18話 真実
主人公視点ではありません
「私もですよ、はつゆきさん、貴方が幾ら隠そうとしても私には視えますから。」
クリスも鋭い視線を向けながら言う。
「貴方の力は神の領域まであります、オリジナルは{創神の修行}をしていないので、
そこまでの力持っている訳が無いのです。」
「・・・あなたたちはごまかせないわね。」
はつゆきは、苦笑しながら言った。
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「私は、確かに正人のこともこの世界のことも知っている。」
「なら、どうして否定したの!」
しらゆきは語気鋭く追及する。
「確かに、知ってはいるけどそれはあくまでも記憶でしかないの。」
「どういうことですか?」
クリスが問うと、はつゆきはさびしそうに言った。
「あくまでそれは{前世}での記憶でしかないの、あの時の私は死んで、
今の私は転生した私なの。」
「そんな!」
「覚えている、彼の事、出会ったときの事、傍にいたときの事、
愛し合ったこと、そのすべて覚えている、でもそれは前世の記憶、
今の私の物じゃない!」
はつゆきは搾り出すように言った。
「今の私は彼に向き合うことが出来ない、彼に愛される資格なんて無い!」
うつむく顔、頬に流れる二筋の涙。
「それに、今の私は{オリジナル}でもあるの、死んで行き着いた先は、
オリジナルの私の中だった、そこで一緒になったの。」
クリスがはつゆきを視ながら、「確かに、貴方には二つの魂が融合しています。」
と発言する。
「だから、言えなかったのね、彼にその事を。」
しらゆきが言う、先ほどまでの鋭い口調ではなく、穏やかで、優しささえ感じられる。
「ええ、その事を知れば彼は余計に悲しむはず。」
「そんな事は無い!」
突然聞こえた声に、顔を上げる。
そこには彼の姿があった。
「たとえ生まれ変わっても、姿が変わっても、はつゆきははつゆきだ。」
「正人・・・」
「俺は、帰ってきてくれたことがうれしい。」
正人は彼女に向って歩いていく、視線は彼女からはずす事は無い。
彼女の前に立った。
「また、一緒に行こう。」
「正人!」
はつゆきが正人の胸に飛び込んで行く、正人はそれをそっと抱きしめた、
もう離さない、その決意を示すかのように力強く。
「愛してる、もう離さない。」
「私も、離れたりしない。」
しらゆきとクリスは顔を見合わせて微笑んだ。
正人は、ポーチからリングと彼女のポーチを出して手渡す。
リングを装着してポーチをつけて彼女は微笑んだ。
「もしかして、手紙見た?」
「ああ、でももういいんだ、こうして君がここにいる、それだけでいい。」
その言葉を受けて彼女は頬を染め、うなずいた。
後ろで歓声が聞こえた、見ると皆がこちらを向いて笑っている。
その中からすずなみが前に出て言った。
「お姉さま、おかえりなさい!」
「ただいま。」
暖かい光がみんなを照らしていた。
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