8話 銀河竜
投稿始めて1周年になります。
長いようで短いですね。
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数合打ち合いつばぜり合いを繰り返すテルドミールと名乗る使徒とはつゆき。
斬龍刀を振るい両断しようとテルドミールが攻撃を繰り出すが、
それを布都御魂 (ふつのみたま)で受け流し逆撃をくりだすはつゆき。
周りからはその力は互角に見えたが。
「はつゆきの方が若干押しておるの。」
マラクには判るようだ。
「そうだな。」
俺にもそう見える、さっきから使徒のほうは全力だがはつゆきにはまだ余力がある。
それは戦っている同士のほうが良くわかるようだ。
「くっ、まだ全力ではないか、ありえぬ。」
「・・・ ・・・」
悔しさに染まった顔を見せるテルドミール、対するはつゆきは平常心だ。
「ならば見せてやろう、我の最終奥義を、{屠竜剣!}」
そう唱えて斬龍刀に魔力を込めていく。
光る斬龍刀・・・
そして限界まで魔力を込めたその刀を振りぬくと、
複数の斬撃が飛びそれがすべて龍になってはつゆきに迫る。
対するはつゆきは布都御魂 (ふつのみたま) に魔力を込めてそれを迎撃する。
「斬撃には斬撃・・・吼えろ!布都御魂 !」
輝く刀身から光が迸り迫る龍にぶつかって行く、その瞬間辺りは光につつまれ何も見えなくなってしまった。
だが俺には見えた、はつゆきの力が上回っていた事を、そしてすべての龍が迎撃されて消滅し、
テルミドールに無数の光の攻撃が突き刺さるのを。
「ぐっ! ・・・ 我が生涯にもはや悔いなど無い、{主}よ先に行くのをお許しください。」
そう言って朽木が倒れるように静かに倒れた。
はつゆきはそれを見て血振りをしてから布都御魂を鞘に収める。
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残った使徒たちも倒し筆頭従者さん達の治療をしている。
「まにあってよかったの、筆頭上級神は{迷宮}を使ったのかの。」
マラクが問うと筆頭従者さんはこくりと頷いた。
「そうか、やはりの、諦め切れんのじゃの。」
「なにが諦められないんだ?」
俺が聞くとマラクは悲しそうに首を振りながら答えた。
「ウエズリィのことじゃの、あやつは筆頭上級神の親友じゃからの
なんとか説得したいんじゃろうの。」
「それは・・・」
それは無理なんじゃないかと言おうとしたら、彼女は言葉を続ける。
「無理なのは判っている、ウエズリィはあの日からずっと忘れてはおらなんだの。」
「あの日ってなんだ?」
「エスペランサの元の世界、それを管理していた神をウエズリィは討とうとしたの、
だがそれを止めたのは今の筆頭上級神なのじゃの。」
「討たれるはずだった神はどうなったんだ?」
「筆頭上級神が逃がしたのじゃの、それ以来どこに行ったかは誰もしらぬの。」
「何故そんなことを?」
「創神の修行を受けたものならば知っているじゃろうの、
神殺しは禁忌に触れるのじゃの、ウエズリィにそれをさせないためなのだの。」
確かにその禁忌はあった、許可無く世界の複製を作る事等を含めて
幾つかある禁忌にそれがあったのだ。
「そんな二人が戦うなんて!」
亜由美が叫び美奈がうなずく、周りのみんなも同じ気持ちだろう。
「戦いを止めさせることは出来ないのか?」
「知っておろう、{迷宮}は術者でないと解除できないのじゃの、
術者が解除するか死ぬかしないと中の者が出る事も、中に入ることもできんのじゃの。」
確かにそうだ、同じ隔絶空間でも中の者を閉じ込めると言うことでは
{迷宮}は特化した魔法である、{奥の院}のような時間停止などは出来ないが、
出る事も入ることも余人を許さない魔法である。
「・・・ ・・・」
みんな黙ってしまった時に、頭の中に響く声がした。
{方法なら在るぞい・・・}
気配を感じて空を見上げると、そこに一筋の輝く光が見えた。
見る間にそれは大きくなりそこにいたのは。
「竜?」
はつゆきたちが兵装を展開して空を睨んでいたがそれをマラクが止める。
「大丈夫じゃの、この竜は仲間なのじゃの。」
「一体この竜は・・・」
「銀河竜なのだの、こやつはこれでも上級神なのじゃの。」
その言葉に反応するかのようにドラゴンは一声吼えると目も眩むような輝きを
放ち始めた、そしてその光が小さな塊となり地面に降り立った時には・・・
「ふぉふぉふぉ、はじめましてじゃなあ。」
そこに立っていたのは白いひげを長く伸ばした老人であった。
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