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白と黒は灰色で  作者: 鈴木きゆな
5/5

理由

うそ...だろ?


人魚と言われた瞬間から、人魚にしか見えなくなってしまった目の前のこいつは、ずっとニコニコしながら俺を見てくる。


「いや、でも人魚って...。絵本とか某ランドの人気キャラクターしか俺は見たことないぞ?そんなあっさり現れるものなのか。」


「絵本?なに言ってるの?」


とにかくこいつが本物の人魚なら

何故今出てきたのか...それが問題だ。


「おい。」


「なぁに?」


「なんで、ここにいるんだ?お前は」


そう。俺は今からここで死ぬつもりだったのに

わざわざそいつの前に来るなんてどうかしている。

人間が死ぬ様を見てみたいのか?


「え?だって。海泳いでたら、貴方が座ってていかにも今から死にますって感じでてたから、止めにきたの。」


「は?なんでお前が止めにくるんだよ。俺が死のうが勝手だろ?」


さっきの笑顔とは真逆の真剣な顔つきになった人魚。

意味のわからないことばかり並べるもんだから

つい突っ込んでしまった。


「勝手じゃないもん!!」


「?!」


「いい?!よく聞いてね?」


そういうと人魚は俺の方に体制を変えて話し始める。


「人魚や魚はどこに住んでいると思いますか?」


「え、そりゃあ海だろ?」


「正解です。そう、私たちは海の生き物なのです。じゃあもう一つ。例えば、貴方が普通に過ごしている時、空から人魚の死体が降ってきたらどう思いますか!」


あ。そーいうことか。


「そりゃ、おどろくな。」


「そう。人魚界でもそうなんです。時たま人間が降ってきたと思ったら死んでいるし、その姿は見るにも耐えないモノ。人魚界にも子供はいるのに、子供の間にも入る始末。悪影響なんです。」



俺が座っているイマココの場所はまさに自殺の名所となっている。多分飛んだ人は多いのだろう。


ここで死んだ人はきっと溺死か、岩に何回もぶつかって亡くなった人らだろう。


それが沈んで人魚界まで行っていたというわけか。


「だから、私はあなたが海で死ぬのであれば全力で止めようと、ここにいるわけです。」


ご丁寧に1から10まで話してくれた人魚は

体制と表情を緩めてまた、ニコニコし始めた。


「あなたは、話してみて悪い人じゃなかった。話していて楽しかったから死んで欲しくありません!あんな姿のあなたをみたくはない。」


「そんなの、お前のイメージだろ。俺は疲れたんだよ。もうなにも考えたくないんだ。」


「でも....。」


「悪かったな。もうここでは死のうとしないよ。他で死ぬとするわ」


誤って立ち去ろうとした時、人魚が俺の手を引っ張る。


「うぉ!?なんだよ!もういいだろ!?」


「もっと、あと少しでいいからあなたと話していたいです!」


「はぁー?」


うつむきながら聞いてくる人魚はたまに上部使いで

ちょっとかわいいとか思ってしまった。


「おねがい!1人で寂しかったの。死ぬなら最後に私とお話ししてほしいな?」


「あー!もうわかったよ!」



結局俺は負けて、人魚とその日時間が許されるまで

ずっと話していた。

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