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折れた翼の英雄譚  作者: 猫の人
7章 かくして英雄は生まれる(王国歴154~155年)
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英雄の動向

 イルムとウノの新しい夫(ミラルド)との間につながりは無い。

 騎士団の人員に思うところが有るわけでも無く、多少実力があろうと気にかける理由が無い。

 せいぜい、魔法を教えるかどうかという程度であった。


 だが、公爵側はイルムの影響力を少しでも無くしたいのか、ミラルド(英雄)はイルムの高弟のが受け持つことになった。

 魔法使いとして大成させたいわけでもないから、そこまで本格的に教える必要が無いのだろう。



 結果、イルムは義理の弟(ミラルド)の話をウノ経由で聞くだけにとどまった。





「上昇志向の強い、けど現実をちゃんと見ているタイプ、ねぇ」

「うん。恋人もいたし“今は”そこまで悪い子じゃないかな?

 騎士として成功したいって思いは強かったみたいだよ」


 結婚後、同じ屋敷に住んでは居るものの、夫婦としての接点が無いウノとミラルド。

 ミラルド自身は王族との結婚を喜ぶと同時に、それまで恋人だった女性と別れずに済んだことを喜ぶ程度に善良なようだ。


 ただ、王族の配偶者となったことで暴走するかもしれないとウノは感じたようだ。

 若いので、そういう可能性は否定できない。

 これが生まれながらの高貴な身分であれば人格も安定しているだろうが、生活環境の大きな変化は人格を歪めかねない。


 その点、クリフは特に問題ない男だったのだが。



 騎士団(シャリー)経由でミラルドの話を探ってみたが、こちらも特に問題ないという話しか出てこない。


「問題があったら候補になれないので当然でしょう?」


 言われてみれば納得の話だ。

 増長しないように騎士団・貴族側から釘を刺す予定もあるし、そこで変に屈折するならそれはそれで対応することも出来るとシャリーは言う。


「貴族であれば配慮が必要ですけど、英雄になっても平民出のミラルドさんであれば処分することも難しくないです。

 だって、後ろ盾が居ませんから」


 細かいことを言えば公爵やウノが後ろ盾なのだが、そちらに迷惑をかければどうなるのかは火を見るより明らか。

 公爵が平民騎士を選んだ理由がよく分かったと、イルムは納得した。





 公爵の判断は正しい。

 平民騎士は今回得た報酬、待遇に満足している。恋人もいるので無茶なことを直ぐにする様子は無い。

 クリフはそのうち内縁の夫(あいじん)としてウノの近くに返り咲くだろう。ウノが産む子供は王族なのだし、相手がクリフかミラルドであるかは関係なのだ。

 おおよそ、関係者全員が満足する形に話は納まった。


 ただ。

 本人がどこまで納得していようと、貴族間の調整が済んでいようと。

 平民の、民衆の感情だけは制御できなかったと、このあと全員が知ることになる。


 ここ最近の動乱と、いくつもの戦争。

 反戦感情が強く存在するのは確かだが、同時に、時代は国を治める英雄が求められていた。


 サーベリオン公爵領では、民衆という名の主戦派が台頭するようになるのだった。

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