幽霊!?
「うわぁぁあ!!」
え?!え?!だれ?この女!
俺さっきまでそこの前の皆さんに話してたよね??
てか、独り言言ってたよね!?
「...?どうしたの?」
あぁ、とうとう俺も見てしまったか。
これはあれだなきっと。
ここで飛び降りた人の霊だな。
「最悪だ...なんで死のうとしてるやつの前に現れるんだ。勘弁してくれよ...。」
「何言ってるの?」
もうダメかもしれない。
「....にいさん?」
あぁ、声がどんどん鮮明になっていく気がする...。
「お兄さん!」
「母さん父さん、俺を生んでくれてありがとう。このロクでもない息子をここまで育ててくれて、本当に...」
「お兄さーん!!!」
「うるせぇな!俺は今家族に感謝の気持ちをだな!?」
「やっと話してくれた!無視するからいけないんだよ?」
「無視だ!?お前は幽霊なんだから無視されることには慣れてるだろうが!」
「はぁ?幽霊??」
「そうだろ!さっきまでここには俺しかいなかったのにいきなり現れやがって!俺を迎えに来たんだろ!?」
「失礼な!私は幽霊じゃないもん!私の名前は 希一 ちゃんと生きてるもん!」
「嘘をつけ!ならどこから来たんだよ!ここは車じゃないと来れないし、そもそもガキは今学校だろ!?」
「嘘じゃないもん!海から来たの!私は人魚だから海からこれるんだよ?」
「人魚だぁ!?お前は、大人をなめんなよ!?だれがそんな嘘に付き合うか!」
「嘘じゃないって!ほら!!これヒレだよ!足だってほら!!」
目の前にいる得体の知れない生物が俺に手広げたり足を上げて見せてくる。
広げた手の指の間には薄く透明な粘膜が貼ってあって、足は絵本でよく見たあの人魚のような足だった。
「え...。お前なにそれ。」
「ね!信じてくれた?」
自信に満ちた笑顔を向けてくる小さくて白い生物は
俺の知っている限り、やはり人魚だった。