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折れた翼の英雄譚  作者: 猫の人
2章 傭兵団の始まり(王国歴142~145年)
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ミッションクリア?

 イルムは状況を楽観視していた。

 敵は数が多いだけの雑魚であり、イルムが最も得意とする手合いだったからだ。



 イルムは、「質の低い雑兵が大勢いる時が最大パフォーマンスを発揮し」「高い質を持つ者と相対するのを苦手」としている。

 雑魚殲滅特化。

 それがイルムの方向性だった。


 もともと、強くなる方法に多彩なスキルを持つ事を選んだイルムである。多彩な攻撃方法とそれを補助するスキルを持っている。

 ジョブとかステータスという概念の無い異世界に転生したことにより、ゲームであればどんなに成長しても8つまでしか装備できなかったスキルも、全て制限無く使うことが出来た。

 ただ、その反動か、一つ一つのスキル習熟が非常に遅れている。結果、ある程度強い相手にはどうしても後れを取る。

 それが雑魚殲滅特化の理由だ。


 もちろん、普通の騎士などと比べれば充分に強い。

 大勢を圧倒するイルムを見て、ジャンは「この男は一体何者なのだ?」と驚いているし、イルムを囲むゴロツキ達も「こいつを無視してジャンを襲わねば」と警戒を強めている。



 ゴロツキの何人かがイルムを無視してジャンのところに行こうとする。

 建物を迂回していけばイルムに邪魔されないと考えてのことだ。


「≪アレンジ:範囲限定≫≪フレイム≫」

「ぎゃあぁっ!」


 しかし、そんな目論みもイルムには通用しない。

 スキルによって延焼をしなくなった魔法により、建物の裏にいた男が焼かれた。

 攻撃魔法スキルは対象をロックする使い方が出来、相手と術者の位置関係によらず発動する。遮蔽物も関係ないため、こういった戦い方が出来るのだ。


 魔法の問題は威力の低さと詠唱から発動までのタイムラグ。

 普段であればイルムは物理攻撃を多用していて、遠くにいる相手には投石で対応している。

 今回は射線が通らず物理で対処できないので、こういう戦い方をした。



 それを見たゴロツキ達とジャンは、揃ってイルムに恐怖感を覚える。

 魔法は使い手が非常に少なく、その中でも攻撃魔法は更にレア。実戦で攻撃魔法を使えるような者など、一万人に一人いるかどうかといったところなのだ。

 強力な魔法使いは畏怖の対象なのだ。


 なお、イルムはゲームで魔法使いをよく見かけていたし、村にいた頃も魔法使いのオババ――もちろん攻撃魔法など使えない――がいたので、もっと魔法使いが多いと思っていた。

 ゲームで平民でも普通に強い魔法使いがいたのは、ゲーム上のお約束という考えをしていなかったりする。村に魔法使いがいたんだから、戦える奴なら百人に一人ぐらいは同じ事が出来ると思っている。……戦うことが仕事の者でも、割合は二千人に一人といったところである。





 順調に数が減っていくゴロツキ。

 それを防ぐ術を持たないゴロツキ達。


 この戦場の勝敗はすでに決しており、ゴロツキ達はこれ以上損害を出しては堪らないとばかりに逃げ出した。

 少しでも勝ちに行く道筋が見えていれば頑張れるが、勝ち目がない、あったとしても自分が死ぬだろう争いに身を投じられるほど彼らの士気や練度は高くない。

 イルムは無駄に追撃をせず、ジャンの方に顔を向けた。



「もう大丈夫のようだ。無事で良かったね」

「あ、あぁ……」


 ミッションクリアと笑顔を見せたイルムに対し、ジャンは引きつった笑顔でそれに応じた。


 イルムの足下には大量の死体と重傷者。

 それに気が付いたイルムは「そんな中で笑顔を向けられても困るよな」と、かなりずれた事を考える。





 ゲームでは、これを機に貴族社会に関わり傭兵団を拡充するようになり、ジャンは連絡役兼お目付役で仲間になるのだが。

 状況がゲームと違うので、上手くいくだろうかとイルムは考えていた。

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