やはりカオスなホワイトディ
ああ、また日付が変わってしまった。
先日のバレンタインでの見事な程の混乱ぶりに警戒していた正人達であったが、
その想像の斜め上に行くのが正に女神の仕掛けであった。
「今回は対策はばっちりなはずだが・・・」
事前に王都の下町に出向きイベントの情報収集をした正人は今回は大丈夫だと
安心していた。
事前にお返しのプレゼントを買い込み順調にそれは消化されていった。
「さて、後はルーダとヨウコだけだな・・・」
そういえば朝から姿を見ないなあと思いながら王城に向うのであった。
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「なんだ?これは・・・」
外宮の前の広場に人だかりが出来ていたのに気が付いて近寄って見たところには想像もしない物があった。
「ひな飾り?」
一緒について来ていた亜由美の言葉も疑問系だ。
そこにあるのは七段のひな壇飾りでその辺は地球でよく見る形状をしている。
だが大きさが途方も無いのだ。
それは飾られているのが人形ではないからだろう。
そう、飾られているのは式神たちの兵装のミニチュアモデルなのだ。
それも二十分の一位のかなりの大きさのものだ。
下からゆうだち、しまかぜ、あやなみ、これは三賢女の位置だがそうは呼べない人選である。
「三狂戦士?」 はつゆきのツッコミが酷い。
スルーしてその一段上にあきづき四姉妹が並んでいるのを見て美月が首を傾げる。
「たしかぁ衛士は三人だったはず?」
まあ、その辺はヨウコ辺りが適当ルールで作ったのだからと無理やり納得させる。
「随身はひゅうがといせか・・・」しらゆきがつぶやく傍で、美奈がその上の段を指差す。
「五人囃子 はたかなみたちなのね、数が合うから?」
そして三人官女の役はあたご、いずも、きりしまなのは活躍がみんなの目に留まったからだろう。
そして・・・
「内裏が大和と武蔵か。」
「まあ妥当かしら?」
「一番上が大きくて不安定に見えない?」
「んーかっこいい。」
「目立つねぇ。」
と言う反応である。
「「はずかしいです」」
偶然同行していた二人は恥ずかしいのか顔を真っ赤にしている。
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「あれは好評なようでよかったです、来年は特設会場に{本物}を置く計画があるんですよ。」
「!」
「「それは勘弁して。」」
内宮で女王に会うと彼女にそう言われ驚く皆と全力で拒否をする二人。
傍ではヨウコがにやにやと笑っている。
「まあ人気があるってことだから、いいんじゃない、ほんとは式神だけじゃなくて
みんなので作ろうと思ったんだけど・・・」
開放状態で幼女バージョンのヨウコはちらりと上目使いで正人を見て、
ため息をつく。
「そうなると{一番上ばかり}になっちゃうからね~。」
「なるほど。」
「納得です。」
「そうなるよねぇ。」
突如皆からの生暖かい視線に晒された正人は叫ぶ。
{「俺は別にハーレムにしたかったわけじゃねー!」}
あくまで心の中で叫んだ正人はへたれである。