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僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第十一章 ヲタク?

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240.やはりヲタクだったらしい

 親父の衝撃的な過去(違)がバレたところでクラリッサさんは自分が矢代興業に取材しようと思ったきっかけについて教えてくれた。

 他の記者さんたちはともかく、クラリッサさんは別に矢代興業の証券事業がおかしいとか変だとかは思っていないそうだ。

 世の中にはたくさんの会社があるし、中にはとんでもない業績を上げたり社会現象を引き起こしたりする企業も時々出る。

 証券業界ではそんなのは日常茶飯事で、何かミスして数十億円を溶かしたとか凄まじい買収劇を演出したりする会社もあるらしい。

「私は経済記者ではありませんし、スキャンダルを追っているわけでもないので」

「すると他の記者さんたちはそうなんですか?」

「それは判りませんが、少なくとも業界ゴロと呼ばれる連中はいなかったようですね。

 矢代興業(そちら)側で選別したのでしょう」

 そういえば黒岩くんは「正式な取材申し込みが来ている」とか言っていたっけ。

 僕の接近してきた人たちとは違って正式な記者? さんたちなのか。

「彼らはともかく私が興味を持ったのは矢代社長ご自身です。

 未だ高校生の身でありながら企業を立ち上げ、瞬く間に数百人規模の組織に育て上げた。

 しかも初年度から黒字を達成している。

 普通ならあり得ないことです」

「それは私、いや僕がやったことじゃないです。

 みんなが優秀なんですよ」

 そう言うとクラリッサさんが笑った。

「卓越した人物はなぜか皆さんそうおっしゃいます。

 何か不文律でもあるのでしょうか」

 そんなんじゃないんだけどなあ。

 それにしても話が進まないな。

「そろそろクラリッサさんの目的を話して頂ければ」

「ああ、すみません。

 矢代社長に圧倒されていまして」

「その前に、矢代社長は止めてくれませんか。

 僕はまだ高校生なので背筋がムズムズするんですよ。

 矢代くんとか大地くんとかで」

 言ってしまった。

 いやムズムズするのは本当だったりして。

 それにオフレコの約束だし

「良いのですか」

「お願いします。

 もちろん(おおやけ)の場では困りますが」

 僕とクラリッサさんが何かあるように見えたらまずいし。

「判りました。

 では矢代さん、で」

 それでもまだムズいけどしょうがない。

「それで」

「そうですね。

 実は私は以前から矢代さんのお父上に興味を持っていました」

 やっと始まるらしい。

「親父ですか。

 普通のサラリーマンだと思ってましたけど」

「少なくとも『普通』ではないでしょうね。

 サラリーマンでもありません」

 そんなはずはないでしょう。

 だって会社に勤めていて毎日出勤しているし。

会社員(サラリーマン)ではないとしたら経営者と?」

「違います。

 お父上は会社を経営しているわけではありません。

 何と言いましょうか陣借者、あるいは与力?」

 何じゃそりゃ。

 ていうかクラリッサさん、外国人なのに何でそんな戦国時代の言葉を知ってるの?

 僕が変な顔をしたのを見てクラリッサさんが慌てて弁解した。

「あ、陣借者は個人の立場で一時的に大名の配下につく者のことで」

「いやそれくらいは知ってますけど何でクラリッサさんがそんな古い言葉を」

 さっと顔を赤らめる外国人美人記者さん。

「オフレコですよ?

 実は私、日本の戦国時代ヲタクで」

 何てこったあーっ!

 ていうかそんなどうでもいい情報、わざわざオフレコにしなくたって誰にも言わないって。

 でもなるほど趣味か。

 だから日本語ペラペラだと。

「はい。

 学生時代にハマッて日本語を勉強しました。

 卒業してからは外国語指導助手(ALT)として働きながら日本各地の城跡巡りなどを」

 いやクラリッサさん、アンタの趣味遍歴はどうでもいいんですけど。

「僕の親父の話ですが」

 強引に戻す。

 クラリッサさんはハッと気づいて咳払いした。

「……とにかく矢代さんのお父上は業界でも知る人ぞ知る存在です。

 会社名よりお父上の名の方が売れているほどです」

「そうなんですか。

 親父は何も言わないもので」

矢代大地(ガキ)の父親はやはりただもんじゃなかったってことか。

 外国人記者に注目されるほどの存在だと)

 無聊椰東湖(オッサン)が感慨深げに言うけどそれほどのもんかね?

 まあ別にいいけど。

 僕は頭を整理した。

 つまり美人外国人記者(クラリッサ)さんは矢代興業を親父の仕掛けだと思っていたわけか。

 社長の僕が傀儡で、後ろから糸で操っていると。

 まあ、普通に考えたらそうなるよね。

 高校生社長とか普通はあり得ないし。

 いや能力があっても無理だと思う。

 数人のITベンチャーとかならともかく矢代興業は実業会社なんだよ。

 現実に数百人規模の人を雇って動いている。

 常識で考えたら高校生なんかにやれるわけがない。

「興味を持って調べてみましたら、噂の高校生社長は矢代氏のご子息だと判明しました。

 資本金もお父上から出ていると知って」

 そう思い込んだと。

 だから僕が「親父は矢代興業とは関係ない」と言い切った時に驚いたわけね。

 なるほど。

「親父と矢代興業との関係はさっき話した通りです。

 ほぼ無関係ということで」

 すると僕の後ろに控えていた比和さんが口を開いた。

「私からも一言。

 矢代興業はダイチ様の元で(こころざし)をひとつにしています。

 ダイチ様がいなければ私たちはバラバラになって途方にくれるだけです。

 ダイチ様が私共の指導者です」

 いや比和さん、そんな荒唐無稽な上に誤解されそうな説明しなくても。

 ていうかこんな席で「ダイチ様」は止めて(泣)。

 クラリッサさんは真面目な顔付きになった。

「貴方は比和さん、でしょうか」

「はい。

 一応、役員の末席を汚しております」

 綺麗に一礼する比和さん(ヒロイン)

「矢代興業の清掃事業部を率いていらっしゃる。

 貴方も取材対象です。

 高校生の身でありながら既に経営者としての実績を挙げておられることで」

「私はダイチ様のご指導に従っているだけです。

 本当はダイチ様の秘書になりたいのですが、そちらは希望者が詰まっていて」

「……と言ってますが比和さんが一番凄い人ですから。

 もう何百人も指揮する立場ですし」

 僕は無理に割り込んだ。

 ほっといたら何を言い出すか判らないからね。

 ていうか手遅れという気もするけど。

 改めてここでの話はオフレコだからと目で伝えておく。

「……判りました。

 矢代さんは名実共に立派な経営者でございますね」

 判ってないでしょう(泣)。

 もういい。

 切り上げだ。

「こんな所でいいですか?

 クラリッサさんの質問には答えた気がしますが」

「いえ、まだです」

 さいですか。

 なら早くして。

「では伺います。

 矢代さん。

 矢代興業がエンタテイメント業界に進出するという噂は本当なのでしょうか」

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