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3.彼との出会い

今回はギャグちょっとあり。



〜???視点〜



「よっこいせっと…。」


ガードレールを飛び越えて、電柱にぶち当たった車へと歩み寄る。エンジンが電柱との衝突でメチャクチャになり、歪んでヒビが入ったボンネットからは煙がモックモク漏れてきている。当然、電柱もひん曲がり、フロントガラスも粉々。タイヤもすでに使い物にならないくらい歪みまくっていた。いやタイヤのうち一つは俺のせいだけどね? うん、そこんとこよろしく。

ともかくここまでの惨事だ。人が集まるのも時間の問題だし、そうなると面倒だからパパっと用事を済ませちまおう。


「ん。」


まずは運転席のドアを開けるため、手をかける。が、衝撃で歪んでいるためちっとやそっとじゃ開きそうにない。


【バゴン!】



まぁ俺には関係ないけどね。



「ポイッと。」

【ドスン!】


力任せに引きちぎったドアを後ろへポイして、運転席に座っていた奴のシートベルトを外し、ゆっくりと引き抜いた。

頭から血を流してはいるが、息はある。病院にでも行きゃ何とでもなるか。


「よし次。」


一人目を地面に寝かせた後は、助手席を覗き込んで誰もいないことを確認し、今度は後部座席を見る。


お、いましたいました。男二人と目的の人物が。


「よいしょ。」


で、後部座席のドアも同じく引きちぎってポイし、中の人達を全員外へと運び出す。運転席に座っていた奴に比べたら出血もなく、全員衝撃で気絶しているだけだった。あれだけ車大破してんのに死人がいないとは、まぁ運がいいねぇこいつら。


で肝心なのが。


「…ふむ。」


連中が強引に押し込んだ、このガキんちょ。


年は13、4くらい。性別は女。ショートボブの髪にピンクのヘアバンド。丸みを帯びた顔立ちはひょっとしたら10才に間違えることもなくもない。紺色のブレザーと同色の膝丈まであるスカート。格好からして学校からの帰宅途中で連れ去られた……こんなとこだ。


……しっかしまぁ、なぁんかどこにでもいそうな顔立ちだなぁこいつ。なぁにがしたかったんだオッサンどもは。あれか? ハレンチなことでもしようってか? 目ぇ覚めたら問い詰めてもしそうだったら四肢に銃弾ぶち込んでから剣でバッラバラにして苦しみ悶えた後は眉間に一発お見舞いしてウフフフフフ♪【注:只今壊れております】


「……っとと、こんなんしてる場合ちゃうか。」


グズグズしてたら人が集まってくるだろうし。ひとまず、このオッサンどもは脳に異常があるかもしれんから放置しといて、と。あ、救急車も呼んでおこう。


で、このガキんちょはっと……うむ、俺が病院に連れてくとするか。何せ自分を連れ去った連中と一緒に運ばれんのも嫌だろうし、一見無傷だが万が一脳に異常があったらヤヴァイし。


とによりかくより、ガキんちょの猿轡と手首を縛ってるロープを剣でちょん切り、よっこいせってな感じに背負った。


「それじゃ、ア○ロ行きまーす!」


ガキんちょ背負ったまま、俺は飛び上がった。




文字通り、家の屋根から屋根へと。身軽な人間なめんなよ。







〜直子視点〜



……………ここはどこなんだろう? 真っ暗で、何にも見えない……。



どうしてこうなったんだっけ? 確か、学校から帰る途中で……変な男達に拉致られて……。



車の中で暴れてたら……何かが破裂した音がして……それで……



あぁ、そっか……車、事故ったんだ……だからこんな暗いんだ。



おまけに寒いし……体、動かないし……私、死んだんだ……



死ぬのは恐い……痛いし、苦しいし……いや、これは前の私の考えか。



これが死ぬ、ていうのなら、悪くないな……すっごい心地いいし……



はぁ……こんなにいいのなら、もっと早く死んどけばよかったかも……



誰もイジメてこないし……先生にも怒鳴られないし……父親もいないし……



(……………。)



誰にもかかわらない……誰もいない世界……私にはピッタリだ。



(……ろ。)



全然寂しくなんかない……生きてる頃の方よりかはるかにマシだなぁ。



(オ………ろ。)



もういいや……このまま、闇に身を委ねて……静かに……。









【ゴォン!】


!!!???!!!?!?!!?


「った! っつぁぁぁぁぁ……!!」


って、頭痛っ!? ものすごい痛っ!? なんか、重い物で思いっきり殴られたような感じに……!!



「よぉぉぉやく起きやがったか。」



…………………。



「……は?」


隣から声がして、チラっと振り向いた。



そこに座っていたのは、白いジャケットに黒のTシャツ、ブカブカのブラウン色のズボンを履いた、見た目高校生くらいの男だった。どこか大人びた顔で、でも目は半開き。一番の特徴は、その四方八方に飛び出たツンツンした茶髪。


それより目立つのが…………肩越しに見える、でっかい拳銃のグリップのような物と、腰の後ろに括りつけられてぶら下がっている剣の鞘。ついでに腰辺りがジャケットで隠れてたけど、一瞬チラっと見えた……銃。




銃!!??




「うひゃわああああああ!!!???」

「あ?」


銃!? 何で銃!? いやなんていうか……銃!? 銃!? じゅう!? ジュー!? バーン!!!


「……とりあえず落ち着け。傍から見たらバカだぞお前。」

「バッ!?」


バカ、という一言でカチンときたけど自我を取り戻した。


「つかよ、一応助けてやったんだから礼の一つくらい言ってもいんじゃね?」

「……へ?」


気だるげな言葉に、私は硬直する。助けた? この人が?


「え、あの、私、死んだはずじゃ……。」

「お前が死んでるとしたら今話してる俺は何だ。霊能力者か。」


いやそんなの知りませんよ……と言いたかったけれど、相手が銃と刃物持ってるのに気がついて口を噤んだ。


「……あの、それでここはどこなんですか?」

「知らん。適当に隠れてる。」

「へ?」


隠れてる?


周囲を見回してみれば、周りはゴツゴツとした岩が取り囲んでいて、正面にはポッカリと穴が開いて、男たちに車に連れ込まれてから時間が経ってないらしく、オレンジ色の空が見える。どこかの洞窟みたいだった。


「あの、何で隠れてるんですか?」

「ちょーっとだけ外見てみりゃわかるだろ。」

「?」


言われたんで、ちょこっとだけ洞窟から顔を出してみた。





『おい、そっちいたか?』

『いや、いないぞ。』

『クッソー、あのガキどこ行きやがったんだ……大体、車から姿消してたってどういうことだ?』

『ともかく、まだ遠くには行ってないはずだ。探すぞ!』





……………………。


え、何あれ? あの黒スーツの人達が草原の草掻き分けながら何探してるの?


「いや何か知らんが、お前さんを探してるらしいぞ?」


……………………。




えええええええええええええええ?




「ちょ、ちょっと、これ、これどういう…!?」

「知らんて。」


いやそんな一言で言われても!?


「な、何で私が!?」

「だぁら知らんっつの。俺はただ単にお前さんが連れ去られそうになったから車のタイヤ撃っただけ。」


………あ、そっかだからあの時破裂音が………ってちょっと!?


「何してくれてるんですか!? 危うく死ぬところでしたよ!?」

「ハハハハ、気にすんな。」


わ、笑いごとで済むか……!!!


「ま、ともかく、だ。」

「?」


私が怒りに震えてると、男はゆっくりと立ち上がった。


「お前さんが目覚めたんなら、もうここで引きこもりになる理由もねぇな。」


引きこもりの意味わかって言ってます?



【カチリ】

「!?」



心の中でツッコミを入れていると、男が腰から黒光りする拳銃を二丁引き抜き、両手に持って構えた。


「…えと……あの。」

「ん?」


思わず、小さな声で質問してしまった。


「それ……本物、ですか?」


指差した先には、夕陽の光を受けて輝く拳銃。


「んー? 当たり前だろ?」


いや当たり前って……。


「ともかく、洞窟から顔出すなよ。頭に風穴開くぞ。」

「…………。」


そういわれて、私は命の危険を感じてビクリと震える。


「……あ、そだ。」

「?」


が、急に思い出したかのように呟いて、男が私の方へ向いた。


「オメェ、名前は?」

「へ?」


眠そうな目を向けつつ、抑揚のない声で私に問う。


「いや、一応名前くらいは聞いておいた方がいいかね〜と思ってさぁ。で? 名前は?」

「…………。」



名前って……そんな、見ず知らずの、しかも銃刀法違反してる人の前で、自分の名前をポンポン出せるわけないじゃないの。おかしいでしょ。普通にわかるでしょそれくらい。



「…………。」

「? 何だ、教えてくれんのか。」


そんな風なことを考えていたら、男の人は「ま、いっか。」と言って洞窟の外へと再び見やった。


「じゃ、一応俺の名前言っておくかなっと。




俺は宗次郎ソウジロウ。坂本 宗次郎だ。一応覚えておけ。」


自らの名前を言った後、男……宗次郎さんは、両手に拳銃を携えたまま、洞窟から飛び出していった。


一応、ここで坂本 宗次郎について解説。


彼は知ってる人は知っている、俺の処女作『バカどもの奮闘記!!』の主人公です。ですが、現在はリメイクをしようと只今休載中&工事中です。また、タイトルも変わることになります。ですので、この小説に出てくるソウジロウは性格こそほとんど同じですが、使用する武器が著しく変わっております。ご了承くださいませ。


とりあえず、次回は戦闘。

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