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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 王国人?

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3.僕は頼りにされているらしい

 それからすぐに先生が来たので高巣さんたちは自分の席に戻った。

 僕は全然授業に集中出来なかった。

 テストもスルーした。

(いや俺がやっといたから)

 無聊椰東湖(オッサン)、中年サラリーマンなのに高校生の数学判るのか。

(俺は姪名大學の理学科出だぞ?

 高級中学程度の数学なんかお茶の子だ。

 いやちょっと難しいというか忘れていて焦ったけど)

 なら数学は無聊椰東湖(オッサン)に任せるか。

 といっても、どっちにしても僕/俺なんだけど。

 午前中はそうやって過ぎて行った。

 結構疲れた。

 だって油断すると無聊椰東湖(オッサン)がすぐに顔を出してくるのだ。

 気がつくといつの間にか自分の事を「俺」だと思っている。

 そして自分が授業を受けている事に唖然としたりして。

 突っ返された企画書の書き直しをしなければと焦った後に我に返ったり。

 大変だった。

 転生物のライトノベルに出てくるみたいに、現世と前世がきっちりと分かれていたりしないんだよ。

 どっちも僕/俺だ。

 それでいて意識というか考え方なんかが随分違う。

 「僕」が現代国語の解釈で悩んでいると、いつの間にか「俺」になっていて「こんなもん社会に出たら無意味だぞ」とか考えていたりして。

 自分が本当にそう思っているから始末が悪い。

 それでも僕、つまり矢代大地でいられたのは周りの環境のせいだと思う。

 高校の教室で授業受けているから。

 無聊椰東湖(オッサン)はサラリーマンなので、周りを見るだけで現実感が失せる。

 でも自分()を維持するのに大変で、だから休み時間に話しかけられても無愛想な返事しか出来なかった。

 昼休みにも高巣さんたちが話しかけてきたけど、何かややこしい事になりそうだから「後で」と断った。

 昼飯を食い損ねるかもしれないからね。

 これは無聊椰東湖(オッサン)も大賛成で、そういえば会社の休み時間は急いで牛丼とかを食った後はギリギリまで机に突っ伏して寝ていたっけ。

 そういう経験がリアルに思い出せてしまうのは心臓に悪い。

 矢代大地()がその時は無聊椰東湖(オッサン)になりきっているんだよ。

 異世界転生物のラノベではそんなシーンなかったぞ。

 つまり矢代大地(高校生)無聊椰東湖(サラリーマン)は同一人物で、どっちが(メイン)とかないみたいなのだ。

 たまたま高校二年生の肉体で高校に通っているから矢代大地が表に出て来ているだけで。

 普通に考えたら今は矢代大地の人生なんだから、無聊椰東湖(オッサン)が前世ということになる。

 だけどサラリーマンとしての「俺」も昨日まで仕事していたみたいにはっきり思い出せるんだよ。

 これからが思いやられる。

 今日は早く帰って寝ようと思って最後の授業が終わった途端にドアに向かったんだけど遮られた。

「お待ち下さい」

「姫がお呼びでございます」

 同級生なのになぜか敬語で話しかけてくる同級生の男子たち。

 それどころかさりげなくドアの前に立ちふさがって僕を通すまいとしている。

 ええと、弓道部の鏡と剣道部の琴根だったっけ。

 どっちも体育会系高位カースト(違)の所属(グループ)で、僕とはほとんど接触がなかったはずだ。

 でも有名だから僕でも名前くらいは知っている。

 何でそんな奴等に僕が絡まれる?

 生徒の質問に答えていた先生が「早く帰れよ」とか言って教室を出て行った。

 誰かが両方のドアを閉める。

 その途端、空気が変わった。

「外は?」

「良いようです」

「見張りはその場で待機」

「はっ」

 掃除しなくていいのか?

 今日の当番って誰だっけ。

 それどころじゃないみたいだ。

 何か物騒な事が進行しているような。

 巻き込まれたくないんだけどなあ。

 ていうかクラス全員がグルなのか?

「こちらへ」

 僕は(イケメン)琴根(マッチョ)に肩を取られて教壇につれていかれた。

 言い忘れていたけど僕はどちらかというと小柄だ。

 身長165センチ体重52キロ。

 いわゆる「小兵」という奴だ(泣)。

(俺は平均値だったから視線が低いのがちょっとショックだな)

 無聊椰東湖(オッサン)は引っ込んでて。

 この(クラス)にはもっと小さい奴も何人かいるから常に最前列という恥辱刑からは逃れているけど、日本人高校生としてはやはり弱属性(キャラ)であることは間違いない。

 しかも趣味があれだし。

 僕はイケメンとマッチョに挟まれて教室の黒板の前に立たされた。

 教壇には高巣さんと、もう一人男がいた。

 プロレスラーのような体躯を誇る巨漢だ。

 黒岩大輝。

 どうみても将来は傭兵か武闘系組織員という印象なんだけど、成績は常に学年トップで天文部という地味過ぎる部活に邁進する理系男子だ。

 誰とも(つる)まず趣味に没頭する孤高の人という印象だったのになぜ?

「皆さん」

 教壇に手を突いた高巣さんが言った。

 小柄すぎて肩が上がっている。

「確認は済みましたか?」

「「「はい!」」」

 何と、クラスメートたちは全員一致で返してきた。

 いつの間にか僕たち以外はみんなきちんと机についている。

 学級会?

 でも高巣さんは委員でも何でもないはずなのに?

 黒岩くんが何かよく判らない言葉で喋る。

 するとクラスメート全員が口々に叫んだ。

 まったく理解できない言葉で。

 少なくとも日本語じゃない。

(瑞穂語でもないな)

 いやそれ同じだから。

「皆の者。

 ここは日本だ。

 日本語で」

 黒岩くんが話すと、机についていた同級生(クラスメイト)たちが立ち上がって熱狂的に叫びながら片膝を突いた。

「「「我等一同、姫様の配下として忠誠を尽くさせて頂きます!!」」」

 ヲタ芸かよ?

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