52 賢骨戦 後
「[マキナ]ちょっと全員引っ込めてお前も下がれ」
「……私まだ大丈夫だよ?」
「それは分かってるをんだけどな、敵が今準備してるあれは多分必殺技なんだわ、危ないから下がれって事だ」
「……成る程分かった…[キリ]は大丈夫なの?」
「少なくともお前が前に出るよりは、な」
「……わかった」
[フェニ]達を回収して部屋の隅まで移動する
そしてそれとほぼ同時に魔法陣がその場に溶け込むように消失した
その瞬間世界が塗り替えられたかなり広い良くあるダンジョンのボス部屋という感じだった部屋が今はどこまでも広がる広大な墓地であり上空には赤々と輝く三日月が浮かび大地を赤色に染め上げていた
しかもボコ、ズボ、ジャリジャリというような音を立てながらそれこそ数え切れないほどの量のアンデットが地から空から現れた
それに良く見れば現れるアンデット達はさっきまでとは格が違うように感じる、しかもどうやらバフもかかっているようだ
状況を確認しているうちに爛々と無い目を輝かせながらこちらを全てのアンデットが向く
どうやらやばいらしい、成る程[キリ]が行っていた通り正しく必殺技らしい
「攻撃系じゃなかっただけラッキーか?[マキナ]本気で殺るぞ」
「……うん」
「『6罪』秘術『感情武具』」
[キリ]はそう言うと人型に変わり周囲に6個の戦斧、盾、籠手、指輪、弓、槍という武具が現れた
私は…どうしようか?特にこれと言った技が無いわけじゃ無いけど『生きる厄災』の称号の効果もあって使ったら被害がやばそうな奴ばっかりだから、ひとつも使った事ないんだけど…まぁ失敗したらその時は[キリ]には謝んなきゃだけど今を逃すと次やって来るのはかなり後な気がするからやろう、[キリ]なら多分死なないし
取り敢えずアンデットに効きそうな『異常重力』かな『擬似古代詠唱』を使わないと魔力が足りなくて使えないけど
「……[キリ]発動まで時間かかる」
「そうか、まぁ問題ねぇよ、取り敢えず発動準備はしておけ時間は稼いでやる」
[キリ]はそういうと自分の周りに浮く指輪に手を手に取った
すると[キリ]の姿がみるみるうちに小さくなり人型に変わった、そして指輪が消えた
次は今の[キリ]の身の丈よりも大きい戦斧を手に取り今まさに襲い掛かろうとした敵目掛けて戦斧を振り下ろした
すると赤黒い色のオーラ?を纏い近くにいた敵を消しとばした、がその攻撃はそれだけでは終わらず地面に
当たると同時にしゅいろ橙色の衝撃波が扇状に広がり[キリ]の前方にいた数百の敵を吹き飛ばした、そして戦斧が消えて行った
前方の敵が消し飛びボスの姿が見えるようになったがそこに最初に見た『聖魔反転』と同等くらいの規模の大な魔法陣を展開している姿を見ることが出来た、どうやらもう発動するらしく巨大な闇色の球体がどんどん小さくなって行っていた、『虚空記録層』で見てみればあれは『常闇』という『暗黒魔術』の超級とかいう階級のらしい魔術らしい
[キリ]は籠手を手に付けボスにっこんで行った、ボスの『常闇』が放たれると[キリ]は籠手で『常闇』を包み込むようにして掴み消してしまった
次に[キリ]は弓を手に取り放ったそれは緑色の矢でありそれはボスに向かって飛んで行った、当然それはボスの『時空湾曲』によって逸らされる物だと思ったが矢は影響内に入っても逸れることなく敵の四肢に突き刺さり地面にボスを縫い付けた、そして弓も消えて行った
[キリ]がトドメを刺そうと槍を手に取りそれをボス目掛けて投げ付けたがどうやら丁度敵のリスポーンタイミングだったらしく地面から這い上がってきた敵に当たりそこで直進が止まり槍の着弾点が黄金色に輝いたかと思うと大爆発が起き周囲を吹き飛ばした
「!ちっミスったか、[マキナ]まだか!」
「……もうちょいで出来るでもこのままだと[キリ]にも影響が出るから下がって、【オールフォーオール】でフレンドリーファイアはないがそれでも重力がめちゃくちゃになる影響はかなりでかいと思うから」
「そうか!結構ギリだな、俺の事は気にしないで大丈夫だまだこれが残ってるからな」
キリはそう言って残った盾を指差した
「……分かった」
指定領域はこの部屋?全域
「……『異常重力』」
私がそう言うと一斉に周囲の敵達が潰れて行く、[キリ]は…うん大丈夫そうだ、ボスの方は…効いてはいるっぽけど倒せはしなさそうだ
「……問題なく発動した」
「俺も問題ないぜ」
「……これ全然持たないから早く倒して」
「分かった、まぁ雑魚が居なきゃ何とかなる」
そう言うと[キリ]はボスに突っ込んで行った出来れば観戦したいけどやっぱり術式が不完全だったらしくかなり不安定だ、もし『重力操作』のスキルが無かったらとっくに崩壊しているだろう、実際のところ魔力量的に後長くても1分程しか持たないから早く倒してほしい
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Sideキリ
[マキナ]の魔術によってボス以外の全ての敵が生まれたそばから圧潰れ、ボスさえもかなり動きが鈍っている、なら後は簡単だ
『瞬動』を使い一瞬でボスに近づき『居合』で使用する、ボスも気づいてる見てるみたいだが対応出来る程の余裕は[マキナ]の魔術によって無い、よってもろに一撃を入れることに成功するが
ボスは思ったよりも硬いらしいく全く切れず、逆に勢いを利用してわざと吹っ飛んで行き距離を取られてしまった…かと思ったが重力が強くなっているためボスは直ぐに地面にに叩き付けられた
「『大山』『魔刀』『竜刀』」
すぐに地面に叩きつけられたボスに近づきスキルによる攻撃を行う条件を満たしていたら『天堕』や『地返』も発動しているだろう
ボスに攻撃が当たると何かが割れるような感触があった、多分これでこいつを守ってたものが壊れたんだろう、手でボスを掴むと秘術で一時的に作り出された籠手の機能を使いさっき取り込んだ魔術を解放し敵にぶつけると体の一部が闇色に染まり結構な速度で溶けて行った
こいつ明らかに闇属性得意そうな見た目してるのに弱点なのか?意外だな
「『一之太刀・竜衝』」
溶け出したボスを放り投げ一之太刀のスキルを使用しボスをスタンさせて、そしてそのまま『竜太刀術』コンボだ
「『二之太刀・鳴動』『三之太刀・鎌鼬』『四之太刀・瞬華』『五之太刀・大山』『六之太刀・蜃気楼』『七之太刀・影斬』『八之太刀・斬鉄』『九之太刀・桜吹雪』『終之太刀・大切断』」
二之太刀でボスを吹き飛ばし
敵が対応する前に三之太刀でボスの行動をキャンセルさせ
四之太刀で一瞬で近づき切る
五之太刀で威力の高い一撃を加え
六之太刀でボスの反撃を回避しながら攻撃し
七之太刀でボスの影を攻撃してしばらくの間その場に縛り付ける
八之太刀でボス防御力を下げ
九之太刀で滅多斬りにする
そして終之太刀でボスの反撃ごとボスを切断する
ふぅ、コンボを繋げるのに失敗するとしばらく動けなくなるから上手く行ってよかった、これで流石倒せただろう真っ二つになったし、それにそろそろ秘術で一時的に作り出した指輪の効果が切れるからな、見る限りでは[マキナ]の魔力もそろそろ限界っぽいし結構ギリギリだったか
「[マキナ]終わ」
バシン!!
「!てめえまだ生きて!」
おいおいおい真っ二つだぞ縦にこれでまだ生きてるっておかしいだろ
これはあれかもしかしてコアを破壊しないと死なないタイプか?
変身を解き『巨大化』のスキルを使い大きくなり思いっきりボスを踏みつける、単純な押しつぶしだ
ボスも抵抗してくるが俺は属性、衝撃、魔力は吸収できるからダメージより回復量の方が大きい
何度か踏み潰し攻撃を加えているとバチッバチバチ!とかズゴゴゴゴ!とかうぉううぉううぉう?みたいな音が後ろの方から聞こえてきた
ボスとの戦いも後は作業のため音のする方を向くとそこには全てを飲み込むかのような真っ黒な球体があった
いやよく見てみるとどうやら本当に吸い込んでるようだ、ていうか俺も吸い込まれそうこれもしかしなくても[マキナ]の魔術だよな?
取り敢えず俺の下で半分になって潰されてもまだ生きてるボスを適当に重力渦に放り込む、すると一瞬でボスの姿が見えなくなった、そしてほぼ同時にボスの秘術によって生み出された空間が捻じ曲がるように崩壊していき最初のボス部屋に戻った
《戦闘が終了しました》
どうやらこれで終わりらしい、ふぅ勝ててよかったなかなかに疲れたやっぱ頭使うのは疲れる適当に戦った方が楽しいし楽でいい、
て、あれ?まだ重力渦が消えてないなもうボスは倒したし終わったのに?まぁ魔術はよくわかんないがまぁ多分途中停止が出来ないタイプなんだろう多分、取り敢えず[マキナ]の方に行くか
「!おい![マキナ]大丈夫か?おい!しっ死んでねぇよな、おい![マキナ]」
[マキナ]の所にたどり着くとピクリとも動かずに地面にに倒れふしてる、もしかしてこれって死んだ?マジ?
クッソ!油断してたボスでさえかなり動きが鈍ってたし雑魚は出て来た瞬間潰れてたのに!まさかボスの他に動ける奴が居るとは!
ちゃんと[マキナ]方に気を配れてればこうはならなかっただろうに…
曲がりなりにもマキナも単独でここまで来た訳だし大丈夫かと思ったが完っ全に油断だった!第1[マキナ]は多分生産者系及び魔術師系のステータスだ!そんなんで無防備な所に攻撃されたらどうなるかなんて少し考えれば分かることだろうが!
ああ!クッソ自分の考えの浅さに腹がたつ、マジクソがぁ
《条件を満たした為進化を開始します》
あ"あ"あ"ぁ"ぁ"?んな事はどうでも良いんだよ!クソが!
俺のせいで死んだんだぞ!大切な仲間が死んだんだぞ!
まぁテメェにゃあ、分かんねぇだろうがよ!
《………………》
あ"ぁ必技を使えば蘇生出来るだろうがまだリキャストが終わって無いから使えねぇしマジ最悪
「ハァ」
ジジジジジジジ!
バッチ!
バチバチ!
★
ジジジジジジジ!
バッチ!
バチバチ!
ドクン、キュウゥゥゥ
ハァ取り敢えず落ち着こう、苛立っても自体は変わらないし、ゲームとは言えやはり自分のせいで大切な存在を死なせてしまうのやっぱり来るものがある、取り敢えず早く帰って謝ろう
そう思い立ち上がろうとした時『死線』のスキルが自動発動してこのボス部屋全てを覆い尽くす
「はあああ!?なんだ急に…ッ!まさか!」
そう思って重力渦の方を向くと吸引力が先ほどよりも上昇し更に加速して行っていた、
「ブラクッホール?からビックバンだったか?」
そういった瞬間凄まじい轟音と共に視界が暗転した