6話 神域での戦いその6
主人公視点ではありません。
時間は艦隊同士の戦いの前に遡る。
{神域}の今は使われなくなった建物の中、その中の広間の中心で魔法陣が浮かび上がった。
そして溢れる光の中から現れたのはマラクや正人達である。
「着いたようじゃの、{使徒}はおらぬようじゃの。」
「使徒たちはどの辺にいるのかな?」
亜由美が問うとはつゆきが何かを探るような視線をしながら答える。
「あちらの方から反応を感じる。」
指差すほうを見てマラクが答える。
「{神殿}のほうじゃの、あちらに筆頭らがおるのでそこに攻め寄せておるのじゃろうの。」
「では、俺たちも行くぞ。」
正人の声に頷く皆である。
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「くっ、強い。」
「筆頭上級神の従者ともあろう者が脆くないか?」
この呟きをしているのは現在{神殿}に侵攻中の使徒の先鋒を務める男である。
その周りには返り討ちにあった筆頭上級神の従者達の姿があった。
「今度こそ!」
従者の一人が叫び得物を構えて突っ込んだ。
「温い!」
使徒の男は巨体に似合わぬ敏捷さでかわすと、手甲をつけた拳を降りきった。
くぐもった打撃音と共に吹き飛ぶ従者、そして吹き飛んだ先で動かなくなった。
「ふん!歯ごたえがなさすぎるわ、この程度か?」
その言葉に殺気立つ従者達、だがこの使徒に立ち向かえる者が居ないのも事実であった。
そしてその向こうでは。
「本当に戦い甲斐の無い相手だねえ。」
槍を持った使徒が気だるげに言う。
周りには従者達が倒れている。
「これじゃあ筆頭とやらもたいしたことはないんじゃないかねえ。」
「そうかい?」
「あ?」
気が付くと間合いの中に人影がいて独り言に答えている。
「なんだか知らんがお前もいなくなれ!」
そう言って槍を振るうが。
「のろいな。」
軽く腕の一振りで槍の使徒を吹き飛ばしたのだ、
飛ばされた使徒はまるでマンガの様に空の彼方に飛ばされて・・・流石に星がキラリとはしなかった。
「ほう、面白い奴が来たな、まさか筆頭ではあるまいな。」
「そうだけど何か問題でも?」
「! 馬鹿な!ラスボスは最後に出るのが約束・・・」
「そんな約束した覚えが無いな。」
振り下ろされた手甲使いの使徒にカウンターでパンチを打ち込む筆頭であった。
その一撃で手甲使いの目が白目をむいてその巨体が崩れ落ちた。
「さあて、{主}とやらはどこかねえ、折角出向いてやってるんだし、
さっさと見つけたいもんだが。」
自分が狙われているのになぜか平常運転の筆頭上級神なのであった。
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その頃使徒たちを束ねる{主}は警備の使徒たちに囲まれて{神殿}に
向っていた、そうすれば筆頭の元にいく事が出来る。
「ふふ、あの人は会ったらなんと言うでしょうかね?」
「趣味が悪いですな。」
一番傍にいる巨体の使徒が眉を寄せる。
「そうですか?悪いですかねえ?」
「最終局面ですので真面目にお願いします。」
反対側を歩く女性が苦言を呈すると。
「はいはい、じゃあさっさと向いましょうか・・・どうもその必要は無いみたいですね。」
そう言って、首を回した先に目指す人物を確認する。
「さっきぶりとでも言いましょうかね、筆頭・・・それともアレクサンデルとでも呼びましょうか?」
「やれやれ、本当に{主}とやらは君だったのか、ウエズリィ。」
こうして二つの勢力の長同士が遭遇した。
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