閑話12 アンデッドなんて怖くない
「指名依頼?」
俺は再度聞き返した。
「なんで又・・・」と言い掛けたところで脇腹をリイナが肘で突いた。
そういや、冒険者登録してたんだった・・・
すっかり忘れていたよ・・・
目の間にいる本部長がわざとらしくせきを一つ吐いて口を開く。
「知ってると思うが指名依頼は一応内容を聞いてから受けるかどうかは返事
しないといかんのだ、もちろん断ることもできるが内容把握は必須だ。」
そういやそうだった、完全に忘れてたけどな。
リイナとは反対側の俺の隣にいるはつゆきはジト目で俺を見ている。
俺は若干あわてて「そうだった、で、どんな依頼なんだ?」と聞く。
「それがだなあ・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「アンデッドバスターですか・・・」
依頼の内容を聞いた美奈の顔色が悪い。
「普通の魔獣退治と比べたらちょこっと気持ち悪いかな・・・」
亜由美も同じようだ。
「うーん、死人には慣れてますからねぇ。」
美月は前職経験から慣れているようだ。
「やはり聖水とかお札で退治するの?」
しらゆきは通常運転のようだ。
「あとは光系の魔法でもいいらしい。」
はつゆきは俺の光弾で楽勝で倒せると思っているようだ。
「まあ、皆さんのレベルなら問題は無いと思いますよ・・・」
何故かリイナの言葉に歯切れの悪さを感じる。
まあはつゆきの言うとおり光弾をしこたま打ち込んで終わらせよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「どこが簡単な依頼だー!」
俺たちは今追い詰められていた。
「光魔法耐性をもったアンデッドなんて聞いたことないよ~」
亜由美がブリザードの魔法でゾンビを凍らせた。
だが、それはあくまでも一時凌ぎにしかならない
溶ければ再度動き出すからだ。
俺は光弾を飛ばして群れを薙ぎ払う、はつゆきのサポートで
一気に数千の目標を狙い撃った。
だが・・・
「目標の半数以上復活、光弾効きません。」
しらゆきの報告が無常に響く。
「どうしてこんな事に?」
美奈がニードルをスケルトンの群れに叩き込み
スケルトンはばらばらになるがすぐに元通りになっていく。
「ここは邪悪な聖職者がなにやら実験場にしていたらしくて、
その実験中に失敗したらしく聖職者ごとアンデッドになったようです。」
リイナが今更ながら資料を読みあげるがなぜ今頃そんな資料を出してくるんだ?
「いやーこれ出したら断られるかと思いまして・・・」
後で本部長と共におしおきだな。
「あとでおしおき・・・」
「エッ!そんなぁー」
はつゆきの言葉に絶望に染まるリイナの顔。
「それより先にこれを何とかしないと・・・」
しらゆきはCIWSでリッチたちを粉微塵に粉砕しながら言って来た。
「なんとかならないか?」
俺は美月にだめ元で尋ねると。
「んー何とかなるかなぁ。」
意外な返事が返ってきた。
「ほんとか?」
「うん、あれを召喚すれば何とかなるよぅ、但し最悪な気分になるけどねぇ。」
「「「「「とりあえず召喚してくれ!」」」」」
みんなの声に美月は「しょうがないかねぇ。」といいながら召喚する。
「地獄に在りし悪食の王よ、我が呼びかけに応えここに姿顕せ、
命の理を外しし者たちを自らのねぐらに誘いたまえ。」
その呼びかけに応えて黒い穴のような物が地面に広がり
そこから現れたものに俺たちは言葉を失った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「依頼は成功したんだから許してくださいにゃ!」
俺たちは依頼を成功させて戻ってきた。
そして本部長とリイナはスマキにされている。
「依頼料は弾むからどうか・・・」
本部長の言葉にしらゆきが笑顔で応える。
「それはありがたいですね~でもOSHIOKIは実行します。」
「待って、許してにゃpえう@;:ぉ・・・」
リイナたちの言葉にならない悲鳴があたりを支配する。
「なんか当分食欲が出ないよ・・・」
「私も・・・」
亜由美と美奈はあれから猛烈な吐き気に襲われて未だに回復していない。
俺もそうだけど・・・あれは気持ち悪いとかで表現できるものではない。
「うーんやっぱりぃ気持ち悪いでしょぉ?」
そういう美月は慣れているのか平常だな。
「滅ぼせない物はまとめて異界に投棄か、参考になる。」
なんかはつゆきも黒い・・・
やはりラノベなんかと違って指名依頼なんてするもんじゃないな。
俺は今後はこんな依頼は受けないように心に決めるのであった。
ここまで読んでいただいて有難うございます。
誤字・脱字などありましたらお知らせください。
感想や評価などあれば今後の励みになります
よろしくお願いします。