより年は1つ下。
生まれつき病弱であり、あまり学校に来れていない。
今回の話ではあまり出てこない。
ーーーーーーーーーーーー
とある日の昼休み……
「裕太ぁ!! 待てやぁ!!」
「ひぃぃぃーー!!」
僕は悪友を追いかけていた。高校の校内で。
「今日という今日は許さねぇ!! 逃げんじゃねぇ!!」
「ち、ちょっと落ち着けって!? ま、まずは話をしようじゃないか……」
と追いかけられている悪友はそう言ってくるがそれが僕を余計にイライラさせる。
今までもこいつに大してキレたことはかなりの数あるが今日は今まで一番頭にきた。
「誰がお前の話なんて聞くか!! とりあえず一発殴らせろ!!」
「そ、そんな顔していたらあいつとのチャンスもなくーー」
「もう既に始まる前に終わったわ!! というか僕が色々今までやってきたことすべて台無しだよ!! だからてめぇを殴らないと気がすまないんだよ僕は!!」
「それ八つ当たりじゃねぇか!!」
「八つ当たりの何がいけない!!」
「開き直んなよ!?」
「うるせぇ大人しく僕に殴られろ!!」
……何故僕らはこんなことをしているのかというと時を遡ること20分前、丁度昼休みが始まった頃である。
ーー遡ること20分前
「さて今日も当番頑張るか」
僕こと花咲海斗は週一回の図書委員の当番のために高校の図書館にいた。
当番の生徒は昼食の時間から図書館に入り、図書館で昼ご飯を食べたあと昼休みが終わる5分前まで図書館のカウンターに座って対応をするのである。
「よしやるとーー」
「--よう暇人」
当番の仕事をやろうと思い準備をしようとした途端聞きなれた声が聞こえた。
「……なんだよ裕太」
「いや図書委員の当番暇だろうかと思って来てやったぜ」
と言ってきたのは僕の悪友である小鳥遊裕太。
こいつとは幼稚園から現在の高校に至るまで長い付き合いであり顔は良い。
だがそれ以上にこいつは問題ばかり起こすので学校側からマークされるほどの超問題児である。
「ここは問題児が来る場所じゃないから帰れ」
「何を言っているんだよ、お前も問題児だろうが~」
そう言いながら肩に手を回してくるのを手で払った。
「誰のせいだよ、誰の」
この問題児のせいで僕まで学校側から問題児としてマークされてしまった。
中学校まで裕太と一緒に問題児として扱われていたため高校こそはと思っていたのだが……そんな僕の決意はあっという間にくずれた。
高校に入る前はキラキラと輝く高校生活を楽しみにしていたのだが裕太が色々と問題行動を起こすため、そのとっぱちりを受ける形で問題児扱いされて楽しみにしていた高校生活の計画は崩れ去った。
……まぁ裕太が同じ高校を受験すると聞いた瞬間に若干諦め気味だったが。
「というかよ海斗」
「なんだよ」
「今日が締め切りだろ申し込みの」
「あぁ校内バスケ大会のか」
僕は手元で本の返却作業をしながら裕太の質問に答えていた。
僕の高校では毎年12月の定期テスト明けにバスケ大会が行われる。
ルールは男女、学年、クラス無視で5人のチームを作りそのチームで勝負をしていくというものであり、参加は強制ではないのにも関わらず僕の高校で人気のあるイベントの1つである。テスト明けの学校の休みの期間で行われるのにも関わらず多くの学生が応援や見に来る。
「またまたそう言ってさぁ~興味ない振りしちゃって。あいつ誘うのに躊躇っているのかよ~」
と裕太は僕の心を見透かしたようにいう。
「……お前は黙ってろ」
僕が悩んでいるのは大会に出場することではなくチームに誘う人間の事である。正直大火に出るだけなら裕太やクラスの運動部の連中と出ればいいのだが僕には誘いたい人がいた。
「誘わないと楓、他の連中と組んで大会出てくるぞ」
楓とは僕と裕太の幼馴染である松浦楓の事である……且つ僕が長年片思いをしている相手である。
ーー容姿端麗
ーー文部両道
ーー性格良し
という欠点が見当たらない完璧超人。
そんな彼女には運動部・文化部関わらず勧誘が多いのだが部活には所属せずにしょっちゅう僕と裕太と一緒にいる。放課後は他に遊びに誘われるのだが大体僕らと一緒に帰って、3人でくだらない事をしているのだが何故か毎回学校側から目をつけられているのは僕と裕太だ。
……まぁ専ら日ごろの行いの差だろうと思うが、個人的には楓も僕らと同じぐらい学校側からマークされてもいいんじゃないかと毎日思っている。
「別に楓が誰と出たって楓の勝手だろ」
「……昨年、誘おうとして申し込み期間逃したの誰だっての」
「あ、あれはこっちにも色々考えがあったんだよ」
昨年、僕らが1年生の時に僕は楓を誘うとしていたのだが色々と考えすぎて気が付いたら申し込み期間が終わっていたのである。約1年前の事なのだが裕太には未だにネタにされる。
「ちなみに昨日また楓告白されたぞ?」
「知ってるよ、昨日あんなに教室で騒がれていたら聞こえるって」
さっき話した様に完璧超人に近い楓は男女共に人気が高く、告白される事なんて日常茶飯事である。入学してから何回も告白されているのだが全て断っている。校内の噂では“許婚がいる”や“同性が好き”そんな噂まで流れている。後者の噂の真偽は知らないが茜の実家を知っている僕や裕太からすると笑いが止まらない噂であった。
「確か昨日の相手は……」
「サッカー部のキャプテン」
「あぁそっかそうだったな」
「前回はバスケ部のキャプテン、その前は野球部のエース、更にその前が吹奏楽部のイケメンだった」
「良く覚えてんなぁ……流石愛の力は偉大だねぇ」
「褒めてねぇだろ、ったく……用がないなら帰れ」
茶化す様に言ってくる裕太に対して僕はいつも通り悪態をつく。だが裕太はふざけた口調で
「そんな我が校屈指のイケメンを断ってきた楓は誰が好きなんでしょうね~。
……はっ、まさか海斗か?」
「いやそれはない」
「即答かよ」
「そんな分かり切ってる事だろ」
僕と楓の関係はただの幼馴染であり、他の生徒に比べて少しは幼馴染のため関係は近いだろうけど楓自体は僕の事をただの幼馴染としてしか思っていないだろう。でなきゃ毎年バレンタインでわざわざ義理チョコだとはっきり言って渡さないだろう。
「そんなのやってみなきゃ分からんって。ほら、よく言うだろ”宝くじが当たる人間は宝くじを買う人間だ”って」
「……なら僕はそれの宝くじを何万円分買えばいいんだろうな」
「さぁ知らんが、要するに動けってことだ」
「勝手に言ってくれるなよ……」
「とりあえず今回のバスケ大会に楓を誘え。まずそこから考えろ。今すぐ告白しろなんて言わないがとりあえず少しは動け」
「だけど今日は僕図書委員の当番だし……」
「それなら俺が誘ってくる、メンバーは海斗、俺、楓、山下、北条の5人だ。あの2人ならそれなりにお前と楓の関係を知っているから説明しなくて済む」
ちなみに山下というのは柔道部の男子で北条は吹奏楽部の女子だが運動はそれなりに得意である。この2人は僕らの事を良く知っており、北条に至っては楓の親友みたいなポジションだ。
確かに2人なら僕ら3人と組むことに抵抗はないだろう。
「でも山下と北条なら他の奴らから誘われていないかな」
「大丈夫だ、2人には既に根回しをしといた。舐めるなよ俺のフットワークの軽さ」
「そのフットワークを別に使おうとは思わないのか……」
「俺は俺のためにしか自分の能力は使わないぜ!!」
「自慢げに言うな」
確かにこいつは自分の頭の回転の速さを自分の楽しみ以外には使わない。
……その被害を受けるのが僕なのだが。
「んでどうするよ親友?」
「……分かった分かった、山下と北条をメンバーに誘っておいて」
「おう、来た。任せろ
ーー無論、楓もだよな~~~?」
ニヤニヤしながら僕を見る裕太。
「……勝手にしろ」
「おう勝手に呼ばせてもらうわ。なんせ楓がいないと面白
ーー人数が足りないんだよな、これが」
今、言いなしたぞこいつ。
「おい今絶対“面白い”っていいかけたよな? そうだよな?」
「気のせいだ、気のせい。んじゃ楓達に声かけてそのままチーム申請してくるわ~」
「……くれぐれも変な真似をするなよ?」
「まっ、期待してなって」
「本当に頼むからな……」
と僕の不安な気持ちをよそに裕太は手を振りながら図書室の外に出ていった。まぁあいつなりに僕らのことを考えているのだろうけどあいつが首をつっこんだらロクなことになった記憶がないと僕の直感がそう告げている。
「と、とりあえず図書委員の仕事やるか……」
僕は目の前の不安から目を逸らせるために人がいないのに図書委員の仕事を張り切ることにした。
まぁこの後すぐに僕の不安は的中するのであったが……。
裕太がいなくなり数分後
「さてうるさい奴はいなくなったし読むか」
裕太という話し相手がいなくなった僕は図書室のカウンターで本を読んでいた。
前にも言ったが図書館にはあまり人がいないので僕自身の読書時間にあてている。
「へぇ……そういうトリックか……って誰だよ廊下走っているやつ……」
図書室自体、かなり静かなので図書館に面している廊下を誰かが走っていると音ですぐ分かる。
そしてその音が図書室の前でやんだ。
ガラッ!!
「か、海斗!!」
「楓?」
そこには僕と裕太の幼馴染である楓が息を切らしながら開けた扉に手をかけながら立っていた。彼女のトレードマークのポニーテールも彼女が大きく呼吸をすることによって大きく揺れていた。
「どうした? そんな息を切らしながら走ってきて」
「そ、それは、か、海斗から話があるって聞いたら走ってくるよ……」
「話?」
はて、僕は何か楓に言う事あったけ?
なんせバスケのチームの件は裕太に全て投げたし、僕は特に話す用はないはずだ。
「そ、そうなのよ!! で、で話って何かな……?」
「いやいや話っていっても……僕何もないんだけど……」
「あ、あれ……? お、おかしいなぁ……裕太が“海斗が……って図書室行け”っ言われたんだけど……」
「海斗がなんだって?」
「あ、あぁ!? 裕太がね私に“海斗がバスケの件で話がみたいだから図書室行け”って言ってきたんだけどね、よく考えたらバスケの話ならそこまで焦る必要もなかったよね!! ハハ……私って早とちりだなぁ……もう自分で呆れちゃうよ」
と困ったように笑う茜。
「何しているんだよ茜……ん?」
ふと楓の様子がおかしいことに気づく。
確かにバスケの話なら走らなくてもいいだろう。
でも、茜は何故か息を切らせるほどの全力疾走で図書館に来た。
……それが妙に僕の中でひっかかった。
「ねぇ楓」
「な、何?」
僕が疑問に思い楓に声をかけると明らかに様子がおかしかった。
「本当は裕太に何を言われたの?」
「さっき言ったじゃん……“海斗がバスケの件で話がみたいだから図書室行け”って」
「それだけで茜が走るとは思えないんだけど……
ーー本当は何を言ったのあのバカは」
「ほ、本当だって」
「……」
僕は気になり、茜を見つめるとすぐに茜は顔を赤くして僕から目線を逸らした。
「分かった、分かったよ!! 話すから顔を近づけないでよ!!
“海斗が今の関係を変える話があるようだから図書室行け”って」
「……」
今、なんて言った?
“海斗が今の関係を変える話があるようだから図書室行け”
冷静に頭の中でこの状況を整理してみる。
↓
“海斗が今の関係を変える話があるようだから図書室行け”
↓
“今の関係を変える?”
↓
現状、ただ付き合いの長い幼馴染。
これを変えるってなると……?
「……」
あのクズとうとうやりやがったな……!!
「あ、あれ……海斗……?」
「フフフッ……ハッハッハ……!!」
「か、海斗……? 大丈夫?」
「--よし殺そうあいつ」
「全然大丈夫じゃない!?」
僕は長年の因縁にけりをつけようと思い僕は席から立ち上がった。
「海斗!?」
「あのバカよくもやりやがったな……!!」
あのバカはバスケの話をふると僕に言っておきながら、実際は茜にバスケの話なんてしないであたかも僕が茜に告白するような風に話をすり替えたのだろう。今更ながらあいつが去り際に見せたあの笑顔はそういう意味の笑顔だったのかと理解した。
「や、やめなよ海斗?」
「茜、大丈夫だよ
ーー幼馴染が1人いなくなるだけだからさ」
と言いながら僕は準備運動を始めた。
あいつを追いかけている中でアクシデントが起きてもらっては困る。
だが不思議と身体はあったまっていた。
「いやいや何を言っているの!? そんなさわやかな笑顔で何危ないこと言ってるの!?」
「幼馴染のグループは僕、茜、葉月ちゃんの3人だったよね?
ーーだったよね?」
「最初から1人いなかったことにしないであげようよ!?
あ、あと裕太がいなくなったら葉月ちゃん泣くよ!?」
葉月ちゃんは茜、裕太と同じく僕の幼馴染の1人。身体があまり丈夫ではないので学校には来れていないのでよく裕太が彼女の話相手になっている。
「それは……いいか別に」
「今殆ど悩まずに結論出したよね!?」
「おっとこんな事してる暇なかったね。ごめん、茜少しだけ図書委員の当番任せていいかな?
1人馬鹿を始末してくるから」
さて、何で始末してやろうかとあいつを仕留める際の方法が頭の中でいくつも思い浮かんだ。
それを想像すると不意に気持ちが晴れやかになっていくのが感じた。
「か、海斗……今、とんでもなく悪い表情しているよ……?」
「いやぁ……遂にあいつを仕留めれると思うと笑いが止まらなくてね……!!」
今までの恨みを果たす時が来たと考えると笑いが止まらない。
「怖いよ!? 海斗が犯罪者の顔をしているって!!」
「まぁまぁとりあえず茜はそこに座って」
と僕はカウンター越しに立っていた茜をカウンター内に呼んだ。
「う、うん……?」
茜にはさっきまで僕が座っていた席に座ってもらい、僕の代わりに図書委員の当番をしてもらうことにした。どうでそんなに人は来ないから茜でも出来るだろう。
「返却がきたら本のバーコードを読んで借りた人に返して。借りたい人がきたら個人のカードを読み取った後にその本のバーコードを読み取れば完了だよ」
「わ、分かったよ……海斗は?」
僕は図書委員の仕事を簡単に教えると、楓は少し戸惑いながらも受けてくれた。
……なんていい幼馴染だろうか。それに比べてあのクズは……!!
「じゃあまた後で」
「喧嘩は駄目だよ……?」
「喧嘩? しないよそんな事。
ーー一方的に殴ったり蹴り飛ばすだけに決まっているじゃないか」
そうなのである。
今から僕が行うのは喧嘩ではなく一方的に殴って蹴るだけである。頭は裕太の方がいいが体力に至っては僕の方が上回っている。
ーーさぁ一方的な蹂躙を始めようじゃないか……!!
「喧嘩よりひどいことだったよ!?
だ、駄目だって海斗~~!!」
遠くで茜が僕を止める声が聞こえているが無視をすることにした。
これぞまさに“後ろ髪をひかれる”ということだろうか。
だがそれ以上に今の僕には大切な事がある。
「あいつの性格上、こんな事を仕掛けておいてあいつ自身が見ない訳がないだろうな……!!」
とりあえず僕は図書館を出て、周りを見渡した。
あいつのことだ、自分は安全な場所から僕と茜の事を笑いながら見ているに違いない。
さて……どこにいるんだと、目を光らせていると図書館に面している廊下の一番端やつはいた。
「裕太ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
僕は今までの恨みをこめて獣の如く吠えた。
「ゲッ!? 見つかるの早っ!?」
と僕が尋常じゃないぐらいに怒っているのを見た裕太は逃げた。
ここが廊下だというのを気にせず僕は裕太を全力で追いかける。
そして話は冒頭に戻る。
「裕太ぁ!! 待てやぁ!!」
「ひぃぃぃーー!!」
「今日という今日は許さねぇ!! そして逃げんじゃねぇ!!」
今日の事、そして今までの事が積み重なった結果、僕の怒りは今まで一番のものになった。というか僕自身もここまで人に怒ることが初めてな気がする。
「ち、ちょっと落ち着けって!? ま、まずは話をしようじゃないか……」
「誰がお前の話なんて聞くか!! とりあえず一発殴らせろ!!」
こいつは口が上手いので一度話を聞いたら今回の事をうやむやにしようとあの手この手を尽くしてくるだろうなので今回は話を聞かないことにした。
「そ、そんな顔していたらあいつとのチャンスもなくーー」
「もう既に始まる前に終わったわ!! というか僕が色々今までやってきたことすべて台無しだよ!! だからてめぇを殴らないと気がすまないんだよ僕は!!」
僕もそれなりに茜に告白する際の段取りも色々と考えていたのに、こいつのいらないお節介のせいで全てがおじゃんになった。
なので今の僕の頭にはどうやってこいつを仕留める、ただそれだけである。
……この際、僕がヘタレで中々アタックできなかったというのは無視するが。
「それ八つ当たりじゃねぇか!?」
「八つ当たりの何がいけない!!」
「開き直んなよ!?」
「うるせぇ大人しく僕に殴られろ!!」
「ちくしょうぉぉぉーーー!! ここで捕まったら俺がせっかく用意した賭け事が成立しなくなっちまう……!! せっかくダークホースにかけていたのによぉーー!!」
こいつ人の恋路を賭け事にしてやがった。
しかもダークホースって誰だよ。
「てめぇまた何か企んでるだろ!! というか今回は何を賭け事にしてんだ!!
ーーてか逃げんじゃねぇ裕太!! 大人しく僕に捕まりやがれ!!」
「はっ、誰が捕まれって言われて捕まるかよ!! 俺をつかまえーー」
「--またお前らか!!花咲、小鳥遊!!」
後ろから図太い声がすると思い、声がした方をみるとそこには僕と海斗の宿敵、学年主任が立っていた。おおよそ僕と海斗が追いかけっこをしているを生徒の誰かが言ったのだろう。
「げっ!? 学年主任かよ!! だが敵が多いほど燃えるよな普通!!」
「何をほざいている小鳥遊!! 今日という今日は容赦はせんぞ!!」
……まもなくして僕と裕太は学年主任の手によって捕まり、こってり叱られたあと、放課後返上で落ち葉が沢山たまっている中庭の掃除を罰として命じられたのであった。