おおきなケーキ ~あなざああなざあ~ー解説ー
お話の前提。
ある国に王子様がおりました。
執務もそつなくこなし、容姿麗しき王子。
そんな王子は少しばかり、その立場と自身に自惚れているところがありました。
もう少し成長すれば、その自身の黒歴史に悶絶し、地面を転がり回るのでしょうが、そうなるまでにはまだすこしの時間が必要でした。
そんな王子には1人の婚約者がおりました。
彼女の名前はローレンシアといいます。
ローレンシアは(見た目)大人しく、どちらかと言えば寡黙な少女です。
彼女の一族は冬の一族。冬に雪ごもりをして家で過ごすかのように、図書館などで知識を集める事に時間を費やす一族です。
冬の一族の権能は知識への探究。
ローレンシアも一族の権能を受け継ぎ、かつ一族最高峰の力を備えていました。
一族の誰よりも探求心が強いローレンシア。無口なその少女の姿は王子からは新鮮なものに見えました。
そうして、王子はローレンシアを婚約者として選んだのです。
王子の中では寡黙で大人しく、王子に気くばりして王子を優先してくれるその少女がとても好ましいように思えたからです。
だから多少はやんちゃしても大丈夫、そう思っていた頃も王子にはありました。
ローレンシアは冬の一族、その探求心は留まる所を知りません。やがて王子のやんちゃはばれてしまいます。
ローレンシアは持ち得る全ての知識を使い、王子を陰に日向にサポートします。
そんなローレンシアを見て王様や宰相、王子付きの騎士達は
「この姫に任せておけば大丈夫」
と信頼するようになりました。
その時から、国の諜報部隊までローレンシアの味方になったのです。
さあ、そんななか、王子はローレンシアが自分に都合の良い姫だと思ってやんちゃをします。
その全てが諜報部隊などを通じてローレンシアへと情報が漏れているとは知らずに。
そのやんちゃも限度を超えるのですが、王子を憎く思えないローレンシアは多少の妥協をします。
ローレンシアは運動が苦手であまり体を動かしたりせず本を読むばかりなので王子も退屈するだろうからと、元気で良く動きまわるマーガレットを許しました。
また、王子が執務をするにあたり、技術的な問題もあるだろうからと、自身にはない経験を持つ、物造りに造詣の深いララを許しました。
また、どちらかと言えば口下手で、口数の少ない自分よりも、多彩な表現を巧みに操り、皆とそつなくつきあうフェミナを許しました。
ですが。
ローレンシアが持っていた王子との1年は、マーガレットを許した時には2等分に。
ララを許した時には3等分になりました。
フェミナを許す事で今度は4等分になってしまいました。
1人増える度にローレンシアは事態の収拾に走り回り、その知識の蓄積とともに他の子達よりも早く大人びてしまいました。
そうして老練な経験を得たローレンシアは、王子が初めにローレンシアに期待した甘い考えから欠け離れた、いわば天敵とも呼べる存在へと昇格していました。
王子が何かやらかす度に、ローレンシアはサポートします。ですが同時にしっかり躾けます。
やがて王子のやんちゃもなりをひそめ、後は時間が王子を成長させてくれると信じて待つ日々を過ごしているはずでした。
しかし王子はやってくれます。
5人目の存在です。
執務とローレンシア達の相手という激務をかいくぐり、ラッキーイベントを発生させた王子はある少女の心を鷲掴みにしてしまいます。
その少女の事を憎く思えない王子はずるずると関係を深めます。
さあ、ローレンシアは困りました。
すでに4等分です。4等分。王子との時間をこれ以上割くという譲歩は出来ません。
それに王子はこのままだと甘い考えで同じ事をやらかすでしょう。
そのままでは王になった時にまだ甘い考えが残ったままだと思われ、それは王国に暗い影を落としかねません。
そんな時、王子は自身の甘い考えからローレンシア達に5人目を受け入れさせる策を弄します。
ローレンシアを筆頭に、4人の結束は固い。そのままだと受け入れられないどころか王子はどんな扱いを受けるか気が気でなりません。
だから策を弄します。
ここからお話は始まります。
王子の策は4人の離間工作です。こう書くと黒い考えに思えますが、どうにか5人目であるクラウディアの存在を4人に認めさせたいのです。
4人が仲互いしているところに、クラウディアが仲裁に入る。そしてクラウディアが仲良くなり、王子もそれを応援する。
そんな計画です。
甘いです。甘々です。そんな方法がローレンシアに通じるはずもありません。
まだ素直にスライディング土下座をしたほうが許されたかも知れません。
これ以上数を増やされてはたまらない、そして王子の今後のためにもならないと、ローレンシアはきついお仕置きをする事を決意します。
ですがクラウディアはもういい仲になってしまっています。彼女だけはうけいれざると得ません。
ローレンシアは王族という立場を考慮し、感情を殺して受け入れる事にします。
そのための一連の計画がお茶会で思案されます。
ローレンシアの建てた計画はこうでした。
5等分はきつい。でも同じ王子を愛してしまった気持ちもあって憎めない。塔での務めもある。
5つ目の季節は作れないからせめて1日だけでも時間を作ろう。そう。仕方がないから自分の持ち分の冬の一日を分けましょう。
塔での務めも1日あれば対外的にも問題ないはず。王子との時間が5等分なのはもう諦めましょう。
でもやはり王子にはきっちりとわかっていただく必要があるでしょう。
王子の甘い計画とお茶会に出てきた甘いケーキのような甘いけれどもきついお仕置きをして差し上げましょう。
お茶会の席でローレンシアはすぐさま他の姫達に緊急事態を告げて、目の前のケーキで競っている場合ではない事を示します。
そのため他の姫はケーキに手を出さずにローレンシアが、王子の仕掛けたケーキを食べる事になります。
ここで王子の思惑は外れます。
そのケーキを巡って一悶着あると思っていたからです。その繰り返しで若干の関係の乱れが出来た時こそクラウディアの出番、そして王子の出番。
そう思っていたからです。
ですが、姫達は揉めません。そしてローレンシアが何気なくケーキを頬張り、王子を見つめて来ます。
王子は期待した状況とは違う事に戸惑いながらもローレンシアに笑みを返します。
ですが、そんな王子を許さない、というより王子に席を一旦外して欲しいララがいました。
ララは事前に仕掛けておいた王子専用お仕置き装置を使って王子をジェット噴射して裏の池へと飛ばします。
地面に落下してはさすがの王子もただでは済みません。池に落としたのはララのやさしさからです。
さて、王子が席を外した後に、ただ1人、ローレンシアの緊急通信を見ていなかったフェミナに対してローレンシアは事態を告げます。
「オ・ウ・ジ・ウ・ワ・キ・オ・シ・オ・キ」
そのメッセージを見たフェミナはローレンシアの名前を呼んだ後に、王子に対しての感情を漏らします。
「ローレンシア・・・、ひどい」
そうです。一番最後に姫達の仲間入りしたフェミナにとって、初めての王子の浮気です。
そして、ここで一番素直に感情を表わせるのもフェミナです。だからフェミナは行動します。
なぜフェミナなのかと言えば、
ララ「またか」
マーガレット「またか」^2
ローレンシア「またか」^3
だからです。
政略での婚約ならともかくも、恋愛で至る場合、ローレンシア以外は下手をすればブーメランを喰らいます。
なら他に動けるのは初めてのフェミナだけになります。
ローレンシアにそう言い残してフェミナは走り去ります。
椅子をひきずったまま戻って来た王子はフェミナが遠くに走り去るのを呆然と眺めています。
なぜだかよくわからないが、自分の計画がうまくいったのか?と考えていそうです。
ローレンシアはちらりと王子を見て思います。
(ふふ。妾達を侮った報いを受けるが良いわ)
さて、このお話では、「塔」は王子、「城」は姫を表わします。
そこを念頭に置いていてください。
フェミナが去った後、ローレンシア達は連絡を取り合います。
ええ、諜報部隊すら味方なのです。王子に気付かれる心配はありません。
しっかり諜報部隊が偽の情報を王子に掴ませています。
この際の準備に2つ程用意されました。
クマ型パワードスーツと飛行可能な塔です。
パワードスーツはともかく、塔の改造は王子に見せておく必要がありました。
なぜなら・・・
王子の計画はすべて筒抜けですよ、と暗に釘を刺す必要があったからです。
後で口に出すより実際に体験してもらったほうが良い経験になるでしょう、という考えからです。
だからあえて王子に応援までさせてしまった茶目っ気たっぷりのローレンシアがいます。
準備を滞り無く済ませた後に、王国の政務である姫の交代が成されない状態に陥ります。
ここで2度目のお茶会です。
王子はもう少し姫達の関係を乱したいためにまた同じ手口で策を弄します。
ここでも甘々です。前回の策がうまくいったと勘違いしたままの王子らしい甘さです。
いくらなんでも天丼はひどすぎます。
天丼:コントなどで受けた定番ネタをもう一回被せる事。
思わず王子を可愛いと思ってしまったローレンシアですが、手を抜きません。
ローレンシアからすれば、王子がじゃれてきているとも思えるのですが、その結果として周囲に迷惑をかけているのはいただけません。
甘えてわがままな子には、「メッ」てしないといけません。
(さて、こやつが自身の思惑通りに事が進んでいると思うておる内にさっさと進めてしまうとするかの)
ローレンシアはそう思いながら事態の経過を窺います。
そんなローレンシアの思いなど気付かない王子はお姫様達3人に話しだします。
「ララ、どうしてフェミナは来ないか知らない?」
この言葉に対して王子は恐らく、
「フェミナの事なんて放っておいて私達と遊びましょう」
などと返って来るなどと思っていた事でしょう。なぜなら彼女達は恋敵。自分を良く見せるには他との差をつけないといけません。
ですが返って来た返事は違うものでした。
「そんなの決まってます。王子が迎えにいかないからです」
(作者註:このあたりの動機が弱いのですが、作者の実力不足のためです)
王子は予想だにしていなかった返事に驚きますが、マーガレットもローレンシアでさえも頷いています。
そんな王子にマーガレットは言いました。
「本当はローレンシアに行ってもらった方が良いと思うんだけどローレンシアは今は塔から離れられないから。私達も行くから。ね、王子、お願い」
マーク王子はどうしてそうなったのかよくわからないながらもフェミナを迎えに行く事になります。
王子一行はフェミナを迎えにいきます。
ここでローレンシアは「熊」の着ぐるみを着ます。
熊とはどういった生き物か。
見た目はわかりますね。こわもてのいかつい迫力満点のごつい奴です。
彼には別の特徴もあります。
プXさんなどでよく見られる特徴とはまた違う部分です。
よくお土産として登場する木彫りの置物。
あれにヒントがあります。
大抵は鮭を食べてます。
鮭。それは回遊魚です。海遊魚とも書いていいと思います。
一旦海に出て戻って来る、頑張り屋さん、などと思ってはいけません。
鮭に求められるイメージは、大抵において、回遊魚の持つイメージである、寄生虫を持つ、という部分です。
川は源泉から流れる水が上から下へと流れるので循環しません。
なので寄生虫が泳いだり、卵が浮遊したりといった事態を避ける事ができます。
わかりやすくいえば、シャワーは汚れを洗い流すことは出来ますが、汚れたままにお風呂につかった場合はそのままお湯が汚れます。
海で泳ぐ魚は常にそういった危険性が存在するという事を念頭に置いてください。
ちなみに、現代の技術でいえば、漁協で水揚げされた魚は、3日程-20[度]の冷凍庫で保管して寄生虫を殺します。
気をつけましょう。素人が安易に生魚に手を出すとアニサキスで苦しむ事になります。
鮭もそういった回遊魚に漏れず、アニサキスを腹に蓄えています。
寄生虫が主に寄生するのは消化器系です。経口し胃を通じ腸に至って肛門から排泄されます。
その経路に主には寄生虫は寄生します。もちろん例外も多いです。ですがまず注意するのはその経路です。
ここで余計な事を書くと営業妨害扱いされるのですが、ホXモンうまいなー、なんて。
勿論種類や場合によりけりです。羊の腸なんてソーセージに使われます。
あくまで素人判断が危ない、という事です。
鮭は海で寄生虫をもらい、川に帰って来る奴、とも言えます。
では「熊」です。熊は実は丈夫な胃を持っていて、鮭がアニサキスを持っていても平気です。
そこから熊は、鮭(余計なものをつけている)を受け入れても平気な奴、とも言えるのです。
さて、ローレンシアです。
あえて熊の着ぐるみを選びました。
でも始めはリアルなものにしました。そうです。迫力ある外見でまだ思う所があり怒っていると暗に伝えます。
次にドレスを着ます。表面覆ってもやっぱりリアルな熊です。やっぱり怒ってます、と伝えます。
次に茶目っ気を混ぜます(本当は権利云々ですがあまりにコアなネタなためにあえて避けます)。
次にロケットパンチを着けます。正直ぶん殴りたいのよー、です。
紆余曲折して本来の目的であるメカニカルクマなパワードスーツに落ち着きます。
さて、なぜ「熊」か。
鮭を王子に例えて、余計なものをクラウディアに例えます。
クラウディアをそういったもの扱いにするのは失礼ですが、余計な情報を外して単に付いてくるもの、として考えます。あくまでここでは。
他の作品では知りません。
だからクマであるローレンシアは鮭である王子をそのよけいなものであるクラウディア毎まるっと受け入れますよー、って言ってます。
ですが・・・
メカニカル(機械的に)(感情を殺して)です。そして色は気持ちを表わすブラックです。やはりローレンシアも仕方ない事とはいえどこか納得しきれていないのです。
ここでピンクだったりする他の作品があれば、ハニートラップくわせられるー、ってな感じになるのかもしれません。
この後の会話は王子の一言はともかく、御想像ください。
黒光りする、という下品な展開ではありますが、性的な事案をあえて示し、本能という言葉で、浮気性を匂わす。そして最後に「あなた隠す気ないでしょ」の一言で王子の現状をそれとなく伝えています。
また、「名前はまだない」のくだりは、王子の口から相手が誰なのか教えてもらってないわよー、的な発言です。
あくまでローレンシアからすれば、ちゃんと話したら許して上げても良くってよ(チラッ
って感じでツンデレています。
そんな一行はフェミナの領地に入ります。
ここでヒャッハーな彼らが登場します。ええ、世紀末な奴です。あれですよ。ローレンシア的には最後通牒です。
展開の流れ自体は「あらまし」などを見てもらった方がわかりやすいのでこちらでは省きます。
お仕置きの順番は、ローレンシアは指揮監修のために最後ですが、婚約者順のマーガレット、ララになっています。
それぞれがそれぞれの役割分担でのお仕置きを開始します。
マーガレットはお仕置きをしますが、実の所怒りが収まりません。なので、ララとローレンシアはマーガレットの怒りを静めるべく、王子をパイ塗れにします。
ちなみにアダマンタイトとは、「アダムの金属」であり、アダムとイブのアダムであり、原初のものとも訳せます。ここでのアダムは男性を表わしていたりもします。
何が砕けないか、何が砕けてなくならないか、ていえばそれは王子様の蛮行です。だからそれをララ達が静めます。
次はナイフとフォーク達です。ここでのフェミナの発言そのものは王子達から見えません。だから起こっているかどうか実際にはわかりません。こういった部分はお話の脚色上にあります。ですが権能の発現自体はお話の中心である一行には降り掛かっている、ここはお話上の事実です。
ここではフェミナの権能で恋愛スキャンダルが起こされようとしています。まあ、王子の行った事に対しての皮肉です。王子とマーガレット、ララはとりあえず遊んでいますが、スキャンダルが王子を襲う、という表現だと解釈してくれても構いません。
ここではクマな奴が焦点です。恋愛スキャンダルのために押し寄せるナイフやフォークをクマなローレンシアが捌く、という部分があります。それも力技で。ここがミソです。
あくまで料理されておいしく食べられてたまるか、って感じで捌きます。
でもやっぱり内心良く思っていないローレンシアは王子に八つ当たりをしてしまいます。なぜなら王子は横でキャッハウフフしているからです。
次はジャムの池です。ジャムが一杯な事は御想像にお任せします。
あえて一部分をいうなら、食べ切れない、処理しきれない程のジャムを料理なんてどうするの、ってところです。
そしてララからのお仕置きが始まります。そして、お仕置きの集大成でもあります。
残さず食べなきゃユルサナイって感じであります。
砂利に関してはまずいものも含めて全部食えって事です。
(作者註:使用された食材は全て王子が一人おいしく頂きました(番組製作上、無駄な廃棄はしていません))
最後のシーンは、フェミナから王子への最後の機会の提供です。
まだ王子への愛のために、今ならまだ許して上げてもよくってよ?という雰囲気で話をしています。
ですがそこは王子。懲りません。そもそも気付いているのかすらわかりません。ここは御想像にお任せします。
王子から欲しい言葉が出てこない為に、ローレンシアは最後の切札を投入します。
離間工作+フェミナ(恋愛)+スキャンダル+食べ切れないジャム+塔を城へぶっ刺し+クラウディア、です。
ここで塔と城の関係を下品に具合の部分で考えても構いませんが、ここでは城の中心部に塔が突き刺さる、つまりは心を射貫く、貫かれる、と解釈してもらったほうが下世話な話にならなくて済みます。
「塔に来ないから塔の側から来た」も逆さ書きの手法です。暗に「塔の側から歩み寄って欲しいのに、塔が来ないから、塔へと詰め寄った」という事を例えて何が言いたいのか、という事です。ここでの逆さ書きの対象は王子とフェミナではなく、クラウディアの事を隠す王子と姫達、です。実際には王子の側からは歩み寄っていません。だからこその逆さ書きです。
「王子も見ていたじゃろ?改造を。ローレンシアが設計し、マーガレットが資材を運び、ララが作り、王子、おぬしが応援した、とんでも浮気性一号君じゃ。どこにでも飛んで行くぞ。どうじゃ。良くできておるじゃろ?」
この部分は王子のこれまでの歴史です。これまでの王子を支えてきた彼女達。それを暗に示してうしろめたい事がある王子へとやんわりとお灸を据えます。
さて、それでも王子とつきあいの長いローレンシアは王子を憎み切れません。この騒動の落としどころを作っています。
あえて既成事実で一日狂わせ、この日にクラウディアを割り当てる事でクラウディアが姫達の間に入る事もまあ悪くない事だと周囲を納得させようとします。
それは同時に王子の逃げ道確保でもあります。お仕置きが過ぎて開き直り、無双されても困るのです。
程よく手綱を握り、良い王様になってもらう。それがローレンシアの思惑です。
良くも悪くもツンデレているローレンシアの野望はまさにこれからだ!
(続く?)
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というわけで、この解説は小説の読み方ってこういうのもあるんだなー、という事を伝えるためにあります。
一概にこの表現で固定、とも言えないのが現代社会の業です。
多様性が生み出す社会。物事を捉える視点はいくつか存在できてしまい、同じものを別の視点で見る事でお互いが伝えたい情報を正しく伝える事ができない事が多々あります。
つまりはこれが伝言ゲームの根本的な要素です。
例えば「熊」な部分でもその外見を表現したかったのか、その特徴を伝えたかったのか、それだけで「熊な」表現は錯覚を生み出すかも知れません。
錯覚するように伝えて、相手が錯覚したから錯覚したお前が悪い、ではそもそもコミュニケーション能力に問題があるとしか言えない事に気付けるか。それが現代社会に適応できるかどうかの条件です。相手と争わないためのコミュニケーションを相手と争うために悪用する。そんな世界、それは正しいの?って言えるのですが、ここではその論には触れません。
この解説は「童話」のためと称して書いてしまいました。あまりこういった事を書くとうるさい連中がいるので。
あくまでサンプルです。こういった読み方もあるんだよ?ってことだけど、基礎的な部分がなければどうすればよいのかもわからない、という手助けのための内容です。結晶を作る時に核になる部分が必要だったりする、なんてあれな事だったりもします。それをどう育てて自分らしさにするか。それも本を読む楽しさかも知れません。
ここまで書いておいて何ですが、深読みにも注意しましょう。その小説の要旨があれば(主には純文学などにはあったりします)それを知る程度が程よいかと。言葉のあいまいさは多様な解釈を生み、その作者が思っていないような解釈も出来てしまいます。細かい部分は小説との愛の語らい程度に、トッピング程度に留めましょう。
また、ここでの解釈で使われているような用法は、わたしのような庶民や少し金持っている程度の金持は現実で多用するのは好ましくありません。なぜなら言葉のあいまいさが問題になるからです。自身のしている事すらよくわかっていない場合が多くなってしまうのです。こういったものは、すこしの違いで配下の者の首が1つや2つ平気で吹きとぶような方々が行って丁度良いものです。自身を過信せずに能力を見極める事ができるから許されるものです。それ以外の、わたしのような人物はただ最善を尽くす努力をして相手にわかりやすい話し方を心がけるのが諍いを生みにくい生活になるのでは、と提案してみたり。
読み方一つ変える事で今まで好きだった小説が、新たな一面を見せて待っているかも知れません。そういった部分も小説を読む楽しさでしょう。