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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第四章 起業?

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84.大船に乗れるらしい

 結局カラオケ大会になってしまった。

 いつぞやの集会だったかの時と一緒で、とても一部屋には入りきれないのでいくつかのグループに分散して歌う。

 ちなみに未来人(違)はいなかった。

 ご両親と一緒に帰ったようだ。

 まあいいか。

 僕は相変わらずアニソンで通したけど、黒岩くんは完全に演歌一本槍だし高巣さんはアイドル歌謡にハマッているらしかった。

 意外というかそれもありというかだったのは比和さんで、何と20世紀のニューミュージック系で通していた。

 今でも時々CMや映画の主題歌とかに使われる曲だから僕たちも何とか判るけど、普通の女子高生なら存在すら知らないはずなのに。

「何か合うんです!

 この時代って世紀末とか何とかでちょっと陰鬱なムードがあるじゃないですか!

 それが心に響きます!」

 陽というか光属性で塗りつぶされているような比和さんの心の奥に、そんな闇があったとは。

(メイドさんだからな。

 色々人に言えない事を抱えているんだろう)

 そうかなあ。

 まあ趣味は人それぞれだからいいんだけど。

 そうやって夕方まで騒いだ僕たちは日没前に解散して帰宅した。

 親たちも帰ってくるだろうからね。

 でも僕が帰宅してみると家はもぬけの殻だった。

 やっぱり。

 夜まで飲んでくるつもりなんだろうな。

 スマホを見ると案の定、メールが入っていた。

 夕食はいらないそうだ。

 こんな事なら外で食べてくれば良かった。

 比和さんと一緒に。

(無理だろう。

 あの娘は真面目だからな)

 いや僕に付き合うってそんなに不真面目なの?

(違う。

 ご両親とお姉さんが家で待っているってことだ)

 それはそうか。

 本人は一番ぶっ飛んでいるような印象があるけど、比和さん()って凄くまともな一般家庭なんだよね。

 表面的には。

 何か裏がありそうな気もするけど気にしない。

 僕は面倒くさくなってレトルトのカレーで夕食を済ませるとゲームをして過ごしたのであった。

 ちなみに寝る時間になっても両親は帰ってこなかった。

 仕事モードなの?

 翌朝起きると珍しく両親がいた。

 親父はリビングのソファーでだらっとしているけど母さんはキッチンで忙しくしている。

「起きたの?

 朝食出来てるわよ」

「ありがとう」

 助かった。

 手早くシャワーを浴びてからリビングに戻る。

 親父は相変わらずぐでっとしていた。

「朝帰りよ。

 何でも谷さんとおっしゃる方と意気投合してしまったとかで徹夜で飲んでいたって」

 (アキラ)さんの親父さんか。

 そういうイメージあるなあ。

 (アキラ)さんに輪を掛けて自由人という印象だったし。

「大丈夫なの?

 迷惑かけなかった?」

 心配になって聞いてしまった。

「息子に信用がない」

「普段の報いよ」

 親父が母さんに泣きついて突き放されている。

 ひょっとしたら一番ヤバいのは矢代家(うち)だったりして。

 親父は唐突に立ち上がったかと思うとフラフラと居間(リビング)を出ていった。

 風呂らしい。

 僕はその間にキッチンに用意されていた朝食にありついた。

 自分で作ったんじゃない朝ご飯は久しぶりだったりして。

 まあ母さんの事だからやっぱりレトルトだったけど(泣)。

 うちでは間違っても朝ご飯に白米・お味噌汁に焼き魚とかそういう日本食が出ることはない。

 サラダすら出ない。

 出たとしたらコンビニのレトルトだ。

 なぜかというと、僕を含めて誰もそんな手の込んだ朝食を望んでいないからだ。

 自分が作ると思えば尚更。

矢代大地(ガキ)の家ってある意味殺伐としているよな。

 全員が一人暮らししているみたいだ)

 無聊椰東湖(オッサン)の言う事も間違っていない気がする。

 うちって家族生活とか家庭のぬくもりとかお袋の味とか、そういう要素がほぼ皆無の家庭なんだよね。

 両親は多分性格や仕事のせいだと思うけど、僕自身にもそういう願望がない。

 これって前世である無聊椰東湖(オッサン)のせいなんじゃないの?

(そうかもしれん。

 俺なんざアラフォーになっても一人暮らしだったしな)

 やっぱり。

 別にそれが不幸だとか冷たい家庭だとか思わないからいいんだけどね。

 どうも僕は孤独でも平気な性格(たち)らしいんだよ。

 人恋しいという感覚からして判らない。

 無人島でも平気で暮らせそうだ。

 ネットがあればだけど。

(何度でも言うが矢代大地(ガキ)って枯れ切ってないか?

 それで本当に16歳?)

 ほっといてよ!

 朝ご飯を食べ終わってウーロン茶を飲んでいると、いつの間に着替えたのかかなりシャキっとした顔付きになった親父がキッチンに入ってきた。

 そのまま用意されていた朝食を食べ始める。

 レトルトだけど文句も言わない。

 母さんは食べ終わった僕のお皿を洗って収納していた。

「食べないの?」

「とっくに食べたから。

 どう?

 行ける?」

 後半は親父に向けた言葉だ。

「やれる。

 しかし俺ももう若くないよなあ。

 徹夜で飲んだくらいでこんなに尾を引くとは思わなかった」

「40歳でガタッと体力が落ちるらしいわよ。

 昔のままのつもりでいると心臓発作とか起こすかも」

「そうだな。

 自重しよう。

 さてダイチ」

 突然僕の方に向いた。

 この切り替えの速さってやっぱり何かあるのかな。

「何?」

「お前の同級生(クラスメイト)の親父さんたちとは話がついた。

 とりあえず全員が賛成してくださった。

 というわけで進めるがいいな?」

「いいなとか言われてもね。

 僕、よく判らないし」

「まあ気にするな。

 お前はお飾りだ。

 書類に判子押してりゃいい」

 酷い事を言う親だ(泣)。

 どうせ僕には何も出来ませんって。

「そういう意味じゃないんだが。

 実は、お前の同級生(クラスメイト)たちと話してみた。

 凄いな」

「僕、知らないけど?」

「あのメイドさん経由で話を通してもらってな。

 だからこそ、いきなり会社設立に踏み切ったわけだ。

 でなきゃいくら俺でもこんな冒険はしない」

 そうか。

 親父は高巣さん(王女様)黒岩くん(相談役)(アキラ)さんなんかと個人的に会っていたわけね。

 考えてみれば当然だ。

 比和さんの時だって親父は自分で面接していたからね。

(それが大人の社会のやり方だ。

 メールなんかで繋がっていても趣味ならともかく仕事となるとそうはいかない。

 最低でも一度は直接会って自分の眼で相手を確認しないと信用なんか出来るものか)

 現役サラリーマンだった無聊椰東湖(オッサン)がそう言うのならそうなんだろう。

 なるほど。

 親父は同級生(クラスメイト)たちを自分の眼で確かめたからこそ突っ走ったわけか。

「特に黒岩くんと言ったか?

 あれは化けもんだな。

 とても十代とは思えん」

「黒岩くんは、何と言うかその、特別だから」

 身体がプロレスラーだからというわけじゃないよ。

 だって黒岩くんの前世は還暦越えで一国の重鎮の立場だ。

 日本だったら大臣とか高級官僚のそれもトップレベルなんだよ。

 言いたくはないけどそこら辺のサラリーマンや経営者が太刀打ちできる相手とも思えないし。

黒岩氏()にはダイチの事をよろしくと伝えておいた。

 当分は大船に乗ったつもりでいろ。

 その後は……まあ、何とかなるだろう」

 泥船じゃないよね?

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