4話 神域での戦いその4
主人公視点ではありません
密集した艦隊に向けて放たれた二つの光はわずかに拡散しつつ向っていった、
その光に包まれた前衛は爆発すらせずに砂で出来た彫像のように崩れていった。
その刹那の間では何が起こったのかわからぬままだったろう。
中段以降は流石にそうはならなかったが、致命的なダメージを受けて沈んでいく。
フヤキの乗る旗艦は流石に違っていた、回りを固める護衛艦艇のバリアによって護られていたので
破損はしたが致命的な被害は免れたのだ。
「艦隊損耗率九十九パーセント!ほぼ全滅です!」
「馬鹿な・・・馬鹿な、こんな馬鹿なことがあるか!」
フヤキは叫ぶ。
「これではどうにもなりません、脱出を!」
艦長が進言する。
「どこに逃げろと言うのだ!」
「デュイスブルク へ後退しましょう、この攻撃で後背の艦載機群が退避しています、
今ならば後退できます。」
「・・・わかった、直ちに撤退せよ。」
「反転!残った艦は我に続け!」
そうして彼らは後退した、だがそれは罠であった。
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「敵艦隊後退します、推定移動方向は{星}です。」
「やはりね、そこに逃げるしかないからね。」
あたごはうなずく。
「{星}をほっとくわけにはいかないからね、第二段階に移行する、準備急げ!」
そうして戦いは次の局面を迎えるのであった。
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一方使徒方では正人達に{星}とよばれる要塞 デュイスブルクに置かれた司令部で
司令官とその部下達が対応に追われていた。
「{主}が神域に降りられたからにはその間はこの宙域の支配権を押さえねばならんのに
フヤキは何をやっているんだ、あれしきの数の艦隊に翻弄されおって。」
使徒の一人で司令官のジークブルグは唸り声をだしていた。
部下達はおびえながらも報告する。
「神域から敵が上がってきました、管理神級の反応があります。」
「チッ!従者たちか、厄介な、迎撃準備!」
要塞の表面の鏡のような地表に無数の魔法陣が浮かび上がる。
「攻撃開始!」
その直後魔法陣から光が発しその光の柱は上空に伸び従者達に向う。
直後に光の花が咲き乱れる。
「なんとも厄介な奴らだ、だがこの デュイスブルクを舐めるなよ。」
そう言ってジークブルグは戦況を確認するのであった。
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上空に伸びた光の柱の先に居たのは筆頭上級神の従者達である。
それぞれ上級管理神並みの実力を有しているのだ。
「その程度で!」
伸びてきた光の柱は前面に展開されていた障壁に弾かれて拡散した。
「やられると思われるとはな、舐められたものだ、お返しはきっちりさせてもらうぞ。」
{ミーティア・シャワーズ!}
中の一人がそう唱えると、虚空から次々と湧き出すように現れる物があった。
それは大小色々取り混ぜている岩の塊だ。
大きいものは数百メートルはありそれらはすべてデュイスブルクに向っていく。
「表面をつぶしてしまえば魔法陣も構築できまい!」
その流星雨は加速をつけていき、デュイスブルクに襲い掛かった。
流星が地表に落下していく。
鏡のような地表はすでにぼろぼろになっていると思われた。
だが・・・
「なんだと!」
従者達が顔色を変えた、流星の落着で見えなくなった地表が再び見えた時には、
元のままの鏡のような地表になっていたのであった。
そしてそこに浮かび上がるのは巨大な光の輪。
「魔法陣・・・」
従者達のうち誰が言ったのかは判らない、そしてそれは永遠に判らなくなった。
直後に魔法陣から迸った光の中に消えていったのだから。
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