わぁ~、凄い美少女がいる。……あれ?コレ僕じゃね?
十日と言いつつ一日早く投稿……。
取り敢えずまだ入院中であります。
家のご飯が恋しい今日この頃。
……病院ヒマー。
あの後、暫く立っていると軽い浮遊感と共に、町の喧騒が耳に入ってくる。
どうやら無事始まりの町に着いたようだ。
ゆっくりと目を開けて周りを見渡すと、まるで別世界のような、正にファンタジーチックな町が広がっていた。
その光景に思わずほうっ、と溜め息を漏らし改めて今いる場所を確認する。
『始まりの町〔噴水広場〕』
どうやらここが初期リスポーン地点のようだ。
いくらBSOの攻略サイトを見ていたとはいえ、僕はまだ初心者である。
丁度妹もログインすると言っていたし、ここは妹に連絡しようかなと思う。
右手を胸辺りまで上げて左にスクロールするとメニュー画面が出てくる。
このメニュー画面はスマートフォンと同じようなもので、タップなどで操作ができるのだ。
取り敢えず、フレンド検索の欄に妹のプレイヤーIDと、暗証番号を打ち込み検索、連絡してみると、すぐに返事が返って来た。
『……このプレイヤーIDは……お兄ちゃん?』
「うん、そうだよ。」
わぁ~、声高っ!
まぁ今は女の子だし当然だよね……。
とても柔らかい、涼風のように透き通った美しい少女の声。
そんな声が僕の口から飛び出た。
そして、やはり妹は『……は?誰なの?』と返してきた為、小声で自分の本名と今朝の朝食のメニューを言うと『……ああ、うん。お兄ちゃんなんだね……。』と何故か優しげに言う。
……取り敢えず僕だということは理解したみたいだ。
『……今始まりの町の噴水の所だよね?直ぐに迎えにいくからそこで待っててくれる?』
「ああ、うん、分かった。プレイヤーネームは【Crow】だから。」
『了解了解~!じゃあまた後でね?』
そうして通信を切り、メニュー画面を閉じる。
それからその場にあったベンチに座っていると、物凄い速度で何かが向かって来る。
……何あれ?と目を向けると、その何かはプレイヤーのようだった。
そんなプレイヤーに、……出鱈目な速さだぞアイツ、などと引いていると、噴水前で大きな音を立てて急停止した。
何処かで見たような少女――【Lily】というそのプレイヤーは噴水広場を見渡し、此方に目を向けた。
僕を見た彼女は大きく目を見開き、その後はニコニコとしながらこちらに向かってくる。
「み~つけた!おに……お姉ちゃん♪」
「…………え?あ、もしかして……、百合?」
「うん、そだよ!」
……うちの妹でした。
「いやぁ~、それにしてもお姉ちゃん可愛い~!
なにこれ私よりちっちゃいんだけど!あ、もしかしてランダムで選んだでしょ?
当たり引く人なかなかいないのにねぇ~。
ランダムで失敗して超微妙顔になった人とかいるのに……。」
それはうん、失敗した方達には御愁傷様と言っておこう。
可愛いって言われてもな~……。
……あれ?そう言えばまだどんなアバターか見てないな。
丁度噴水あるし水面を鏡代わりに見てみようかな。
そうして覗いてみるとそこには、とんでもない美しさと可愛さをもつ美少女がいた。
「……こ、こここれ誰?」
水面に映る美少女を指差すと水面の中の美少女がこちらを指差す。
……あぁ、コレ。
……この娘僕だ。
「…………マジか……。」
「あははははは!まぁいいじゃん、可愛いんだし。」
水面に映る少女――まぁ僕な訳だが、見た目がとんでもない位に整っている。
真っ白の髪はさらっさらで、光り輝く天使の輪が出来る位艶も良い。
肌も髪と同じくらい白いが、青白いという訳ではなく、透き通ったような白、というのがふさわしい位。
睫毛は長いし瞳も大きく、赤、というより紅といったところか、キラキラ淡い輝きを放っていて、とても幻想的だ。
目付きはややつり目だが、その紅い目とあっていて、美しい。
顔は小さくかつバランスの良い形。
鼻もすっと通って大きさも形も良い。
唇は小さいが、薄くも厚くもなく綺麗な形で、思わずうっとりしてしまった。
……うん、これはちょっとダメージが大きいな。
主に男としての自尊心がボロッボロである。
まぁそれはともかく、どうやら僕はとんでもなく可愛くて美しい、まるで女神のような容姿をもつ少女になっていた。
対する【Lily】……リリィは青く長い髪を持つ美少女だ。
目付きはやや猫目っぽく、それでいて大きい夕焼け色の瞳は、イタズラ好きの雰囲気が感じられる。
すっと通った鼻と、綺麗な形の唇、そして夕焼け色の瞳がバランス良く小さな顔に乗っていて、とても可愛らしいアバターだ。
……だが、驚かないで欲しい。
所々色を変えているが、彼女はリアルそのものの顔である。
……要するにリアルもとんでもなく可愛いというわけである。
身内の贔屓目無視してもね。
そんな僕はまぁ、何処にでもいそうなフツメンなんだけどね~。
「あ、そうだ!お姉ちゃんは種族何~?私は猫の獣人種だよ!」
いちいち言われるお姉ちゃんの言葉にダメージがデカいが、ここは質問に答えよう。
……いや、ここはあえてクイズにしてやろうかな?
……別にお姉ちゃんと言われたから、ささやかな仕返しに……、という訳ではない。
というか、いちいちこんなことで仕返ししてもな……。
「……あぁうん、猫の耳と尻尾あるもんな、見てすぐ分かるよ。僕は……うん、何だと思う?」
考え事してちょっと返事に遅れたが、取り敢えずそう聞くと、リリィはう~ん、と考えながらぶつぶつと呟く。
「見た感じ……兎?でも尻尾はふさふさで長いし……フェレットって訳でも無さそう、うさ耳っぽいし……良し!じゃあちょっと調べていい、お姉ちゃん?」
「え?あぁうん、いいよ。」
「じゃ遠慮なく。さわさわさわ……。」
僕の小さくなった体を触るリリィ。
……割と胸があるんだな、この体。
遠慮なく、の言葉通りに胸まで触ってくるリリィに顔が引き吊る。
というかなんなんだろうなこの状況、……セクハラじゃ無いのか?……というか滅茶苦茶恥ずかしいな。
そうしてリリィは言葉通りに遠慮なく体中をさわった後、僕の髪を上げておでこを確認したり、尻尾を監察してもふもふしたりして、漸く結論を出したようだ。
……さぁ、なんと答えるのだろうか……?
「……もしかしてカーバンクル?」
「え!?何で分かったの!?」
「いやだって、カーバンクルって体のどこかに宝石っぽい物が埋まってるんだもん。
耳とか尻尾とかの外見的特徴も一緒だし。」
「は?宝石?」
「うん、うなじの所におっきいの。」
言われて手をうなじに回す。
さらっとした髪の毛の冷たい感触を掻き分け、うなじにたどり着いたとき、感じた感触は肌の柔らかさではなく、石のようなツルツルとした硬い感触だった。
「……ほんとだ。」
「でしょ~♪……で正式名称は?」
「獣人種のカーバンクルだって。ランダムで選んだら出てきた。
……因みにこの種族、女性固定みたいなんだ。」
「あぁ、道理でそんな姿な訳なんだね!」
ニヤニヤ笑いながら、リリィは僕に抱きつく。
その後目一杯頬擦りされた。
美少女な妹に抱き付かれるのは役得だとは思うけどね?
でもその時の彼女の目は、まるで肉食獣見たいで怖かったんだ……。
「あぁ~、クロウちゃん可愛いよぉ~♪」
「……もう放してくれないかな~、リリィ。」
「……それもそうだね。ところでお姉ちゃん、やっぱりサブ種族増やすの?」
「当たり前だよ!いつまでも女の子の姿なのは嫌なんだから!」
「えぇ~、勿体無い!」
「…………この姿だと僕の男のプライドとかがね?粉々になるんだよ?粉微塵になるんだよ!?……それでもヤレと?」
そうして話ながら冒険者ギルドに向かっていくのだった。
◎
冒険者ギルド始まりの町支店のカウンターで、冒険者登録を終えた僕は、早速とばかりに妹のパーティーに勧誘された。
取り敢えず了承すると、パーティー欄に二人、他のメンバーが表示されていて、ってリリィ!?パーティーメンバー放っぽって何してるの君は!?
……取り敢えず頭に拳骨を入れて、説教したのだった。
前回の記述通り、ここでクロウさんのステータスを書いていきます。
――――――――――◆
【Crow】〔Lv1〕
性別:女
称号:無し
第一種族:〔獣人種〕カーバンクル【EXレア】
第二種族:未解放
主職業:治癒術師Lv1
副職業:魔法使いLv1
副職業:未設定
副職業:未設定
副職業:未設定
ステータス
体力:30/30
魔力:1500/1500
筋力:1
防御力:69
持久力:7
速力:56
知力:97
器用さ:12
運気:231
スキル一覧
治癒の心得Lv1、攻撃魔法の心得Lv1、防御魔法の心得Lv1、プチヒールLv1、ヒールLv1、プチファイヤLv1、プチアクアLv1、プチウィンドLv1、杖術Lv1
――――――――――◆
という具合です。
他の種族は、平均タイプのLv1場合下記の通り。
体力:50~70
魔力:100~150
筋力:15~20
防御力:15~20
持久力:20~40
速力:15~20
知力:15~20
器用さ:15~20
運気:5~15
……かなりのぶっ飛び性能。
ただし、筋力値と持久力があまり無い感じ。
というか、筋力値をとても酷いことに『してます』。
杖とか持つの苦労しそう、クロウだけに。
というか、実はこのクロウ君、実は普通に『苦労』と『烏』をかけてたりする。
だからこそ、この子をなんとしてでも苛めていきたいと思います(暗黒微笑)
それでは、また十日後に。