表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のクラスは厨二病 ~厨二病でもまともに青春したい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 王国人?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/381

10.何か求められているらしい

 日が暮れかけたのでその場は解散になった。

 そのまま続けても終わりが見えなかったからね。

 現時点でも過剰過ぎる情報を整理する時間が欲しかったし。

 今朝目覚めてから人生が何度も激変するような情報が押し寄せてきたからな。

 それは高巣さんたちも同様だったみたいで、とりあえずみんな自宅に戻って考えてみるそうだ。

 ファミレスを出てみんなと別れ、とぼとぼと自宅に向かう途中で無聊椰東湖(オッサン)と自問自答してみた。

 どう思う?

(どうと言われてもな。

 俺は前世だから関係ないとも言えるし)

 関係なくはないだろう!

 無聊椰東湖(オッサン)だって僕なんだぞ。

 少なくとも身体は共有しているし、記憶だってお互いにアクセス出来るし。

(ていうか俺たちって同一人格じゃね?

 会話しているふりをしても虚しいだけだと思うんだが)

 そうなんだよね。

 どうも、僕と無聊椰東湖(オッサン)って同じ人間というか、心はひとつみたいなんだよ。

 ラノベだと大抵はどっちかの精神が主流になって片方は記憶装置的な扱いになるんだけど。

 僕たちの場合は高校2年生と中年サラリーマンが無理なく共存しているみたいだ。

(いや俺はまだ中年という程じゃないぞ。

 まだ「青年」だ)

 いやいや、30代って高校生から見たらオジンだって。

 そんなつまらない事で意見が割れたりしていて、その両方が僕なんだからたまらない。

 どうすればいいんだよ?

 結論が出なかったので帰宅してそのまま夕食の支度にかかる。

 キッチンの壁に貼ってある伝言板によれば、今日も両親は両方とも外食らしい。

 ならば簡単に済ませるか。

 本日の夕食はカレーということにして、買い置きのレトルトを用意する。

 ご飯もレトルトだ。

 両方とも電子レンジでチンすればおしまい。

 親がいる時には一応凝った料理を作ったりするけど、一人の時はこんなものだ。

(ガキの癖に冷めているな。

 両親を恨んだりしないのか)

 無聊椰東湖(オッサン)の疑問に自分で応える。

 別に。

 かえって気楽なくらいだよ。

 それに両親が働いてくれているから僕の将来も暗くはないしね。

 実は食事や家の掃除を僕がやることで、両親には大学進学費用の全面負担を了承して貰っている。

 万一両親が会社を首になったりした時に備えて、その分の費用は僕名義の進学保険で確保済みだ。

 これによって僕は無理に国立大とか狙わなくても、少なくとも大学卒業までの人生が保証されている。

 バイトなんかするよりよっぽど確実な人生保証だ。

(今のガキの考え方は判らんな。

 親が子供の世話をするのは当たり前だろう)

 おっさんの世界(くに)ではそうかもしれないけど日本は世知辛くなっているんだよ。

 自問自答も虚しい。

 居間(リビング)でテレビを見ながらボッチ飯を食った後、キッチンで皿洗いなどする。

 自分でも高校生にしては生活力ありすぎという気がしてきた。

 両親が帰ってくるのは深夜になるので自分の部屋に引き上げる。

 とりあえず机のPCを起動してワープロソフトを立ち上げる。

 情報をまとめる必要があった。

(思うんだけどな)

 無聊椰東湖(オッサン)が考えていた。

 いや、自問自答なんだけど。

 会話調で考えていたりして。

(高巣さんと言ったか、王女様)

 うん。

(あの娘や格闘士たちって王国臣民だった前世を思い出さないうちから影響が出ていたと言っていたよな)

 そうだね。

矢代大地(おまえ)もそうなんじゃないか?)

 そんな気がしてきた。

 僕、何か昔から変に冷静な性格だったんだよね。

 いわゆる反抗期ってのも経験した覚えがない。

 あまり両親にも甘える気にはなれないし。

 それどころか肉親なのに取引めいたこともやっていたりして。

 つまり無聊椰東湖(オッサン)のせいか。

(俺のせいというよりは、矢代大地(おまえ)がそういう性格に育ったんだろう。

 無意識とはいえサラリーマンを経験していたら、いくらガキでもそうなりそうだ)

 なるほどね。

 ボッチでも気にならないのはそういう理由かもしれない。

 無聊椰東湖(オッサン)くらいの歳になると、群れて何かやることはほとんどなくなるだろうから。

 友情とかそういう感情の儚さも理解してしまっている。

 あ、これは無聊椰東湖(オッサン)独自の性格なのかもしれないけど。

五月蠅(うるせ)えよ。

 お前がヒネたガキだというだけだろうが)

 自分同士で罵り合っていても虚しいだけだから止めよう。

 僕はワープロソフトに今日得た情報を箇条書きにしていった。

 高巣さんたちに協力するって言っちゃったからなあ。

 別に親切というわけじゃなくて、みんな危なっかしいから。

 本人達が暴走しておかしくなるのは自業自得としても、どう考えても僕は巻き込まれるよね。

 クラスメイト全員の意志が固まっているというのも怖い。

 もし万一高巣さんや黒岩くんの反感を買ったら始末されそうだったりして。

 クラス全員が敵になってしまったら虐めどころの話じゃない。

 しかも連中って高巣さん(王女様)に絶対服従なんだよ。

 リアル厨二病だ。

 何とか凌がないと。

 というわけで、翌日登校した僕は高巣さんに頼んで放課後の臨時クラス会を開いて貰った。

 黒岩くんが担任に頼んだら一発だったそうだ。

 信用あるからね。

「そういえば担任の先生は王国臣民じゃなかったの?」

「違いました。

 その他の先生方も同様でございます」

 残念。

 ラノベだと大抵は色っぽい女教師とかが一人くらいハーレムメンバーとして参加するのに。

 厨二病の集団だからちょっと期待していたけど、そんなに上手くいくわけないか。

(どっちにしても矢代大地(友人役)には回ってこないと思うぞ)

 判っているよ!

 授業が終わった後、全員で手早く掃除を済ませると2年1組は教室に立て籠もった。

 いや前世が兵士とか護衛だったらしい数人がドアを固めただけなんだけど。

 高巣さんと黒岩くん、そして僕が教壇に並ぶ。

 高巣さんがよく通る声で言った。

「皆さん、昨日は大丈夫でしたでしょうか」

 「何とかやれました」とか「頭痛のふりして部屋に閉じこもってました」とかいう返事が返ってくる。

 やっぱりみんな、まだ王国臣民のままらしい。

 ひょっとしたら厨二病が治っているんじゃないかと期待していたんだけど。

 僕の精神(こころ)にも無聊椰東湖(オッサン)が居座ったままだか駄目か。

(俺も消えたいよ)

 思いは同じだな。

 同一人格だから(泣)。

「皆さん、ご苦労様です。

 大変でしょうが頑張って下さい。

 ところで昨日の話し合いの結果、矢代大地殿が王国臣民(我々)のご指導を承知して下さいました。

 拍手をお願いします」

 高巣さんの指示で沸き起こる拍手。

 さすがは王女様だ。

「それでは矢代大地殿、お願いします」

 言われて進み出た僕は第一声を放った。

「みんな、サークル作らない?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ