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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第三章 未来人?

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70.悲喜こもごもらしい

 笑顔を取り戻した高巣さんは開き直ったらしく、翌日から更に大量の単品を持ち込むようになった。

 ウィンナーとかシュウマイとか、前日にスーパーで安売りしていた加工食品をただ焼いたり炒めたりするだけの食材だ。

 ああいう工業製品(・・・・)ってとびきり美味いというわけじゃないけど不味くもないからね。

 誰がどう料理しようがそれなりに出来上がる。

 アニメやラノベみたいに変な味になったりはしない。

 高巣さん(王女様)は素直に処理するだけだから、ごく普通に完成するんだよ。

 最初は戦々恐々としていた同級生(クラスメイト)たちも、爆発とかしない事が判ると寄ってくるようになった。

 王女様が手ずからお作りになったおかずということで、みんなありがたく頂いていく。

 大量に作った餃子やシュウマイがたちまち捌けるのを見て高巣さん(王女様)の機嫌が更に良くなる。

 僕を含む幹部会のメンバーはそんな王女様を生暖かい目で見守っていた。

 やっぱりラノベ?

「姫様が元気になって良かったです!」

 相変わらずテンションが高い比和(メイド)さんはバイトの都合もあって毎日は参加できないみたいだけど、来る時はとびきり美味いご飯を持参してくれている。

 大抵はサンドイッチだけどおにぎりの時もあった。

 それがまた美味いんだよ。

 さすが本職(メイド)

 宮砂さんは色々工夫しているみたいで持ってくるランチがだんだんお店のテイクアウト弁当に似てきている気がする。

 神籬さんはどうやら高巣さん(王女様)のフォローのつもりらしくて、おかずにもご飯的なものにもなる食材を持ち込むようになった。

 パスタとかピザとか。

 黒岩くん(相談役)は最初からずっとお重だ。

 ぶれないな。

 そして僕は持っているレパートリーを片っ端から並べた。

 普通の昼食なんだけど好評だった。

 一番ランチらしいと評判で。

 何かみんな意地になっていたような。

(お料理教室じゃないんだがな。

 まあ、勉強が捗って良かったじゃないか)

 無聊椰東湖(オッサン)の言う通り、何せ毎日問題集を解き続けているわけだからそれは実力は上がるよ。

 そういうわけで夏休みが明けてすぐに行われた前期期末テストは楽勝とまでいかないにしても悠々だった。

 苦手な英語ですら手応え感じたもんね。

 僕はどっちかというと理数系なんだけど、ラノベとかを大量に読むせいで現国や社会系も不得意というわけでもない。

 もちろん何でも出来るということではなくて、極端な苦手科目がないということなんだけど。

 オールラウンダーな神籬さんや理数系が完璧で文系も優秀な黒岩くんたちの足元にも及ばない。

 だけど前期末試験の学年順位は何とか50番台を達成出来た。

 黒岩くんありがとう!

 この調子ならそこそこ名のある私大の推薦かAO入試には十分だ。

「それはようございました」

 そういう黒岩くんは学年3位。

 神籬さんは9位だとか。

 宮砂さんは20番代だった。

 ラノベのようだ。

 でも三人とも主人公じゃなくて友人枠かヒロイン枠だよね。

 いやむしろ敵枠かもしれない。

 黒幕とか悪役令嬢とか。

「我等は王国の臣でございます」

「すべては姫様のために」

 そう言われた高巣さん(王女様)は微妙な表情だった。

 学年87位。

 百位以内という目標はクリヤ出来ているんだけどね。

(むしろこのくらいが矢代大地(ガキ)の言う主人公とかヒロインのポジションなんじゃないのか?

 よくは知らんが)

 無聊椰東湖(オッサン)の言う事は間違ってない。

 ラノベの主人公が優等生だった時代はない。

 もっと昔の、まだラノベという概念がなかった時代だとそういう主人公がいたみたいだけど、ラノベやアニメは現代の若者向けだから。

 ラノベの人気って基本的には読者がどれだけ主人公に入れ込めるかだからね。

 大抵の若者はそんなに優秀じゃないので、出来すぎるキャラには共感出来ないんだよ。

 むしろ反感を覚える。

 だから(かたき)役は完璧超人になったわけで。

 まあ関係ないか。

 現実はラノベじゃないんだし。

矢代大地(ガキ)の周りは厨二病とやらの重傷患者ばかりだがな)

 思い出させないで(泣)。

 ところで黒岩くん(相談役)が宣言した「王国臣民は全員学年百位以内」という縛りは結構過酷で、特に前世が護衛兵だったらしい連中の大半が脱落したらしい。

 中には下から数えた方が早いどころか赤点に近い点数しか取れなかった人もいたらしくて黒岩くん(相談役)の顔が鉄仮面になっていた。

 どうも今までは赤点取らなきゃいいやという方針でやってきていて、いきなり百位以内とか言われてもとっさに対応出来なかったと。

 それでも赤点じゃないんだから良い方だと思うんだけど黒岩くん(相談役)は許さなかった。

「学力の話ではございません。

 命令に従えないような者は護衛兵としては不適格。

 配置転換も視野に入れます」

 百位以下の人たちが土下座して謝って、高巣さん(王女様)がとりなしてようやく黒岩くん(相談役)の怒りが治まった。

 それでも無罪放免とはいかなかった。

 後期中間テストでは百位以内になれと申し渡されて護衛連中は青ざめていた。

 まあ、勉強会とかすれば何とかなるんじゃない?

 みんなとりあえず進学校である如月高校に受かったはずだから。

「そう簡単な話ではないようです」

 神籬さん(女官)さんが教えてくれたところによると、今回目標を達成出来なかった人たちは本来は如月高校(うち)に入れる成績ではなかったそうだ。

 だけど中学3年の時になぜか「どうしても如月高校に行かねばならぬ」という衝動に襲われて、クソ勉強してやっと受かったとか。

 やっぱ前世の影響らしい。

 高巣さん(王女様)に引き寄せられたとしか思えないそうだ。

 逆に黒岩くんや神籬さんは、本当なら県下一の進学校やよその県の有名校に越境入学してもおかしくない成績だったのに、地区では一番でも県内では決してトップじゃない如月高校(うち)に来た。

 通学に便利というわけでもないらしいんだけど、これもやっぱり高巣さん(王女様)効果なんだろうな。

 恐るべし封建国家の忠誠心。

 転生してまで人を縛るとは。

「そんなことはございません。

 私は如月(うち)に天文部があるからこそ」

「この自由で緩い校風が気に入りましたもので」

 まあそういうことにしておくか。

 肝心の高巣さんが如月高校に来たのは単純に模試の成績が何とか合格圏内だったためだそうだ。

 もちろん滑り止めも受けていたらしくて、もし高巣さん(王女様)がそっちに行っていたら2年1組は大挙してその高校に行ったんだろうか。

 ちなみに僕の場合は前に言ったように家が近くて成績も何とかなったからだ。

 別に超有名大学に行きたいとか将来は国家公務員(キャリア)志望だとかじゃ全然ない。

 むしろ他の高校に行く理由がなかったからというか。

 だって家から高校まで歩いて行けるんだもんね。

 自転車を使うまでもない。

 学住接近は基本でしょう。

 言い忘れていたけど比和さんも何とかなっていた。

 学年98位。

 いつもコロコロ笑っているのであまり苦労した様子もないけど頑張ったらしい。

「そうですね。

 ダイチ様とご一緒に勉強出来たのが良かったです!」

 ラブコメは止めて(泣)。

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