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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第二章 帝国人?

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44.奢りらしい

 結局モール内のファミレスに入ることになった。

 そこくらいしか人数的に無理だったし。

 幸い平日だったこととランチタイムを外れていたことで空いていた。

 僕たちはよくある高校生の集団を装って、ていうかそのものなんだけどファミレスの奥まった一角を占拠した。

 まず高巣さん(王女様)黒岩くん(相談役)、それになぜか僕が壁際の長椅子の中央に座る。

 その両側は宮砂さんや神籬さんといった側近で、その向かい側をなぜか比和さんを筆頭とするメイド同好会(違)の人たちが占めた。

 護衛の人たちはその外側で、何かあった場合は盾になる位置取りらしい。

 徹底しているけど、メイドの人たちってそんなに地位が高いの?

「今回は特別です。

 そもそも今回の集団デート(イベント)は比和の発案でございますので」

「それに、実は比和たちの活動が王国財政に多大な恩恵をもたらしてくれております」

 黒岩くんがあっさり言ったけど、どうして?

 ちょうどウェイトレスさんが来たのでみんなでドリンクバーを注文する。

 交代でバーに行って飲み物を取った。

 僕はジンジャーエールだ。

 エールってビールの意味だったっけ。

 成人したら酒飲みになるかも。

 他のみんなも好きなものを飲んでいた。

 メロンソーダを一気飲みしてすぐにドリンクバーに引き返す奴もいる。

 こんな客に集団でこられたら、店としてはあまり嬉しくないんじゃ。

 すると高巣さん(王女様)が声をかけた。

「皆さん。

 今回は特別にメイドの方々がここのお代を持って下さるそうです」

 ざわっとどよめく同級生(クラスメイト)たち。

「良いのか比和?」

 (マッチョ)らしい声が上がったが、比和さんはにこやかに答えた。

「いつもお世話になっているので。

 でもワンコインで抑えて下さい。

 ドリンクとは別に」

 五百円。

 この人数だと結構な額になりそう。

「ダイチ様もどうぞ。

 そもそもはダイチ様にご紹介して頂いたお仕事の報酬ですから」

 つまり比和さんたち王国メイド部隊はバイトで稼いだ金で奢ってくれるというのか。

「悪いよ」

「本来なら上納金として王国に納めるべきお金です。

 殿下には自分のものにして良いとおっしゃて頂けましたが、私達が今あるのは殿下とダイチ様のおかげですので」

 周りのメイドの人達も頷いている。

 つまり2年1組はまだ王国なわけか。

 封建制って凄い。

「そういうことなら遠慮無く」

 僕がぼやっとしていると無聊椰東湖(オッサン)が勝手に決めてしまった。

 ボタンを押してウェイトレスさんを呼ぶ。

 バナナサンデーって、アンタ本気なの?

「一度食してみたかった」

 しみじみ言われてもね。

 (オッサン)が動いたことで歯止めが外れたのか、みんなもメニューを奪い合うようにして注文している。

 いいのかなあ。

 同級生(クラスメイト)の女の子に奢って貰ったりして。

 こういう場合は男の側が奢るべきなのでは。

「ダイチ殿。

 それはむしろ比和たちへの侮辱になります。

 正当に稼いだ金銭をどのように使うのかは自由ですから」

 そういう高巣さん(王女様)は何やら凝ったスイーツを注文していた。

 480円に抑えてあるのが憎い。

「わたくしはバイトすることも出来なくて手元不如意なのです。

 この機会に」

「姫……高巣さんの経済状況はいかんともしがたく。

 王室の財政を預かる立場としては赤面の思いでございます」

 神籬さんがなぜか謝っている。

 前世では女官だったという話だけど、財布も握っていたのか。

「王国の財務官は別におりましたが王女殿下個人の予算は神籬が扱っておりました故。

 もっとも現在ではあまり関係ないのでございますが、責任があるように思ってしまうのでしょう」

 黒岩くん(相談役)がこっそり教えてくれた。

「あら。

 わたくしは平気ですよ?

 そもそも前世でも耐乏生活は当たり前でしたでしょう」

「そうでございますね。

 今思えば王政府のケチには憎悪しか沸きません」

「戦時統制で王室費の予算を削りまくっていたのですから仕方がありません。

 今世は戦争していない分、楽だと思えば」

 何か王国の赤裸々な内情を知ってしまった気がする。

「戦争は金がかかりますからな」

 黒岩くん(相談役)がため息をついた。

「王国経済は破綻寸前でございました。

 民にも窮乏生活を強いていて、あのままでは反乱が起きていたでしょう」

「それはこっちも同じだ」

 斜め前から声がかかった。

 アキラくん、じゃなくて晶さんだ。

 ウェイトレスさんが運んできた豪勢なスイーツにかぶりついている。

 それ、高いんじゃ。

「これは自前だ。

 いやそうじゃなくて財政の話だが、帝国も限界だった。

 戦費がうなぎ登りで兵士たちの給料も遅配しかけていたからな」

「それが判っていればもっと強気に出られましたものを」

 高巣さん(王女様)がため息をつく。

「お互い様だ。

 王国にはまだ余裕があると思っていたから相当譲歩する用意は出来ていたんだけどな」

 両方とも一国の代表を務めただけあって悩みのスケールが違うよね。

 しかし、お互いにそんなに相手の事が判らなかったんだろうか。

「スパイとかいなかったの?」

 聞いてみると両方に頷かれた。

「日本、というよりは地球(今世)の常識で考えたら諜報活動(スパイ)の必要性は今でこそ感じますが」

「前世は、何と言うか色々な種族が入り交じっていたからな。

 逆に裏切りや寝返りがしにくかったんだよ」

 高巣さん(王女様)と晶さんが説明してくれたところによれば、地球でスパイ活動が出来るのは人間同士だからだそうだ。

 個人の特定が難しいんだと。

 さらに封建制だから裏切ったりしたら個人の問題ではなくなるらしい。

 バレたら一族郎党全員が処刑とか。

「だからスパイがいたとしてもちょっとした情報漏洩なんかじゃ割に合わなくなる。

 やるとしたら一族丸ごと寝返りだな」

 晶さんは何でもないことのように言った。

「だが難しいぜ?

 そもそも裏切るような奴を信用する者はいない。

 下手すると両方から攻撃されて全滅だ」

「ですから情報戦にはなかなかなりませんでした。

 情報漏れがあったらすぐに判りますし」

「どうして?」

「魔法でございます」

 便利だよね!

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