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閑話1 野戦病院

主人公視点ではありません

 「ううー痛い、痛いよお。」


「もう!無茶ばかりするからですよ!安静にしてなさい。」


怒っているのは、工作艦機能を兵装転換で使用しているあかしである。


工作艦明石から海洋観測船として転生した彼女はこちらの世界に来るにあたって、

そうやってみんなを癒していた。


今回は単艦で敵左翼に突撃したゆうだちの治療を担当している。


「自分の手足である機動砲塔を敵艦隊に特攻させて乱射した挙句、

自爆させたんだからその反動が来るのは当たり前でしょ!

そんな無茶ばっかりやってたら撃沈しんじゃいますよ!」


「いいもん!そうなったらはつゆき姉さんみたいに再召喚してもらうから!」


「アンカーを貰ったからといって簡単にそういうことしていい訳じゃないんだから、

そもそも貴方は・・・」


治療しながらあかしはゆうだちにOHANASHIする事になった。


ちなみにアンカーとははつゆきが死んだ時に魂がオリジナル世界に行ってしまった事例に

基づいて、そうならないように装着が義務付けられているアイテムだ、

これによってこちらの世界に魂が止まる事が出来るのだ。

作ったヨウコに対してみんなの評価が著しく上がった一例だ。


だが、命を粗末にしているように見える彼女ゆうだちに対して、

あかしの攻勢は激しくなったようだ。


「はぁ、やはりこうなるか、あかし、あんまり言う事聞かなかったらお仕置きしてあげるからね。」


「いやぁー!お仕置きは止めてぇー!」


割り込んできたあやなみにおびえるゆうだち、実はバトルジャンキーの彼女が頭の上がらない一人に

彼女が居るのである。


「見ろよ、あやなみはほとんど怪我してないじゃないか、少しは見習いなさい。」


「ううう・・・」


見るとあやなみは回避と障壁で二三発の被弾で済んでいる。


「でも、上には上が居るみたいですね。」


あやなみがそう言って見ている視線の先にはさっき帰ってきたしまかぜが居る。


見ると全く被弾していない。


「凄いわね、全弾回避したの?」

「小口径のは当たったけど障壁で防げたし、大丈夫よ。」


と、さらっと言う彼女であった。


「オルモックの時に比べたら楽よね、障壁が使えるだけでも違うわ。」


前世の島風の時最後を迎えたオルモック湾でのことを振り返る。

爆弾などはすべて回避したのだが、至近弾と機銃掃射は避けられずそのダメージで沈んだのだった。


「まあ{釣り役}も全うしたから大成功よね。」


一緒に治療を担当しているおおすみが言うとそこに居たみんなが頷く、

彼女達の活躍で敵の大軍を罠にかけることが出来たからだ。


「あとはあたごたちの頑張りだけよね。」


あかしがそう言っていると戦場の方で巨大な光芒が走った。


「なんか凄い事がおきたみたいだね。」


あやなみが流石に顔を引きつらせている。


「うん、ものすごい魔力行使を感じた。」


しまかぜも気が付いたようだ。


「アレは味方の攻撃よね、中央部に居るのは・・・まさか大和達が!」


あかしは先ほどの{アレ}が何かわかっているようだ。


「なになに?なんなのアレって?」


一応手当てが終わりOHANASHIも中断したのでそのままうやむやにしようと

ゆうだちがたずねる。


「それはですね・・・」


あかしの説明が始まろうとしたその時である。



「急患だ!すぐ見てやってくれ!」


あかしたちのところに来たのはあしがらである。

中央部の後衛を務めていた彼女があわてて連れてきたのは。


「大和!それに武蔵もどうしたの?」


ぐったりとして運び込まれた二人であった。


「彼女達は中央突破をかけてきた敵を必殺技で倒したんだ、だけど反動で倒れてしまって・・・」


「なにその必殺技って?」


質問するゆうだちに、心当たりがあるのかしまかぜが発言する。


「もしかしてアレですか?」


「そう、彼女達は{兵装進化}を使ったの、未来の自分達が使うであろう兵器を装備したの。」


あかしが説明する、それははるかな未来に大和が地球の危機に際して宇宙を航海する

戦艦に生まれ変わり外宇宙の敵と戦いながらはるかな銀河まで旅をする物語である。

その中で装備していた彼女の最強の兵器を再現したのであった。


「ほら、{重力崩壊砲}を装備したゴーレムが居たじゃない、あれを参考にしたのよ。」


グラビティ・コアを使って魔素を爆縮させてその放射エネルギーを艦首の砲口から放出する、

いわば上部兵装その物が砲身として使用される最終兵器なのであった。


「あー{波○砲}ね。」


あやなみが思い切りぶっちゃける。


「そうとも言うわね、ここは地球じゃないからもめないと思うけど。」


そういいながらおおすみやしもきたに手伝ってもらいながら治療をてきぱきと進めている

あかしであった、そうしていると大和達は意識を取り戻したようだった。


「ここは?敵はどうなった?」


「ほとんどあの攻撃で殲滅したよ、わずかな生き残りは撤退した。」


あしがらが説明すると大和はほうっとため息をついた。


「なんとかうまくいったみたいね。」


「そうみたいだな。」


隣で同じく意識を取り戻している武蔵も頷く。


「そんなこと言って、兵装ががたがたになってますよ、だから倒れたんですよ!」


あかしが呆れたように言う。


「コアが砕けている、持たなかったのか・・・」


ポーチから出したグラビティ・コアは完全に砕けていた。


「八十パーセントでこれか、それ以上だったら此方が持たなかったな。」


「やはり試射が出来なかったのが効いた。」


そう反省点を述べる彼女たち、その発言にあかしはあきれる。


「もう、自分を大事にしてくださいよ、そこの馬鹿ゆうだちじゃああるまいし。」


「どうせ、ばかですよぉー」

ふくれるゆうだち、臨時に設営された野戦病院はいささかカオスの中にあった。


大和にあやなみが声をかける。


「まだ使徒との戦いは終っていません、まだ出番があるかもしれないですから、

早く治してくださいね。」


その言葉に我に返った大和たちはおとなしく治療を受けるのであった。




ここまで読んでいただいて有難うございます。

誤字・脱字などありましたらお知らせください。

感想や評価などあれば今後の励みになります

よろしくお願いします。




用語解説



オルモック湾


島風が最後を迎えた地


フィリピンのルソン島の戦いで輸送作戦「多号作戦」が行われ、

島風は第2水雷戦隊旗艦として参加した。

オルモック湾に着いたときに347機の空母艦載機の攻撃を受ける、

輸送部隊と水雷戦隊はほぼ全滅、島風は爆弾と魚雷は全弾回避したが、

至近弾と機銃掃射でダメージを受け機関部の爆発で最後を迎えた。




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