セント・バレンティンの混乱
時間的には使徒が襲来する前の話になります。
構想十分、書くのに数時間、日付が変わってしまった・・・
異世界なので許してください・・・
クリスマスが過ぎて正月を迎えてそれから月が代わった時、
正人たちはあるイベントのことが気になっていた。
「やはりこの世界にもバレンタインデーはあるのか?」
「無い訳がないよねぇ、あの女神様がこの商機を逃すはずがないよぉ。」
「でも、その前にあるはずの行事はなかったよ。」
美奈が指摘すると皆は初めてその事に気が付いたようだ。
「そういえばそうだな、じゃあこの月は何も無しなのかな?」
その予想は残念ながら思った以上に外れていたのであった。
■
ルアン王都に着いた一行が見たものは悪夢のような光景だったかもしれない。
「今年の恵方は北北東だよ!」
「チョコフォンデュ恵方巻き色々あるよ!」
「・・・ ・・・」
「なんで恵方巻きをチョコでコーティングするの?」
亜由美がありえないものを見たという顔をしている。
「しかもチョコフォンデュ・・・ありえない。」
「でも、皆さんおいしそうに食べてますね。」
一同あれはどうなのだろうと思ったのだが食べてみると意外に合うということが判った。
「これは詐欺だよ。」
ぱくつきながら亜由美がつぶやく。
「チョコと恵方巻きがこんなに合うなんて・・・」
もぐもぐと食べながら美奈がつぶやくと。
「この風味は病み付きになりそうです。」
「おいしい!」
クリスやリアンナにはバカ受けのようである。
「しかし、何でこんなに混ぜてるんだ?」
正人はこういうのは偉い人に聞く方が早いと王宮に向うのであった。
■
「セント・バレンティンのことですか?確かにヨウコさんからは二つの行事を提案されましたけど、
同じ月に二回もイベントがあると大変ですから。」
女王はそう言って笑いながらチョコロールケーキを頬張る。
「それはもしかして恵方チョコロールというわけか?」
「ええ、王都の{行列の出来る}店で求めたものですの、予約をしないと買えないんですよ。」
どうやらこの混沌を生み出したのは目の前の権力者のようだった。
「そうか、まあ皆喜んでいるのならいいか。」
そう思うことにした正人であった。
「ああ、それと・・・」と女王は包みを取り出して正人に渡した。
「セント・バレンティンでは愛する男性に女性からチョコレートを渡すと言う事ですので。」
しっかりとその部分はあることに正人は苦笑した。
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「鬼は外、福は内!」
下町では子供達が鬼の扮装をしたものたちに何かを投げている。
よく見るとおひねりみたいな物である。
拾ったクリスがあけてみると中はチョコレートでコーティングした豆であった。
「まるでチョコボー○みたい。」
亜由美がつぶやく。
「こんなところにも合体技があるのね。」
美奈はここまで徹底してることに感心すらしているようだ。
そうして見ていると追われている鬼の中に見知った人物達を見かけた。
「豆は苦手でござる、助けてでござる。」
「にげるのじゃ、もう悪さはしないのじゃ。」
そう、鬼の扮装をした、ロフスとリリスであった。
彼らは子供達を振り切ると、亜由美たちに気が付いていたのか、
駆け寄ってきた。
「ヨウコ殿に頼まれたでござる、この格好をすれば子供が喜ぶであると。」
「この格好は鬼の制服なのだそうじゃ。」
そういう彼らはいわゆるトラジマの服を着ており、テンプレな鬼であった。
「トラジマビキニはセクシイなのじゃ、大人の魅力でめろめろなのじゃ。」
そう言ってポーズをとるリリスであるが本人はともかく、
周りの皆はまだ幼女が背伸びした格好なので生暖かく見てあげることにしたようだ。
ふとロフスをを見ると苦笑いをしている。
「あの格好で迫られても・・・」
どうやらあの趣味ではないようだ。
正人はお仲間だなとポンと肩を叩くのだった。
正人が部屋に戻ると、はつゆき達が居てなにやら皆包みを持っている。
「もしかしてチョコレートか?」
思ったとおりそれはチョコであった。
さらに亜由美たちや他の式神たちからので正人の元には山のようなチョコが
貯まってしまった。
「こりゃ食べるのが大変だ。」
来年のこの頃まで残りそうである、時間の経たない魔法ポーチがあるから
大丈夫だが。
「そういえば・・・」
来月はあのイベントが二つある。
「まさかそれも混ぜてるんじゃないだろうな・・・」
非常にいやな予感のする正人であったが、
それが現実のものとなるまでそう時間はかからないのであった。
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