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10.廃ビルの戦い1


〜直子視点〜



「ぁ……ぁぁ……。」


突然の爆発に吹き飛ばされた宗次郎さんは、近くにあった廃ビルの中に突っ込んでしまった。

こっちまで爆風が来るほどだから、直撃を食らったらもしかしたら……多分、宗次郎さん無事じゃすんでない……



……まさか…………。



「宗次郎さん!!!」



私は物陰から飛び出した。



……飛び出そうと、した。



「―――!!」



足が動かない。動こうとしない。怪我をしているわけじゃない。骨を折ってるわけでもない。


ただ単純に、恐怖で足が竦んで力が全然入らなかった。


「う……。」


もう一度足に力を入れて立ち上がろうとする。


それでもまた抜けてへたり込む。


「動いて……動いてよ……!」


自分の足を叩いて叱咤する。でも痛みが走らない。完全に麻痺していた。



いつも、いつも、いっつも……恐くなったら足が震えて、動かない、情けない私。何にもできない、ダメな私。



「お願いだから……動いて……!!」



母さんの時も……何もできなかった、弱い私。



そして、今回も…………。






「いたぞ! こっちだ!!」

「!!」


突然の声に振り返ると、別ルートから背後に回りこんでいた黒スーツの一人が私の目の前に……。


「あ、あぁぁ……。」


逃げないと……でも足に力が入らないから、手で後ずさりしながら下がることしかできない。


「さぁ、お嬢ちゃん。こっちに来な。」

「い、いや!!」


下卑た男の顔。怯える弱い私。


「来ないで……いや……。」




いやだ。




「いいからこっちに来い!」




恐い。




「ぁぁぁ……。」




こんなの………







「やあああああああああ!!!!」




イヤだ!!!













〜ライター視点〜



「ガキんちょ!?」


吹き飛ばされた宗次郎は、直子の悲鳴を聞きつけて爆発によって瓦礫で塞がれた廃ビルの入り口に駆け寄った。


「おいガキんちょ!? 聞こえるかガキんちょ!? オイ!!」


瓦礫にへばりつくような形で呼びかけるが、岩は厚く、聞こえるものも聞こえない。


「やろう、こんな瓦礫なんざ俺の必殺の『ナチュラルカレーチャンポンパンチ』で……!」


超ネーミングセンス皆無の謎な技を使おうと右腕を振り上げるが、



【ガガガガガガガガッ!!】



「!! チィ!」


背後の階段から機関銃の嵐が襲いかかり、咄嗟に近くの体が入る大きさの瓦礫にしゃがんで身を隠した。


「……やっぱこいつら掃討しねぇとダメか。」


ポーチを漁り、中からMAC11とは別のサブマシンガン、『SIG SG552 シールズ』を取り出し、マガジンを装填する。それから周囲の地形等を確認した。

元はビルのロビーだった場所で、大型トラック二台分入るほどの広さ。動く分には申し分ない。敵はロビーの正面にある唯一の階段から出てきて、宗次郎を狙っていた。


(………無事でいてくれよ……ガキんちょ。)


一通り確認し終えて、銃の安全装置を解除した。


「おらぁ!!!」


瓦礫から体を出して銃を撃つ。正確な射撃によって、およそ十数人いるであろう敵のうち、三人の足を撃ち貫いて階段から転げ落ちていった。


「く、クソ!」


階段の踊り場にいる敵がマシンガンを宗次郎に向けて撃つが、それを宗次郎は瓦礫に隠れてしのぐ。


「止めるな! 撃ち続けろ!!」


そこから容赦なく宗次郎がいる瓦礫にマシンガンを撃ち続け、瓦礫のコンクリートに弾痕を次々と刻んでいき、削っていく。


弾丸の無駄遣いなような気もしないが、こうすることでターゲットの反撃の隙を与えないようにしている上、相手は身動きが取れない。


「今だ!!」


そこを狙って、三人が手榴弾を瓦礫の向こう側に投げつけた。数秒後、三つの手榴弾は破裂し、瓦礫が一部崩れ、煙が巻き起こる。


「やったか?」

「あの爆発だ。生きちゃいねぇだろ。」


爆風が収まり、一部の男達は銃口を向けつつ、他は完全に討ち取ったと見ていて銃を下ろして瓦礫へと近づいた。



「……? あ、あれ?」

「おい、どうした?」


確認した一人が素っ頓狂な声を上げ、傍にいた男が問う。



「いねぇ!? どこにも!」

「んなバカな。食らってたら死体くらいあるだろう?」

「いやホントだって! 見てみろよ!」


男が慌てて同僚に同意を促そうと振り返った。



「あーら、」

「!?」

「よっと。」



瞬間、男の目に映ったのは、銃口を構えていた同僚の一人が背後にいる影によって殴り倒されたところだった。


「な、何だt」

「おっそい!!」

「ぐげぶぅ!!」


その隣にいた男が銃を構えようとするが、その前に上段回し蹴りを食らって吹っ飛んでいった。


「ひ、ひぃぃ!」


それを見て、警察官が使う身を覆うほどの盾に隠れた男の一人を剣を引き抜いた宗次郎が狙う。


「逝けオラァアアアアア!!!」


上、中、下段に剣による無数の突きが飛び出し、超硬化プラスチックで作られた盾は割れ、凹んでいく。

そこから両足による回し蹴りを二発、すぐさまオートマチック銃『烈鬼』を抜いて一発放つ。蹴りと銃弾によって、盾は完全に真っ二つに割れた。


「『蒼空連弾牙そうくうれんだんが』!!」


驚く男に蒼い軌道を描く薙ぎ払いが襲い掛かり、ぐぅの音も言わさず吹っ飛ばされた。


「う、うああああああ!!!」

「化けモンだああああ!!!」


残った敵は宗次郎の圧倒的な差に半狂乱となり、銃を乱射しまくる。



「そんなもんで、」



そんな彼らなどお構いなしに、一瞬で接近し、



「俺を、」



四人を切り伏せ、また三人足を打ち抜き、



「殺せると、」



五人並んで打ち続ける敵の懐に飛び込み、一閃。マシンガンの銃身は真っ二つになり、



「思ってんじゃ、」



振りぬいた剣を手首で二回転させてから、





「ねええええええええ!!!!」


同じ軌道で剣を振るい、一気に敵を吹き飛ばす。手にしていたマシンガンの残骸も吹っ飛ばされ、ただでさえ散らかっていた床の上で新たなゴミと化した。


「……ったく、邪魔ばっかしやがって。」


剣をクルリと回転させて、金属が触れ合う音と共に鞘に収めた。


「大体警戒もへったくれもねぇじゃねぇか。隙だらけだし。」


腕組みしながら痛みで呻く男達を見下ろして呆れる。


敵のマシンガンで瓦礫が削られてる時にはすでに男達のすぐ傍にあった瓦礫に身を隠していた宗次郎は、その身のこなしで次々と敵を再起不能にしていったのだった。



「……クク……。」

「?」


が、気絶したと思われていた男の一人が呻き声ではなく、小さく笑い出したのを見て宗次郎は首を傾げた。


「……オメェ、ここでのんびりしてていいのか?」

「は? ………!!」


息も絶え絶えで言われた宗次郎は、一瞬何を言われたのかわからなかったが、すぐに血相を変える。




「ガキんちょ!!」

「うぼぉ!?」


ただでさえ重傷な男の背中を踏みつけつつ走り出した宗次郎。男はさらに傷を増やして泡吹いて気絶した。


戦闘シーンに凝ろうとして何度か書き直した結果がこれです。実力不足を実感しました。反省。

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