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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第十二章 少年エスパー戦隊?

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274.夏休みの計画らしい

 胡堂くんは「俺はそんな大昔のジュブナイルSFモドキに参加するつもりはない」などと息巻いていたけど、矢代興業にいる以上、そっちの方向に向かっているのは確かだろうなあ。

 とにかくこれ以上痛い厨二病の話は聞きたくなかったので撤退することにする。

 胡堂くん以外の超能力者(エスパー)については後で紹介するとか山城くんが言っていたけど断る!

 いくら美少年や美少女でも僕、そういうのとはカカワリアイになりたくないので。

「それでいいですぅ。

 あの世界は異常ですぅ」

 珍しく信楽さんと意見が一致したので僕たちは矢代興業開発部かどこかの部屋を出た。

 エレベーターで1階に降りる。

 驚いた事にエントランスに出る時もIDカードとパスワードが必要だった。

「セキュリティが凄いね」

「こんなの普通ですぅ。

 それにぃこの程度ならぁ出し抜く方法はいくらでもありますぅ」

 信楽さんに言わせると機械的な手段は信用出来ないそうだ。

 機械は決められた通りの事しか出来ないし、それに人間の不注意(ヒューマンエラー)や悪意が加わると何でも出来てしまうらしい。

「ていうかそもそもそこまでして守る秘密ってあるの?」

「その通りですぅ。

 あれはむしろ誘いの隙と考えるべきですぅ」

 つまり敢えてセキュリティを厳しくすることで、ここに守るべき秘密(もの)があると思わせると。

 矢代興業の秘密は中核社員の全員が厨二病だということで、それが判ってないといくら調べられても何も出てこない。

 証券事業部の未来人みたいなもので、最初から知らない人には絶対にバレないと思う。

「でも逆に人間を攻められると弱いのでは。

 何か王国の護衛兵が帝国のくノ一に籠絡されていたみたいな」

「ああいうのは身内でジャレてるだけですぅ。

 本当に守るべきは別の所にありますぅ」

 信楽さんは判っているみたいだった。

 やっぱり凄い人だよね。

 精神的後期高齢者(ロリババア)だけのことはある。

「何考えてるか大体判りますがぁ、止めて欲しいですぅ。

 私ぃは高校一年の女生徒ですぅ」

「それはそうなんだけどね」

 まあいいか。

 実際、信楽さんと話していても精神年齢的なギャップはあまり感じない。

 知識や経験が凄すぎるだけで思考パターンは普通の女子高生的なんだよ。

 高巣さん(王女様)(アキラ)さんの精神(メンタル)が根底の所では露骨に異世界人なのとは違う。

 うーん。

 こうしてみると一口に厨二病患者と言っても色々あるもんだね。

 王国や帝国の人たちは日本とは似ても似つかない世界で生まれ育った記憶を丸ごと持っているからメンタリティは異世界人だ。

 もちろん日本人としての記憶もあるから適応は出来ているんだけど、価値観とかは前世のものがそのまま残っていたりして。

 未来人は、未来の記憶はあるらしいんだけど現代日本の女子高生そのものなんだよね。

 どうも未来においても女子高生的な立場にいたみたいで。

 宇宙人については判らん。

 判りたくも無い(泣)。

 超能力者は……うーん。

 よく判らない。

 そして僕の秘書たる次元放浪者(ディメンショントラベラー)

「何ですぅ?」

「いや何でもない」

 一言で言い表せる事が出来るほど単純な人じゃないと思う。

 でもまあ、裏もなさそうだし有能で誰より役に立つし、なぜか王国や帝国の人たちから異常に畏れられているという使い勝手がいい人だったりして。

「信楽さん」

「何かぁ?」

「今後ともよろしくお願いします」

「……はいですぅ」

 複雑な表情で返してくる信楽さん。

 よく見ると結構可愛くて美少女(ヒロイン)と言ってもいいよね。

 癒やし系の。

 ラノベのラブコメだと最後に勝ったりするタイプだ。

「矢代会長の悪い癖ですぅ。

 何でもかんでもラノベやアニメをなぞって考えるのは止めた方がいいですぅ」

「ご免」

 疲れたので帰ろう。

 矢代興業本社の前で信楽さんと別れた僕は一人で帰宅した。

 信楽さんはまだ会社に用があるらしい。

 凄いなあ。

 留守電に何も入ってなかったということは、両親の夕食はいらないということだね。

 僕は買い置きの冷凍ハンバーグに目玉焼きというファミレスのランチ的な夕食を作って食べた後、少しゲームしてから勉強して寝た。

 翌朝キッチンを見ると何も変わってなかったから両親は帰宅しなかったらしい。

 相変わらずブラック企業だ。

 矢代興業は絶対にそんな会社にはならないようにしなくては。

 特に役員は定時出社で土日休みは死守したい。

 無理だろうけど(泣)。

 メイドの人たちの同伴登校は僕が頼んで止めて貰ったのでボッチで普通(モブ)な男子高校生として登校する。

 もっとも学校の近くまで来るとメイドや護衛兵の人たちから挨拶されるんだけど、もうしょうがない。

 絡んでこないだけいいと思うしかないなあ。

 そんな毎日をおくっているうちに夏休みが迫ってきていた。

 如月高校の場合、2学期制なので夏休み前の終業式とかはない。

 各クラスで休み中の注意とかされて解散になるだけだ。

 夏休みの宿題は出るけど。

 もっとも如月の生徒は自己中だから、今さら注意されなくても自分が損になるような問題は起こさないんだけどね。

 自分の事しか考えてないってことは、つまり何かやって内申に傷が付くようなことはしないということだ。

 特に3年生は受験が半年後に迫っているので、一般入試組はもうスパートにかかっている。

 AO入試や推薦を狙っている連中はそれ以上に真面目だ。

 だって内申で進学が決まるから。

 問題行動を起こさないどころか夏休み明けの試験結果で進学先が決まるので、夏休みなんかあってないものだろう。

 勉強しかしないよね。

「ダイチ様!」

 数日後には夏休みというある日、教室で比和さんが話しかけてきた。

 珍しいな。

「何?

 比和さん」

「夏期休暇中なのですが、ご予定はありますか?」

「特にないけど。

 矢代興業に出るくらいかな」

 比和さんの表情がパーッと明るくなる。

 やっぱり美人だよね。

「なら、合宿に参加しませんか?」

 メイドの?

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