閑話4 独白 しらゆき その1
今回は主人公視点ではありません
本日2話目です。
私の名はしらゆき 2211号艦としてこの世に生を受けました。
はつゆきちゃんから聞いてるとおもいますが、
私も転生組です、はつゆきちゃんとは3代にわたって姉妹艦しています、
他の姉妹は転生してないのでどうしても2人で思い出話に花を咲かせてしまうんですよね、
「人」ではないんですけどね。
ずっとはつゆきちゃんとは一緒にすごしてきました。
けれど、始まりがあれば終わりもあるもので、
お別れのときがやってきました。
はつゆきちゃんは廃艦に、その後私は練習艦になり第一線から引きました。
でも、前世よりずっといいです、前世で私たちは共に戦いの中で最後を迎えたんですから。
そのときのことを思うと悲しくなります、おかしいですね、「物」が悲しいって思うなんて。
驚きの出会いは、練習航海から帰ったときにはつゆきちゃんが会いにきてくれたことです。
それも人の姿をして・・・
魔法で式神になったと聞いたときにはもうびっくりして。
陸の上の話とかで少し盛り上がってしまいました。
でも、うらやましいですね、はつゆきちゃんなんかとても幸せそうだし。
好きな人が出来たって聞いてさらに驚きですよ、だって私たちは人によって作り出された「兵器」なんですから。
護衛艦なんてふわっとした名前をつけられても中身は一緒ですから。
私も式神になりたい・・・
そういったら「頼んでみるよ。」って言ってくれました。
是非お願いしたいです。
式神になれたら或る提督のお墓におまいりしたいんです。
前世の私が最後を迎えた海戦で指揮をとっていた立派なお髭の司令官さんです。
戦闘中に機銃掃射をうけて重傷を負ったのに、
「司令官負傷」を知られたら、
輸送船に乗っている兵隊さんが心配するから知らせるなってそんな優しい人でした。
もう、動けなくなった「私」から他の艦に移ったとき、
私は自分のことより司令官が無事に帰れることを祈ったんです。
その後のことはわからないまま時がたち、私は転生しました。
転生して自分がしたのはあのお髭の司令官さんの消息を知ることでした、
当時はネットとかもなかったのでなかなか情報が集まりませんでしたが、
乗り組んでいた隊員さんの私物の本を読んでいるとある記事に目を奪われました。
「キスカ島撤退作戦」・・・あの司令官さんは怪我が治った後又海の上に戻り多くの兵隊さんの命を救ったんですね。
そして大戦を生き抜いて穏やかな日々を送られたことを。
本当に良かった。
そんなことを思ってたら、はつゆきちゃんの様子が変です、
なにがあったの?
「彼」が謎の「魔獣」とやらに狙われて危険な状態になってるんだそうです、すぐに戻ろうとしています、
まって、私も連れて行ってと、私ははつゆきちゃんに懇願します。
はつゆきちゃんは「わかったよ、一緒に行こう。」と言って、
白いカードを出しました、そのカードで式神になれるそうです。
彼女は「彼」に代行者の資格までもらっていました、すごいです、単なる式神を超えてます。
それだけ「彼」が彼女を愛し信頼しているんでしょう。
カードが輝き私の中に飛び込んできて・・・
気が付くと私ははつゆきちゃんの前に立ってました。
白の夏用制服を着て・・・
はつゆきちゃんは姉妹だからほとんどおんなじになるんだねって言ってました、
ということは「私」は目の前のはつゆきちゃんみたいな容姿をしているんでしょう。
ただちに「彼」の元に急ぎます、SH60を私が出して出発します。
式神となった私にも彼とはつゆきのパスを使った会話は聞こえてきます。
魔獣を倒すためハープーンに持てる魔力を込めて発射するはつゆきちゃん、
魔力がほとんど枯渇して苦しそうです、
急いで現場につけます、
そこにいたのは「彼」と魔法少女です、ベヒモスとかいう魔獣は倒され塵も残さず消滅していました。
「彼」は非常に驚いていました、はつゆきちゃんに良く似た私にです。
でも、すぐに気が付いて副操縦席のはつゆきちゃんの所へ行きねぎらいと感謝を告げていました。
枯渇した魔力を補給する作業もしていましたが、なぜか私も顔が火照ってしまいました、なぜなんでしょう?
とりあえず皆さんを乗せてこの場を離れましょう。
落ち着いたらお墓参りお願いしてみよう・・・
お髭の司令官とは木村昌福中将です。
部下にも慕われて艦にも・・・
誤字・脱字などありましたらお知らせください。
※緊急ですが13日20時に閑話をもう一つ追加します。