表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第二章 帝国人?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/381

32.やはり芸人だったらしい

 幸いにしてどっかに連行されるような事はなかった。

 ヒャッハー集団は僕と谷くん、それから詰め襟学生服の人を残して去った。

「八里です」

 そうでした。

 僕たちは駅とは反対方向に少し歩いて寂れた公園のベンチに落ち着いた。

 みんなで自販機の飲み物を買う。

 たかられることもなかったけど奢ってもくれなかった。

 まあ同学年らしいしね。

 僕が無糖珈琲なのに対して谷くんはレモン水で八里くんはミネラルウォーターだった。

「何か健康に気をつけているとか?」

「いや、単なる好みだ」

 谷くんはそう言って一口飲む。

 そして周囲を見回してから言った。

「誰も見てないな?」

「大丈夫です」

 何?

 変身とかするの?

 谷くんの肩から力が抜ける。

 表情が和らぎ、ため息をつくと何か物凄く人なつっこいかんじの小動物がそこにいた。

「ええと、ダイチくんだっけ?

 改めて。

 谷晶です。

 アキラと呼んで欲しいな」

「私のことはショーゴと」

 詰め襟の方は変わらない。

 けど、どうしちゃったの?

「いや、僕って前世が将軍でしょ?

 部下たちの前では一応コワモテじゃないと。

 演技だよ演技」

 そうなの。

 それにしても落差が酷いのでは。

 ていうか前世が将軍なのにそのキャラは何?

「閣下は帝国皇族出身です。

 身分と立場に相応しい態度は習い性になっていましたもので」

 八里くん、じゃなくてショーゴくんもため息をついた。

「なまじ武芸や将才に優れていたため帝国軍入りは必然でございました。

 となれば今さら皇族としての態度を変えるわけにもいかず」

「ショーゴは帝国軍(前世)では僕の副官なんだけど、実は幼馴染みなんだ。

 ずっとサポートしてくれて、帝国軍にも一緒に入隊してくれて」

「陛下から直接ご下命があったらどうしようもないでしょう。

 覚悟はしておりましたが、まさか転生してまで副官をやらされるとは」

 何かアレだね。

 私は前世ではあなたのサーヴァ○トでございました、とかそういう。

 厨二病の症状としてはむしろありふれているけど、この人たちは多分本気だ。

 問題はこの人たちだけじゃないってことで。

 さっきのヒャッハー軍団が付き従っている以上、ただの思春期の病気では片付けられなくなっていたりして。

 いやそんなことを言い出したらうちのクラスなんかもう隔離病棟みたいなもんだけど。

「ごめんね。

 こっちが一方的に話しちゃって」

 谷じゃなくてアキラくんが謝ってきた。

「それはいいんだけど。

 何か用なんじゃ?」

「うん。

 ダイチくんに聞いて欲しいことがあるんだ。

 こんなことは他の人には言えないからね」

 そうなの。

 嫌な予感しかしない。

 無聊椰東湖(オッサン)は「無」になってしまっているし。

 しょうがない。

「いいよ」

「ありがとう。

 実は物凄く困っている」

 谷くんじゃなくてアキラくんが盛大にため息をついた。

「僕は今の生活というか、谷晶という日本の高校生である事に満足しているんだ。

 とりわけ日本人に転生したのは凄く幸運だったと思っている。

 平和、サイコーだよ!」

「それは僕もそう思うけど」

「谷晶は結構スペック高いし、家もどっちかと言えば裕福な方だし。

 もちろん小柄だとか可愛い過ぎると言われるとか色々あるけど、僕としては概ね満足していたんだよね。

 だけどそこに前世が降ってきて」

「衝撃でした」

 ショーゴくんがぼそっと言った。

「閣下……アキラと私は幼馴染みです。

 隣の家に住んでいて幼稚園から高校まで一緒だったのですが。

 物心ついた頃から何となくアキラの保護者的な立場にいて何の疑問も持っていませんでした。

 それが前世のせいだったとは!」

「うん。

 ご免ね。

 こっちでも迷惑かけて」

 アキラくんがショーゴくんに謝る。

 前世からの腐れ縁という奴か。

 そういうのってあるんだなあ。

 高巣さんや黒岩くんたちも前世が蘇る前から影響を受けていたみたいだからね。

 ふと思いついて聞いてみた。

「アキラくんって、やっぱりラノベとか好き?」

「うん!

 よく判るね。

 あ、ひょっとしたら同類?」

 違うと思うけど。

「いやアキラくんの前世って竜人(ドラゴンレース)だって聞いたから。

 そういうのが馴染み深いんじゃないかと思って」

「そうだねえ。

 確かに今思うと異世界物が好きなのはそのせいかもしれない。

 冒険者より魔族側に感情移入しちゃうし」

 あはは、と無邪気に笑うアキラくん。

 小学生にしか見えないんですが。

「ショーゴくんはどうなの?」

「私ですか。

 ライトノベルやアニメはあまり好みませんね。

 特に魔王軍などという単語には嫌悪感すら感じるもので」

「ショーゴは帝国軍で苦労しっぱなしだったもんねえ。

 前世で僕がやらかした失敗の尻拭いで大変だったし」

「それが判ってるんなら少しは自重しろ!

 ……失礼しました。

 つい感情が高ぶって」

 眼鏡を外して拭くショーゴくん。

 よく見たら眼鏡キャラだった。

 詰め襟のインパクトが強すぎて見過ごしていた。

 それにしても意外過ぎるなこの二人。

 ヒャッハーの親玉かと思ったらお笑いコンビだったとは。

 魔族の将軍と参謀モードは凄かったけど、こっちも負けてない。

 このまま修行を積んでいけばコンビで芸人デビューも夢じゃなさそう。

(そうじゃないだろう。

 何か相談があるとか言ってなかったか?)

 無聊椰東湖(オッサン)のツッコミで我に返る。

 このままスルーしたいところだけど、いつまでもお笑いに付き合っているわけにもいかない。

 さっさと片付けて帰りたい。

「で、相談って?」

「そうそう。

 まあ、ダイチくんなら大体判っていると思うけど。

 うっかり帝国語で呼びかけてしまって、元部下の人たちが集まってきちゃったんだよね」

 やっぱりか。

「連中は露骨に帝国軍人のままです。

 しかも休戦交渉の最中に記憶が途切れているため王国側の陰謀だという意見が根強い。

 今回の遠征も我々はあまり乗り気ではなかったのですが」

 ショーゴくんが頭を抱えた。

「だってほっといたら暴発しかねないよ。

 王国も同じだったらどうしようかと思っていたけど、向こうは姫様がしっかりしていて助かった」

「……で、僕に何をしろと」

「指導役なんでしょ?

 出来たら僕たちの相談にも乗って欲しいんだけどなあ」

 コイツら魔族だよやっぱ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ