30話 神域への転移
4章本編はここで終ります。
マラクが魔法陣を発動させて行く。
魔法陣は向う人数に合わせて巨大な物になっていた。
「転移するのだの、衝撃に注意するのだの。」
皆に注意を与え、魔法陣は発動する。
光の渦に包まれて俺たちは転移した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
転移先は、薄暗いホールのような場所だった。
神殿のようにも見える。
「転移完了なのだの、ここを知る者は筆頭と私とあと一人のみ、
ウエズリィさえも知らぬ場所なのだの。」
「そうなんですか?ここは一体どこなんです?」
ヨウコが問う。
「{神域}のある恒星を巡る最果ての星にある施設じゃの、
施設としてはいまや使用されぬままに放置されておるの、
ゆえに秘密裏に行動するのに向いておるの。」
どのくらい放置されてたのか聞くと一万年以上との返事が帰ってきた、
神の時間感覚がどうにも理解しがたい、俺もいまやその末席に居るのに。
「ここから{神域}の様子を見るとするかの。」
そう言ってマラクが壁にある魔石に魔力を送り込むと、
神殿の施設が蘇ったのか明るくなっていく、
そして壁の石版にあるビジョンが映し出されていった。
「{神域}ではやはり戦いが続いておるようじゃの、
{絶対障壁}が作動しているようじゃからまだ{使徒}どもは{神域}を
落としてはおらんようじゃの。」
そこに映っているのは巨大な光の障壁に包まれた星に降り注ぐ暴風のような攻撃である。
しかし、そのどれも障壁を貫く事が出来ないようだ。
逆に障壁越しに反撃を受けて攻めている側に被害が出ているようだ。
「この状態で背後から攻撃すれば挟み撃ちにできるな。」
ヨウコが楽観したかのように言うが果たしてそうなるのだろうか?
「{絶対}とかつくものは破られるのがお約束。」
亜由美がボソッと身も蓋もないことを言う。
するとそれに合わせてか画面に変化が現れた。
画面中央の風景が揺らいでそこに現れたのは・・・
「星?」
「転移してきたのか?」
「転移反応はないのだの、姿を隠して近づいていたようじゃの。」
光学迷彩の類か・・・
「直径三百キロ余り、質量は不明、といったところかの。」
マラクが画面の端に出ている数値を読み上げている。
「表面は金属かの?鏡のようにつるっとしておるの。」
表面の拡大を見ると周りの星空が映りこんでいる。
「まるであの(・・)要塞みたいですね。」
美奈がつぶやく、俺も同じ感想をもっていた、銀河の歴史がまたページをめくったようだ。
「{死の星}ではないのか?」
ヨウコは別の物語に出てくる名前をあげた。
「どちらに転んでもこの後の光景が目に浮かぶな。」
ヨウコがそういった直後、星の表面に光の漣が起きた、
直後に太い光の柱がその中心部から立ち上がり{絶対障壁}に向っていく、
そして障壁に命中したその光の中心から障壁にひびが入り直後に砕け散った。
「お約束になったねぇ。」
美月がため息をつきながら言う。
「ふむ?あの武器は連射は出来んようじゃの。」
マラクが画面を指差す先を見ると、降下していく{使徒}たちが見えた。
「神域をつぶすためだけならもうニ、三発打ち込めばよいからの。」
同感である。
「まあこれで神域に転移できるから応援に行くのは楽になったな。」
俺が言うと皆頷く。
「転移先は此方にまかせるのだの。」
マラクに頷き返し皆の方に向き直る。
「そういうわけで突入するぞ、準備はいいか?」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」
そして俺たちは転移した。
ここまで読んでいただいて有難うございます。
誤字・脱字などありましたらお知らせください。
感想や評価などあれば今後の励みになります
よろしくお願いします。