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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第四章 起業?

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85.進路の検討らしい

 新会社の設立が決まったからといって僕が特に忙しくなるようなことはなかった。

 親父からぶ厚い書類を渡されてサインさせられただけだ。

 いつの間に作ったのか、僕の実印なるものが用意されていて言われるままに押した。

 誰かの連帯保証人にされたのかもしれないけど知るか。

(やさぐれているな。

 大丈夫だ。

 一応俺が読んでみたが、あれは会社の定款やその他の申請書類だ)

 そうなの。

 無聊椰東湖(オッサン)の記憶を覗いてみたけどよく判らない。

 これ、転生者というか頭の中に他人の記憶がある人にしか実感出来ないと思うけど、知っているからといって理解できるとは限らないんだよ。

 数学の定理や公式に似ている。

 覚えていてそれを使って計算すれば正しい答えが出ることは判っているんだけど、それがどういうものなのかとか、どうなっているのかが本当には判っていない。

 いやむしろ電卓やスマホに近いかも。

 使い方は判っていて実際に使えるんだけど、なぜそうなのか知らない。

 理解を放棄しているとも言う。

 まあいいや。

 無聊椰東湖(オッサン)が大丈夫というのならそうなんだろう。

 僕とオッサンは一蓮托生だからね。

 僕が破産したりしたら無聊椰東湖(オッサン)も困るはずだ。

(そういうことだな。

 サラリーマンを頼りにしろ)

 よろしく。

 学校ではあいかわらず淡々と日々が過ぎていた。

 僕が「指導役」をするための報酬については、毎日勉強会というようなハードモードは止めて貰った。

 僕の場合、大学受験に正規の入試で挑むという方法論は最初から放棄している。

 AO入試か推薦が目標だ。

 よって内申書の成績を上位で維持すれば自動的に大学に行ける。

 だからテストの前にクソ勉強すればいいわけで。

 もちろんそれ以外にも品行方正でサークル活動にも熱心とか色々条件があるんだけど、そっちの対策もばっちりだ。

 だって僕、現代文化研究会の創立者にして会長だからね。

 比和さん達の部活を育てたという実績もある。

 これについては比和さんに頼んで「現代文化研究会にはお世話になりました」と推薦して貰えることになっている。

 メイド研究会じゃなくて何とかいう比和さんのクラブは既に学校側にも認められているんだよ。

 テレビにも出たからなあ。

 外部評価も高い。

 複数の他校を巻き込んで一大プロジェクトと化しているほどだ。

 その部活の部長に推薦されるんだから無敵だ。

 あとは不祥事を起こさなければ、僕の大学合格は確実だ。

「そうですな。

 皆の者にも発破をかけます」

 黒岩くん(相談役)が謎な発言をした。

 同級生(クラスメイト)たちも頑張らせると?

 何故?

「全員とは言いませんが、少なくとも大半はダイチ殿に付き従うことになりますので。

 もちろん私もご一緒させて頂きます」

「……頑張ります」

 ちょっと待って!

 黒岩くんと高巣さんも僕と同じ大学に行くの?

 高巣さんはともかく黒岩くんは東大だろうがハーバードだろうが楽勝でしょうに。

「どこの大学に行くなどという事は些細な問題でございますれば。

 王国の将来にさほど影響があるとも思えませんな」

 そうなの。

 つまり黒岩くんは将来2年1組(王国)に就職することが決まっているわけね。

 確かにそれだったらどこの大学を出たかどうかなんて、いやむしろ学歴自体が無意味だ。

 そういう生き方もあるんだなあ。

格闘士(プロレスラー)の場合は前世の生活が長すぎたからな。

 他の道なんか思いつきもしないんだろう)

 そうかもね。

 しかし高巣さんの方はどうなんだろう。

 前世が王女様だったからといって現代日本でもそれに縛られる必要はあまりないような。

 放課後、現代文化研究会の部室でたまたま二人だけになった時に聞いてみると高巣さんは肩を竦めて言った。

「わたくしはやはり高巣洋子というよりは王国王女であるようなのです。

 普通の女子高生として生きる方がむしろ辛いのではないかと」

「そうなんだ。

 でも王国を率いる必要ってなくない?」

「ダイチ殿はわたくしが強要されて王女を演っているとお考えですか?」

「違うの?」

 高巣さんは薄く笑った。

「そういう風に思える時もありますが、実を言えばわたくしは自分が王女であることに満足しています。

 だって高巣洋子だったら単なる一般人(モブ)でしょう?

 でも王女なら」

 驚いた。

 高巣さんって真面目で大人しくて責任感が強いから頑張っているだけかと思っていたけど、こんな茶目っ気もあったんだ。

 僕が感心して見ていると高巣さん(王女様)は慌てたように手を振った。

「今の話は秘密ですよ?

 ダイチ殿だから話しただけですので」

「僕が信用できると?」

「もちろんです。

 わたくしは人を見る目だけは自信があります」

 うーん。

 これは高巣さんの評価を考え直さなくちゃね。

 一国? を率いるんだったらこれくらいでなければ駄目かもしれない。

(王女様は正しいぞ。

 俺から見ても矢代大地(ガキ)は信用できるというか、裏切らないというか。

 いやむしろそんな面倒くさいことには関わり合いになりたくないといった所か)

 真実だからといってズバズバ言わない方がいいこともあるんだよ無聊椰東湖(オッサン)

 まあいいか。

 ふと思い出して聞いてみる。

「黒岩くんが言ってたけど、高巣さんも僕と同じ大学に行くの?」

「そのつもりではおりますが。

 もう少し席次を上げなくてはと思って勉強中です」

「何かやりたい事とかないの?」

「特にございません。

 それからわたくしの場合、学問的に学ぶ事はあまり必要でないように思います。

 理数系でもありませんし、希望としては政治か経済というところでしょうか」

 漠然としているなあ。

 もっとも僕も今のところやりたい事も特にないからね。

 どうやら就職しないで済みそうだし、大学は趣味に走ってもいいかも。

「趣味ですか?

 わたくしの趣味は手芸ですが…」

「手芸学部とかはないと思うよ?

 造形とかそっちかなあ」

「いえ、わたくしは別にアートでプロになりたいなどとは思っておりませんので」

 いつの間にか雑談になってしまった。

「私はメイド学、いえメイド道を学びたいです!」

 いきなり比和さんが割り込んできた。

 びっくりした。

「比和もダイチ殿と同じ大学に進学するのですよね?」

 高巣さんがまったく動じずに言う。

(腹が座っているな。

 少なくとも矢代大地(ガキ)より遙かに大物だ)

 判ってるそんなの(泣)。

「はい!

 そのためにはダイチ様と同じくらいの席次が必要ということで頑張って勉強しています!」

「そこまでやらなくても」

「ダイチ様は推薦で進学されるのでしょう? だったら私も同じく」

「推薦で入れる大学は枠がございますよ。

 学校で一人か二人ではないでしょうか」

 黒岩くんが割り込んできた。

「それは本当ですか?!」

「の、ようでございます。

 ダイチ殿には是非推薦で大学を決めて頂く必要がございますので、比和はAO入試か一般入試でお願いします」

 ちょっと待って。

「僕が推薦でいいの?

 ていうかじゃないと駄目なの?」

「はい。

 ダイチ殿がどの大学に行くかで王国(われわれ)の進路が決まりますからな。

 出来るだけ早期に決定して頂く必要がございます」

 何かおかしなことになっているなあ。

 まだ高校2年の半ばなのに、もう進学する学校について検討していたりして。

 青春とかしないでいいの?

「してますよ!

 お掃除(クリーニング)が私の青春です!」

 そうなの(泣)。

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