17話 再召喚 後編
主人公視点ではありません
本日2回目投稿です
若林が持ってきたのは何かの部品である。
「これは?」
「廃艦になったはつゆきからはずされた部品だよ。」
どうしてそんなものがあったのかと驚く皆に若林はにやっと笑う。
「公にはしてないが記念に関係者に配られる事があるんだよ、
俺は昔三佐の時に副長で乗り組んでいたからな、
最後の艦長も同期だったんで回ってきてたんだ。」
こちらの世界に来る時に私物の整理を考えたが、
めんどくさいので全部持ってきたのだとか、
その判断がかえってGJだったなと思う皆であった。
「これなら召喚につかえるな、早速準備しよう!」
ヨウコの発言にさっきまで沈んでいた雰囲気は一掃された。
ヨウコとクリスは召喚魔法陣の作成に向かい、
他の者も準備に向った。
そして、しらゆきたちは正人の所へ向うのであった。
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正人は鉄鋼王国に来ていた。
来るべき使徒の再襲撃に備えて戦力の底上げのために来ていたのである。
その新装備の受領もおわり、一息ついていたのであった。
一緒に来ていたのはテレーゼとリアンナである、
彼を一人にしていては不味いということでお供に選ばれたのだ。
「これで機体の受け渡しは終了ですね。」
「ああ、一休みしたら里に一度戻ろう。」
「カチヤさんや、リュートちゃんにも会っていかないとね。」
リュートというのは正人とカチヤの子供である。
「そうだな、土産でも買っておこうか・・・」
二人は悲しみを内に秘め普段どおり振舞う彼に気づいていたのだが、
それには触れずに話を振っていた。
そうする事が、今はいいという判断からである。
そこにしらゆきたちがやってきた。
話を聞いた正人は予定を先送りにしてルアンに向うのであった。
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王国の転送魔法陣のある部屋の空いたスペースに新たに魔法陣が作られた。
召喚用に新たにクリスとヨウコが作ったものだ。
その中心には部品とカードがおかれている。
「これで準備はオーケーだ。」
「これなら・・・いけます!」
二人は力強く頷いた。
そこに正人がしらゆきたちに連れられてやってきた。
「あ、来たか、ちょうど準備が終ったところだ。」
「さあ、早く。」
二人に言われて魔法陣の前に立つ正人、皆も後ろで見守っている。
「ありがとう、みんな。」
正人は振り返って礼を言う。
「礼なら終ってからだ。」
若林がサムズアップしながら言う。
「判った! 人によって生み出されし物よ、我が呼びかけに応じここにその姿顕せ、式神召喚!」
かつて彼女を呼び出した言葉をつむいで召喚魔法を発動させる。
魔法陣が強く輝き中心の部品とカードを光の粒子が包む。
そしてその光は人の形を作っていきその姿をあらわにしていく、
やがて現れたのは黒髪の彼女、身間違えの無い姿をしている。
着衣は季節を反映してか第二種夏服を着ている。
光が収まると、閉じていた目が開かれる。
初めて会った時と同じで辺りを探るように見回して視線をこちらに向ける。
「・・・はつゆき・・・」
「・・・ ・・・」
「はつゆき!」
彼女の瞳に正人が映っている、そして発した言葉は、
「誰?」であった。
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「まさか、オリジナル世界のはつゆきを召喚していたなんて。」
ヨウコの声はショックからまだ立ち直っていなかった。
「・・・ ・・・」
クリスは難しい顔をしている。
あの後話を聞いた皆ははつゆきが正人のこと、この世界のことを知らないということだった。
彼女は、しらゆきや他の式神たちの事はわかったようだが、
それはあくまでもかつての仲間であったからであろう。
皆ショックで何も言えなかった。
そして、正人は打ちひしがれどこかに行ってしまった。
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はつゆきはルアン王宮の展望台に立っている。
そこからは王都の郊外にあるRAXA(ルアン宇宙航空開発機構) のロケット施設が見える。
その背後に気配を感じ後ろを振り返る。
そこにはしらゆきとクリスが立っていた。
「しらゆき・・・」
「単刀直入に言うわね、私の目はごまかされないわよ!なぜ嘘をついたの!
貴方はオリジナルのはつゆきじゃない!私の知っているはつゆきだわ!」
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