2話 神域での戦いその2
主人公視点ではありません。
ゆうだちの眼前には敵の前衛艦隊左翼が布陣している。
その艦列からは激しく攻撃が繰り出され彼女の方に向っていった。
「その程度で!」
彼女はそう叫んで反撃を開始した、速射砲にレーザー、ミサイルで応戦する。
「攻撃は最大の防御ってね!」
そして兵装が輝きを発し{兵装進化}をしていく。
その結果彼女の上部兵装は武装を増やしていた。
ミサイル発射装置が増設されレーザー砲塔も増設されている、
そして更に後部格納庫より次々にコンテナが吐き出されていく。
そしてコンテナは彼女の周囲に広がりその中から出てきたのは。
「機動砲塔システム起動!攻撃開始!」
彼女は進化の方向を火力をひたすら上げることに費やした、
その答えがこの機動砲塔である。
砲塔から火線が敵艦隊に伸びていき命中した先に破壊の大輪の花を咲かせて行く。
本体と機動砲塔の苛烈な射撃によって左翼前衛は完全に崩壊していった。
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「ゆうだちは派手にやってますね。」
そう言いながら、あやなみは反撃の砲火をお見舞いしている。
それは的確に敵の前衛を削っていく。
彼女も兵装を進化させているがあくまでも攻防のバランスを考えたものとなっている。
敵の火線をかわし、障壁で受け流しながら反撃の砲火を浴びせかける。
彼女は派手さは無いが的確なポイントに火力を集中させて敵の戦力を削いでいく。
薄皮を剥がれるかのように右翼前衛部隊はその厚みを失っていくのであった。
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そして中央部。
そこには分厚く盛られた前衛艦隊からの苛烈な射線が打ち込まれている。
だが。
「早いだけが取り柄じゃないんですよ!」
そう言ってしまかぜはひらひらと敵の攻撃をかわしている。
その動きはまるでダンスのステップをしているかのような軽快なものである。
攻撃をかわしながら的確に反撃を決めていきその被害も無視できないほどになってきている。
「なぜ当たらん!弾幕薄いぞ!何やってるんだ!」
指揮官席でコンソールを叩きながらフヤキは叫ぶ。
その剣幕に恐れをなしたのかオペレーターはその命令を各艦に伝える。
もちろん指令を受けるまでも無く前衛艦隊は猛りに猛って攻撃を仕掛けている。
だが有効な一撃すら与える事が出来ずむなしくすり抜けていく攻撃。
すでに右翼と左翼に居たゆうだちやあやなみは反転して退避行動に移っていた。
そして機を伺うようにしていたしまかぜはようやく新たな動きを始める。
「そろそろ頃合ですね。」
そう言って転舵反転すると加速してその場から引き上げていく。
「逃がすな!なんとしても討ち果たせ。」
総指揮官の叱咤が飛ぶが、その前に彼らは冷静な判断が出来なくなっており、
目の前のしまかぜを撃沈することしか頭になくなっていた。
そのために各艦が競うように追撃を始めた。
そのために陣形などは崩壊し、速度の違いから艦列は細長く伸びきってしまっている。
本来ならばそれをとどめるはずの本隊も異様な狂騒に包まれており、
我先に進撃している。
そしてそれはしまかぜにとっては狙い通りであったのだ。
「ふふっ、怒り心頭で我を忘れてるわね。」
逃げながら相手の様子を見て微笑む。
「さて、仕上げの時間ですかね。」
そう言って指向性の発光信号を送るのであった。
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「しまかぜより信号、{敵の誘導に成功、なお我に追いつく敵艦なし。}以上です。」
あたごは信号を確認した艦から報告を受ける、
後ろでは「初夢が正夢になったよ・・・」といせとひそひそ話をするひゅうがの声がした。
「さすがね、では打ち合わせ通りに各艦は動いてください、
全艦砲撃ミサイル戦用意!全兵器自由使用!」
その命令に従って動く各艦は敵を照準に捕らえる。
「よく狙って、数が多いから効率的に討ち取ってください。」
そう指令を出してしまかぜの現在位置を確認する。
すでに、安全圏内に入っていることを確認すると彼女は命令を下す。
「全艦砲撃開始!撃ち方始め!」
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前衛部隊に属する攻撃艦タービュランドはしまかぜを追っていた。
快速をもって新造された新鋭艦だがしまかぜに追いつく事は出来なかった。
「離されるな!なんとしても仕留めろ!」
艦長は部下を叱咤するが距離が絶望的に開いていく。
そうして歯噛みしているとオペレーターの緊張した声がする、
「敵陣より高エネルギー反応あり、こ、これは!」
「どうした?正確に報告しろ。」
「反応は前面だけではありません、左翼、右翼からもです!
完全に半包囲されて・・・」
その直後に白熱した光が襲い、艦は爆沈した。
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